<この記事は、2022年5月6日21時頃迄の各種情報を基にして、執筆しております>
前回記事の続きです。
テーマは、「ロシアのプーチン大統領が、ラブロフ外相の不始末に関し、収拾に動いた」というもの。
ロシア政府の得意技である、「あいつはナチス」というレッテル貼り。
根拠が曖昧(若しくはゼロ)にもかかわらず、一方的にナチスと決めつける。ロシア側の主張に対する分析や反論には、「そちらの考えが間違い」「フェイクだ」と切って捨てる。そういうゴリ押しで、戦争まで仕掛ける。
これが、今のロシア政府です。
その傲慢な姿勢が、「ナチスから大きな被害を受けた、ユダヤ人勢力」の怒りを買いました。
ロシアのラブロフ外相が放った、三段論法。
「ナチスのボスだったヒトラーには、ユダヤ人の血が流れている」
「つまり、ユダヤ人は同胞殺しを厭わない」
「従って、ウクライナのゼレンスキー大統領がユダヤ系であっても、ナチスになれるのだ」
これを聞いたイスラエルが激怒し、国際問題と化しました。
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イスラエルは、ユダヤ人勢力が建国した中東の国です。
小さいながらも強い国。様々な面で、世界トップクラスの能力を持つ国。そして、戦いを恐れない国でもある。
ラブロフ外相は、この国を敵に回す発言を放ってしまった。これはロシアにとって、非常にマズイ話です。
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この状況に際し、ロシアのボスであるプーチン大統領が動きました。
プーチン氏は、イスラエル首脳と電話で会談し、そこで謝罪したとのこと。
自らの過ちを認めないプーチン氏が、相手に謝罪するとは…珍しい話です。
jp.reuters.com(2022/5/6)
www.bbc.com(2022/5/6)
www.yomiuri.co.jp(2022/5/6)
ロシアのプーチン大統領は5日、セルゲイ・ラブロフ露外相がナチス・ドイツの独裁者ヒトラーをユダヤ系だとした発言について、イスラエルのナフタリ・ベネット首相に謝罪した。
イスラエル首相府が発表した。
発表によると、5日に両首脳の電話会談が行われ、その中でプーチン氏が謝罪した。
ベネット氏はこれを受け入れた上で、プーチン氏がユダヤ人とホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)への配慮を示したとして感謝を述べた。
ラブロフ発言を撤回したかどうかは不明だ。
露大統領府は会談後の声明で、プーチン氏の謝罪には言及しなかった。
(https://www.yomiuri.co.jp/world/20220506-OYT1T50172/より。改行等は筆者によるもの)
「プーチン氏の謝罪」を発表したのは、イスラエル側です。
他方、ロシアからは謝罪についての話は出ず。まぁ、独裁政権は過ちを認め難いので、謝罪したとは発表できない。よくあることです。
特に、今回の一件は「ロシア側の誤り」と認める訳にはいかない。
何故なら、ウクライナに侵攻する大義名分が、「ゼレンスキー大統領はナチスだ」という話ですからね。
この話に関する謝罪は、大義名分の根本を崩しかねない。故に、ロシア側から「間違っていたので謝罪した」と発表できません。ダンマリを決め込んで有耶無耶にするのが精一杯。
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今回の謝罪に関しては、「ロシアが怒らせた相手は、イスラエル」という点が大きかったでしょう。
先程も述べましたが、イスラエルは「戦いを恐れない国」です。事実上の核保有国でもある。敵に回すと非常に厄介です。
そこに加えて、ラブロフ外相の発言が出る前は、ロシアに対して然程敵対的ではなかった。ここで謝罪しておかなければ、ロシアに敵対する国が増えることになります。しかも、かなり手強い敵になる。
もしプーチン氏が、「冷静な判断力がゼロになるレベルで、暴走している状態」だったならば、今回の謝罪には至らなかったでしょう。
しかし、プーチン氏は謝罪した。まだ冷静さが残っている証といえますね。
(ほんの少しだけかも知れませんけれど)
ウクライナに侵攻した時点で、プーチン氏に冷静な判断力が残っているのか疑問でした。
「ひょっとして、全面核戦争すらやりかねないのでは?」と、危惧する声もあります。
筆者も、同様の心配をしています。
今回の謝罪をもって、上記の心配事が消えるものではありません。が、一縷の望みは残っている…といえるでしょう。
もし全面核戦争になれば、プーチン氏も死ぬ可能性が大きい。氏が「自分だけは大丈夫」と考え、暴走しない様に祈るばかりです。
--------------(記事了)--------------