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手作り&裏読み&日替わりブログ

【有毒動物の話】10㎝の殺し屋

5月に入りました。

カレンダーにある連休(ゴールデンウィーク)は、もうすぐ終わろうとしていますね。

人によっては、5月6日~8日までを祝祭日にくっつけて、10連休にしている場合もあるでしょう。いやはや、羨ましい。

 

今年の連休は、コロナ騒動後初、「大きな行動制限のない連休」となりました。広い地域で晴れて気温が上がり、お出かけする方も増えています。

しかし、未だコロナ騒動が完全収束したワケではありません。故に、人混みが凄そうな場所を避け、風通しの良い山や海へ行く方も目立っています。

 

しかし、自然の中には危険がいっぱい。気を付けないと、命にかかわる話も出てきます。

そんな話の中から、当記事では「海に関する危険な話」をひとつ、紹介致します。

 

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実はこの話。結構前から続く話であり、今年初めて出てきたものではありません。

ですが、筆者の周囲に尋ねてみると、かなり知らない方が多い模様。故に、注意喚起の意味を込めて、ピックアップさせて頂きます。

 

その危険とは、海辺に潜む小さな生き物のこと。

猛毒を持ち、人間の死亡例も報告されている危険生物です。

その大きさは、約10センチメートル。かなり小さい生物ですが、それでも人を殺すパワーを持っています。

 

その名は、「ヒョウモンダコ」です。

www.yomiuri.co.jp(2022/4/27)

 

徳島県は、猛毒を持つヒョウモンダコが徳島県阿南市椿町の沿岸で見つかったと発表した。

かまれると死亡する恐れがあり、県は「見つけても絶対に近づいたり、触ったりしないでほしい」と呼びかけている。

 

ヒョウモンダコは体長約10センチで、沿岸の岩場などに生息する。

刺激を受けると、全身に青いリング模様が浮かぶのが特徴。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220427-OYT1T50041/より。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)

 

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ヒョウモンダコは、漢字で書くと「豹紋蛸」。

ネコ科の動物「豹(ヒョウ)」の模様と同じ様な体表を持つ、タコの仲間です。

元々は、小笠原や沖縄以南等の「暖かい海」に住むタコでしたが、近年の海水温上昇等により北上。本州・四国・九州にかけて、広い範囲で確認されるようになりました。

生物毒の科学 (大英自然史博物館シリーズ 3)(提供:Amazon)

 

ヒョウモンダコの表面は、基本的に「地味な縞模様」です。

しかし、警戒時や興奮時には「青と黒の輪っか」みたいなものが多数出現します。この状態をして、「豹紋蛸」と名付けられました。

www.youtube.com(2016/1/8)

www.youtube.com(2020/10/5)

 

上記「豹柄状態」になると、非常に危険。

ヒョウモンダコは、積極的に人を襲う生物ではありませんが、身の危険を感じれば人を咬みます。小さいタコですが、舐めてかかると死ぬかもしれません。

 

ヒョウモンダコの持つ毒は、「テトロドトキシン」という猛毒。フグの毒と同じ物質であり、神経毒の一種。青酸カリの数百倍以上ともいわれている、怖い毒です。

フグの場合は、経口摂取による食中毒。他方、ヒョウモンダコの場合は、「咬まれて毒を注入される」という経路です。

 

ちなみに、フグの毒にあたった場合は、以下の症状が出ます。出典は、厚生労働省のページです。

フグ毒による中毒症状は食後20分から3時間程度の短時間で現れる。

重症の場合には呼吸困難で死亡することがある。中毒症状は臨床的に4段階に分けられる。

 

第1段階: 口唇部および舌端に軽い痺れが現れ、指先に痺れが起こり、歩行はおぼつかなくなる。頭痛や腹痛を伴うことがある。

第2段階: 不完全運動麻痺が起こり、嘔吐後まもなく運動不能になり、知覚麻痺、言語障害も顕著になる。呼吸困難を感じるようになり、血圧降下が起こる。

第3段階: 全身の完全麻痺が現れ、骨格筋は弛緩し、発声はできるが言葉にならない。血圧が著しく低下し、呼吸困難となる。

第4段階: 意識消失がみられ呼吸が停止する。呼吸停止後心臓はしばらく拍動を続けるが、やがて停止し死亡する。

https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_01.html

 

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ヒョウモンダコの毒で死なない為には、兎にも角にも「ヒョウモンダコに咬まれない」という予防が最重要。

素手で触るのは論外ですし、ウエットスーツ程度であれば食い破る(貫通する)こともある。見つけても、とにかく近付かないこと。これが最善策です。

 

それでも咬まれてしまったら、速攻で医療機関に助けを求めるしかありません。

テトロドトキシンに対する解毒薬・特効薬の類は未だ存在せず、医療機関で対症療法を施すのがメインになります。

テトロドトキシンは、かなり即効性のある毒です。咬まれた後でノホホンとしていると、手遅れになり易い。出来るだけ早く医者の診察を受けましょう。

(参考:https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/shokuhineisei/shokuchudokuyobo/fugu/shokuchudoku.html

 

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なお、補足情報として、「ヒョウモンダコに咬まれた時の、応急処置の方法」を紹介しておきます。出典は、「国土交通省・国土技術政策総合研究所・社会資本マネジメント研究センター 緑化生態研究室」のページより。

公園管理者に向けた情報になっていますので、一般人には少々敷居が高いかもしれませんが、参考にはなるでしょう。

〈咬まれたときの対処〉
□被害者が水中にいる場合は、すぐに陸地に上げる。
□ただちに周囲の人へ助けを求め、救急車を手配する等して、すみやかに医療機関を受診する。その際、毒が回らないよう、できるだけ安静にする。


〈応急手当等〉
□傷口の血を絞るようにして毒を押し出す。指でつねるか、ポイズンリムーバーがあれば使用する(ヒョウモンダコの毒は胃で消化されないため、口に含むと大変危険)。
□傷口を流水で洗い、毒を流す。
□神経麻痺をきたし呼吸障害に陥った場合は、気道を確保し人工呼吸を行う。

http://www.nilim.go.jp/lab/ddg/seibutsuhigai/family_33.html

 

 

--------------(記事了)--------------