makaranTB

手作り&裏読み&日替わりブログ

【映画の話】映画『JOKER』談議 (第3回)物語の解釈・その2。夢想世界としての解釈

前回記事の続きになります。

テーマは、映画『JOKER』の魅力を掘り下げるというもの。

ちなみに、前回迄の記事は以下。

tenamaka26.hatenablog.com

tenamaka26.hatenablog.com

 

本連載では、5つのテーマに分けて『JOKER』を分析しています。

そのテーマとは、以下。

(1)未見の方に向けた、基本設定の紹介
(2)物語の解釈1。現実世界としての解釈
(3)物語の解釈2。夢想世界としての解釈
(4)「安倍晋三氏銃撃事件」との関係
(5)作品に罪を問うべきか否か

 

(1)と(2)については、前々回・前回記事内で触れました。

今回は、(3)について語って参りましょう。

 

----------------------------------

 

なお、毎度のことながら注意事項をば。

 

当記事の内容は、映画『JOKER』の結末に触れていきます。従って、ネタバレが嫌な方は、当記事をご覧になる前に、モトネタとなる映画本編を鑑賞してくださいませ。

『JOKER』は超有名作品。大概の動画配信サービス等、アチコチで視聴可能です。一例として、Amazonプライムビデオのリンクを貼っておきます。

ジョーカー(字幕版)

ジョーカー(字幕版)

  • ホアキン・フェニックス
Amazon
ジョーカー(吹替版)

ジョーカー(吹替版)

  • ホアキン・フェニックス
Amazon

 

では、ここから先は「映画を鑑賞済みの方」だけが読める内容です。

その旨、御承知おきください。

 

----------------------------------

 

(3)物語の解釈2。夢想世界としての解釈

 

 

前回記事にて、筆者は「映画『JOKER』の結末は、”現実”と”夢想”の両方向で解釈が可能」と述べました。

前回では、「現実方向の解釈」について触れています。今回は、残る「夢想方向の解釈」について、詳細を語っていきます。

 

「夢想方向の解釈」とは、「この作品は、主人公であるアーサーの内面&精神世界を描いたもの」という解釈です。

 

この構造は、有名アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に通じるものがあります。

最初に世に出たエヴァは、全26話のテレビ放送版。この第25話と第26話は、主人公・碇シンジの内面に焦点を当てた展開になっていました。

それまでは、巨大ロボット(正確には人造人間)で殴り合いが繰り広げられていたのに、いきなり主人公の内面を描く展開にシフト。これに視聴者は困惑し、物凄い賛否両論の嵐が巻き起こりました。

終わる世界(提供:Amazon)
(上画像:『新世紀エヴァンゲリオン』第25話より)

 

その後、「現実世界で繰り広げられた戦いを描く」として、旧劇場版『Air/まごころを、君に』が製作されたワケです。

この辺りの流れは、エヴァ愛好家の方には広く知られた話です。

 

----------------------------------

 

映画『JOKER』は、現実世界ではなく、主人公の内面世界を描いた作品である。

この解釈が成り立つという主張には、それなりの根拠があります。

 

例えば、時計の話。

劇中で、何度か時計が画面に映るのですが、どれも「11時11分」を指しているのです。

そんなに都合よく、11時11分の場面が続くのはおかしい。ですが、これを「精神世界の出来事」と捉えると、「主人公の内面世界の描写だから、現実世界では時間が進んでいない」という解釈が成り立ちます。

 

例えば、カルテの話。

主人公アーサーは、精神病院から「母親の病歴記録書」を強奪するのですが、誰も彼を咎めたり・捕まえたりする様子がない。

精神病院内の出来事ですから、警報装置や警備員が動いてもおかしくありません。ですが、そういう描写はない。

 

例えば、ウェイン邸宅の話。

物語の舞台「ゴッサム・シティ」のトップクラス富豪である「ウェイン家」の門の前で、主人公アーサーがウェイン家の子供とじゃれ合うシーンが流れます。しかし、ウェイン家の警備員等が、速攻で駆けつける様子がない。しばらくしてから、執事が一人やって来るだけ。

ゴッサム・シティの治安が悪いことは、周知の事実。しかし、富豪の邸宅でザル警備。現実世界の様子としては、ちょっと辻褄が合いません。

 

そして、最大の根拠は、「主人公アーサーには、脳神経系の持病があり、妄想癖がある」という設定。

この設定を素直に飲み込むと、上記の疑問点は「全てアーサーの妄想内の出来事だ」という説明により腑に落ちてしまうのです。

 

----------------------------------

 

上記に挙げた要素から、「映画『JOKER』は、夢想世界の話である」という解釈も可能になります。

しかし、この解釈。身も蓋もない言い方をすれば、「夢オチ」です。ストーリー作成者にとっては、「整合性や伏線回収に気を遣わなくて済む、非常に便利な設定」ではあります。が、安易に使うのはNG。下手に使えば、物語がペラペラの軽いものになってしまう。

故に、筆者としては、「現実世界の出来事」という解釈に票を投じます。そちらの方が、非常に重厚な味わいが出て来る。名作映画として楽しむなら、夢想世界解釈は勿体ないでしょう。

 

 

映画『JOKER』は、社会派のサイコスリラーです。

故に、「現実世界の闇を炙り出す話」や「現実でも起こり得る話」と受け止める方がよい。そう考えれば、単なる娯楽作品で終わることなく、リアル世界で考える為の材料になります。「コンピューターで、未来のシミュレーションをやってみました」という具合に。

そして、そのシミュレーションが、本当にリアル世界へ反映されたかもしれないのです。映画『JOKER』の公開から約3年後の2022年に、日本国内にて。

 

この「リアル世界への反映」については、次回記事にて語ることと致しましょう。

長くなるので、本日はここまでとさせてください。

 

 

-----------------(記事了)-----------------

 

 

ジョーカー(字幕版)

ジョーカー(字幕版)

  • ホアキン・フェニックス
Amazon
ジョーカー(吹替版)

ジョーカー(吹替版)

  • ホアキン・フェニックス
Amazon

ジョーカー [Blu-ray]

ジョーカー [Blu-ray]

  • ホアキン・フェニックス
Amazon
終わる世界

終わる世界

  • 緒方恵美
Amazon