筆者は、所謂「炎上芸人」に関し、記事で取り上げることを極力避けます。
なぜなら、「炎上芸人は、違法だろうと何だろうと、注目される為にはどんなに卑怯なことでもやる」「かかわった時点で負け」という存在であるからです。無視が一番です。
しかし、強烈に目に余る行為をやらかし、その行為の分析が世の役に立ちそうな場合に限り、炎上芸人を話題にしようと考えます。
なお、出来るだけサクッと短く触れ、相手の利益にならない様に努めています。故に、炎上芸人の運営媒体・YouTubeチャンネルや、著書の紹介などは一切やりません。予めご了承ください。
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では、当記事の本題に。
先に実施された2022年参院選で、暴露ネタをウリにした候補が当選しました。「ガーシー」こと「東谷義和」氏です。
東谷氏は、NHK党から比例代表候補として出馬。比例の個人得票数でNHK党内トップになり、参議院議員の資格を取得。
しかし、「東谷氏が、過去に詐欺を働いたのでは?」という容疑が前々から存在し、加えて「有名人の暴露話をやりまくって、トラブルを招いている」という事情もあり、日本に帰国していません。現在、中東にいるとのこと。
今の日本では、「国会議員が、リモートワークで国会へ参加する」という行為を認めていません。「リモート可」という法律が存在しない為、どうしてもそうなる。故に、東谷氏は国会を欠席するとの届け出を行いましたが、参議院の議院運営委員会は申し出を却下。このままいけば、無断欠席扱いになると警告しています。
この手の無断欠勤が続けば、除名(議員資格の剥奪。クビ)になる可能性もアリ。
www3.nhk.or.jp(2022/8/2)
参議院事務局によりますと、国会議員が正当な理由なく国会を欠席し続けた場合、除名される可能性があります。
国会法では、議員に対し、召集日に国会に集まることを義務づけていて、正当な理由がなく7日以内に出席せず、さらに議長が再度、促しても欠席を続ける場合、「懲罰委員会に付する」と規定されています。
懲罰には、軽いほうから「戒告」「陳謝」「登院停止」「除名」の4つがあり、懲罰委員会で「除名」が相当と判断された場合、本会議で出席議員の3分の2以上が賛成すると国会議員の地位を失います。
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220802/k10013747621000.htmlより。改行等は筆者によるもの。以下同)
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上記の様な流れを前に、東谷氏は焦ったのでしょうか。彼は、得意の暴露ネタで、自身の存在感をアピールしようと動きます。
そのネタとは、人気YouTuber「きりたんぽ」氏のキス動画。カラオケ店らしきところで、男性とキスする様子が動画に撮られており、今回の暴露で映像が世に流れました。
この騒動を受け、きりたんぽ氏は活動休止。誹謗中傷や強迫を受ける状況になり、体調を崩したとのこと。
www.j-cast.com(2022/8/3)
人気YouTuberグループ「東海オンエア」のメンバー・てつやさんとのキス動画が流出し、騒動となっていた女性YouTuberのきりたんぽさん(登録者数133万人)が2022年8月2日、謝罪動画を公開した。
てつやさんときりたんぽさんのキス動画は、暴露系YouTuber・ガーシーこと東谷義和さんが7月27日にインスタグラムのストーリーズで暴露していた。
7月27日、東谷さんは「YouTuberたちへ オレにあまりかまうな かまわなければ攻撃されない わかるよな??」とのコメントを添え、インスタグラムのストーリーズでてつやさんときりたんぽさんのキス動画を公開。
過去の動画と見られるものの、現在てつやさんは元AKB48のメンバー・峯岸みなみさんとの交際を明らかにしていることから、一部で批判の声があがっていた。
(https://www.j-cast.com/2022/08/03443106.html?p=all)
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まぁ、上記の様な行動は、東谷氏の芸風とマッチしたものです。国会議員としての先行きが怪しくなった為、急に芸風を変えたワケではありません。
そういう意味では、想定の範囲内かと。
ただ問題なのは、「上記の様な暴露ネタが、国会議員の仕事と何ら関係がない」という点。
人気YouTuberの過去恋愛ネタを暴露したところで、日本のGDPが上がるワケでもなければ、防衛力が増すわけでもない。ましてや、NHKの受信料が安くなったり、スクランブル化が進むワケでもない。
要は、「個人的な趣味」の範疇で止まっており、国会議員としての活動ではない。ちょっと意味不明です。
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国会議員には、「不逮捕特権」や「免責特権」という特権が、憲法で認められています。
「不逮捕特権」は、文字通り「逮捕されない特権」です。「免責特権」とは、「損害が出ても、賠償責任を負わない」という特権のこと。この特権により、国会議員は活動を強く保護されています。
elaws.e-gov.go.jp(2022/8/3閲覧)
ただ、この特権は「国会議員としての活動」について認められる特権です。国会の会期ではない時期や、議員の仕事とは関係ないところにまで、特権は及びません。
典型例としては、「院外での現行犯逮捕」が挙げられます。国会議員が、休日に万引きの現行犯で逮捕されたとしても、国会議員の仕事とは全く関係なし。そこまで保護する必要ナシ。
また、「会期前に逮捕された場合、所属している院の求めがないと、釈放されない」という側面もあります。
東谷氏の所属するNHK党は、国会の中では微力。故に、東谷氏に無条件で味方してくれる議員というのは、かなり少数と思われます。
そういう意味で、東谷氏の身は安泰ではない。
国会議員の特権は、完全なる治外法権を認めるものではないのです。
国会議員としての活動を助ける目的で、特別な権利を与えられているだけ。
国会議員の仕事と認められない場合は、特権もクソもないのです。
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加えて、今回の暴露ネタで活動中止となったYouTuber「きりたんぽ」氏ですが、どうも東谷氏と殆ど面識がなかった模様。
きりたんぽ氏曰く、「何故こうなったのか、よく分からない」
仮に、きりたんぽ氏の認識が正しかったとしましょう。そうなると、東谷氏のやったことは、「無関係の他人に火をつけ、脅しの材料にした」というものになる。
「自分を攻撃すれば、こうなる」という見せしめとして、面識が殆どない方の過去映像を流したことになる。
これ、国会議員の前に、社会人としてもどうなんでしょうか。「全くもって、褒められた行為ではない」としか言えない気がしますね。
東谷氏は、こういう行為でしか、自身の存在をアピールできないのか?
もしそうであれば、国会議員として大問題。NHK党の見解を聞きたいものです。
そして、東谷氏に票を投じた有権者も、自分の投票行動を振り返って欲しい。
東谷氏が国会議員になったのは、紛れもない事実。それを支えた有権者が多かったのも、また同じ。
東谷氏に票を投じた方は、「東谷氏に向けられた批判は、自分に向けられた批判と同じ」と考え、次の行動に移らねばならないでしょう。
暴れる東谷氏を誇りに思うのであれば、また東谷氏に票を投じればいい。東谷氏の行動を暴挙と考えるなら、次は別候補を考えればいい。
そうやって、有権者も賢くなる努力をしなければ、問題議員は量産されます。そして、日本はどんどん弱くなっていく。
国会議員は、国や地域の代表です。
選んだ責任は、有権者にあります。
--------------(記事了)--------------