先日、有名大学「一橋大学」にて、カンニング騒動がありました。
2022年1月末に実施された、外国人留学生向けの入学試験において、小型機器を使った不正行為があった。
しかし、その場で咎められたワケではなく、かなり時間が経過してから判明した。
…掻い摘んで言うと、こういう具合です。
www.asahi.com(2022/6/10)
www.yomiuri.co.jp(2022/6/10)
一橋大(東京都国立市)の外国人留学生向け入試で数学の問題が外部に流出した事件で、警視庁は9日、ともに中国籍で、受験生の男(22)(東京都新宿区)、不正に協力したとみられる大学院生の男(28)(中央区)を偽計業務妨害容疑で逮捕したと発表した。逮捕はともに8日。
発表によると、2人は共謀し、1月31日に一橋大で行われた私費留学生選抜試験で、午後4時から40分間の数学の試験時間中に少なくとも7問の問題を何らかの方法で撮影。この画像7枚をSNSを通じて外部に流出させ、一橋大の業務を妨害した疑い。
受験生の男が試験会場で問題用紙を撮影し、大学院生の男に送信。大学院生の男がさらに外部に送った画像が、後にインターネット上に流出していたという。
(https://www.yomiuri.co.jp/national/20220609-OYT1T50170/より。改行等は筆者によるもの。以下同)
国際犯罪対策課によると現在大学生の王嘉璐容疑者(22)=東京都新宿区=は1月31日午後4時過ぎ、一橋大が実施した「私費外国人留学生選抜試験」で数学の試験を受験中、大学院生の李歳寒容疑者(28)=同中央区=らを通じて問題用紙の画像をSNSで外部に送り、流出させた疑いがある。
同課は2人の認否を明らかにしていない。
捜査関係者によると、李容疑者は1年ほど前に王容疑者の家庭教師を務めていた。
李容疑者は調べに、「日本語」と「総合科目」の試験でも王容疑者から試験問題を映した動画などを受け取り、その解答を王容疑者に伝えた、と説明しているという。
王容疑者の自宅からは小型イヤホンが見つかっており、同課は解答を外部から聞きとる目的だったとみている。
(https://www.asahi.com/articles/ASQ696JM4Q69UTIL01R.html)
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近年の電子機器については、発展が物凄い。それこそ、『007』や『ミッション・インポッシブル』を超えるものが、安価で販売されています。
また、ダークウェブみたいな危険地帯に行かなくても、電気街やアングラ系雑誌で普通に買えます。何なら、普通の通販サイトでも入手可能。そんなレベルです。
容疑が真実だと仮定して…
今回のカンニングで使われたものは、恐らく「小型カメラ」「小型イヤホン」「スマートフォン」でしょう。
筆者が推測する不正手法は、以下。
(1)「メガネのフレームに内蔵できる大きさ」という小型カメラは、珍しいものではない。それを衣服などに仕込み、問題用紙を撮影し、画像データをスマートフォンを経由して外部へ流す。
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(2)その画像を受け取った仲間が、問題を解く。
↓
(3)解答は、電話の要領で、スマートフォンに音声データとして送信。
↓
(4)音声は、スマートフォンを経由して、不正受験生がコッソリ耳に入れたイヤホンから流れる。
これならば、然程怪しい動きを見せることなく、カンニングが可能。
1月末の不正が、長期間放置されていたというのも、十分理解できる話です。
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この手の不正を阻止するには、電波妨害が有効。外部とのヤリトリを不可能にすればOK。
しかし、妨害にはそれなりの装置や設備を用意しなければならず、コストがかかります。そこが難点。
mainichi.jp(2022/6/11)
インターネットを悪用し大学入試中に問題文を流出させる事件が相次ぐ中、大学入試センターなどが2023年度入学生対象の試験で講じるカンニング対策をまとめた。
電波遮断装置で、不正の道具になるスマートフォンを使えなくする対策も検討されたが、大学入学共通テストだけでも導入に100億円程度かかるため見送った。
(https://mainichi.jp/articles/20220611/ddq/041/100/004000cより。強調は筆者によるもの)
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そういえば…
この手の試験不正は、10年前には既に発生していますね。
その舞台は、大学入試ではなく「運転免許試験」です。
www.nikkei.com(2013/9/3)
自動車運転免許の学科試験で携帯電話を使ったカンニングを防ぐため、警視庁は10月に東京都内3カ所の運転免許試験場に携帯電話の電波を遮断する装置を設置する方針を決めた。
昨年、携帯電話と小型イヤホンを使った中国人グループによるカンニングが発覚したことを受け、全国で初めて導入する。
警視庁は昨年6月、受験者に米粒大の金属製イヤホンを耳に装着させ、外部から携帯電話で正答を伝えたとして、中国人グループを道路交通法違反(免許証不正取得)容疑で摘発した。
免許を不正取得した中国人は約300人に上るとみられ、これまでに約200人の免許が取り消された。
(https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0300W_T00C13A9CC0000/)
警察には、電波妨害を実施した経験がある筈。
今回の大学入試不正を考える際、関係者が警察からの情報を得ていたかどうかは、紙面からは分かりません。が、もし警察から意見を聞いていないのであれば、是非とも参考にして頂きたい。
真面目にやっている受験生が、馬鹿をみない。
そんな世の中になって当たり前。
--------------(記事了)--------------