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【阿武町・誤給付問題の話】掘り下げたいポイントは、3つある(中編)

前回記事の続きになります。

テーマは、「山口県の阿武町(あぶちょう)で起きた、町役場による誤給付問題」について。

tenamaka26.hatenablog.com

 

日本海に面した、町民・約3000人の小さな自治体「山口県の阿武町」。

この町で、役場の事務的ミスから起きたトラブルが、警察沙汰にまで発展。マスコミが盛んに取り上げ、全国ネットで報じられています。

ミスの内容は、「大勢に配る筈の給付金を、間違えて一人にまとめて支払ってしまい、その金を使い込まれた」というもの。

 

筆者は、この問題に関して「3つのポイントに絞って考える」と述べました。

そのポイントとは、以下。

(1)容疑者の持つ、考えの甘さ

(2)町の対応について

(3)決済業者の謎

 

前回は(1)について触れました。今回は(2)について掘り下げていきます。

 

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(2)町の対応について

 

驚くのは…

「金をネットカジノで使い込んでしまい、なくなった」と言い、逮捕された容疑者を相手に、速攻で9割方の金を回収したという点。

 

正確に申せば、町が雇った弁護士さんの力量によるものですが…

何とも仕事が早い。

 

mainichi.jp(2022/5/24)

www3.nhk.or.jp(2022/5/24)

 

今の所、全額回収には至っていません。回収残は、約300万円。

とはいえ、町が「容疑者の供述を鵜呑みにして、諦める」という方向に行かず、何とか取り戻そうとして・実際に取り戻したという姿勢は、なかなかのものです。

その点は、素直に天晴と申してよいかと。

 

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他方、「何故、こんなミスが起こったのか?」については、まだまだ調べなくてはなりません。

 

今回の誤送金は、町役場の担当者が金融機関に依頼し、受けた金融機関が指示通りに行ったものです。事の発端は、間違いなく役場にある。

先ず、「金融機関とヤリトリしたのは、配属されたばかりの新人職員」という話が出て、ネットは炎上。そこに、「データのヤリトリに、フロッピーディスクが使われていた」という話も出て、更に炎上。

「新人職員がバカやった」「フロッピーみたいな古いメディアを使っているから、事件が起きたのだ」という主張も飛び交い、かなりのカオス状態に。

 

しかし、「新人だろうがフロッピーディスクだろうが、そんなことは関係ない。凡ミスを止められなかった、町役場の体制に問題がある」と考える人は、それほど多くない模様です。

 

フロッピーではなく、よりアナログな「書面」「紙媒体」でも、チェック機能が働かなければスルーされます。

また、新人にはミスがつきもの。そこを本気で心配していたかどうか、町役場の姿勢がハッキリしない。

 

一部マスコミからは、「新人職員は、単にフロッピーを金融機関に届けただけであり、データを作成したワケではない」という記事も出ています。

そうであるならば、当該新人職員は”単なるメッセンジャー”であり、主犯ではありません。その辺りの事情を、町役場は声を大にして言うべきです。

 

既に、誹謗中傷の被害も報告されています。

役場は、組織として、早めにシッカリと対応した方がいい。

newsdig.tbs.co.jp(2022/5/24)

■“誹謗中傷”町職員父親語る 「ネットで検索してみたら・・・」


一方、今回の事件をめぐっては別の問題も・・・。

 

24日の会見を静かに見つめる男性。

男性の息子は4月、阿武町に入ったばかりの新人職員です。しかも、配属先は給付金の振り込みなどを行う出納室でした。

今回の誤送金問題が明るみに出ると、「ミスをしたのは、新人職員」という情報がネットなどに出回るように・・・。

 


阿武町 新人職員の父親 「僕も息子を信じてはいるんですが、ちょっと心配になってネットで検索をしてみたんですよね。そしたらもろに特定した、というサイトが一番上に出てきて、もろに顔写真まで出ていたので、これはちょっとどうにかしなきゃいけないんじゃないかと」

なんと息子が、今回の“ミスを犯した張本人”として顔写真まで出回っていたのです。

 

父親によると、出納室は2人態勢。

3月までは室長とベテラン職員で業務を行っていましたが、4月にベテラン職員が異動し、新人職員の息子と室長の2人で作業することになったといいます。

誤送金が起こったのは、そのすぐあとのことです。

阿武町 新人職員の父親「息子に聞いたらですね、上司の方から、これを銀行の方に持っていってくれと、クリアファイルみたいなものと、そのときにフロッピーとか書類とか入ってたみたいなんですけども、それを銀行まで持って行ったということでしたね」


記者「フロッピーの作成とかに全くかかわってない?」

 

阿武町 新人職員の父親「そうですね。全く。渡されたものを出しに行ったと」

 

町にも確認したところ、新人職員の息子は書類などを銀行に持って行っただけで、給付金のミスとは無関係ということでした。 

しかし、ネットでは誹謗中傷が相次ぎます。

阿武町長は24日会見で・・・

山口・阿武町 花田憲彦町長「実はこの件に関して、元出納室にいた直接関係のない若い職員、そして出納室長、これら2人の顔写真がネットとかそういうモノにさらされて、本人達が心を病むような状況になっております。どうか節度ある対応をよろしくお願いしたいと思います」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/53586?display=1より。改行・強調等は筆者によるもの)

 

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阿武町長は、会見で「誹謗中傷は止めて欲しい」と訴えています。その主張は、組織の長としては至極当然のもの。

そして、意味不明な誹謗中傷は、そもそもやってはいけないこと。場合によっては、脅迫や業務妨害に問われる可能性すらあります。

 

ただ、早めに誹謗中傷を止めたいのであれば、「何故、今回の様なことが起こったのか」「何故、止められなかったのか」について、阿武町長の口から説明すべきなのです。

そして、その説明は理解し易いものでなければ駄目。責任の所在を明確にし、再発防止策が見えてくる内容でなければ、意味がない。

筆者の知る限り、「町役場から明確な説明があった」という話は見当たらない。

 

非常に分かり難く、責任の所在がウヤムヤになりそうな説明をすれば、炎上騒動が更に酷くなるでしょう。

これは、阿武町に限ったことではありません。

行政によくある「無責任体質」。そこに向かう日本人の怒りが、炎上を起こすのです。

 

トラブルが起きた背景には、必ず理由があります。

理由がハッキリすれば、誰かが痛い目をみなければならない。

それを嫌がる無責任公務員が、説明から逃げて炎上騒動を起こす。

今回の誤送金騒動にも、このパターンが見えているのです。このパターンを打ち消さねば、なかなか鎮火しないでしょう。

 

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さて、次は「(3)決済業者の謎」について触れていきますが…

長くなるので、本日はここまでとさせてください。

続きは次回記事にて。

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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  • 作者:渡部 卓
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