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【ウクライナ状勢の話】余計な一言を放ったが為に、強烈な敵を呼びそうなロシア

<この記事は、2022年5月3日20時頃迄の各種情報を基にして、執筆しております>

 

 

「あいつはナチスだ」

「だから軍隊を使って攻め込んでもOK」

これは、ロシアが好んで使うロジックです。今回のウクライナ侵攻でも同様。

プーチン政権では、何でもかんでも「ナチス対策」と言えばゴリ押しが効く。そういう考えで事に当たる場面が多い。

 

「なぜそうなるのか?」というと、話は第二次世界大戦まで遡ります。

ナチスとは、かつてドイツを率いた政党。「ユダヤ人虐殺」等で知られる、悪名高きヒトラー(ヒットラー)がボスでした。

ナチス政権時のドイツは、第二次世界大戦でロシア(ソビエト連邦)に攻め込んだことがあります。この時の犠牲者が半端ない。「ロシア側には、2700万人の戦死者が出た」とされており、ナチスに対するロシアの感情は動かしがたいものがあります。

ちなみに、日本やドイツの戦死者は、各々300万人前後とされています。300万人でも酷いものですが、ロシアの「約2700万人」は凄まじい。

 

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他方、「何の裏付けもないまま、相手をナチスと決めつけ、軍事力をもって侵略する」という蛮行をやっているのが、現在のロシアです。

説得力のある理由が述べられたとすれば、まだマシです。しかし、今のロシアが放つ主張は、説得力皆無。故に、多くの国から反発を受け、様々な形で包囲網を敷かれているのです。

 

そして、ロシアはとうとう「本丸」とも呼べる方々を怒らせてしまった模様。

その切っ掛けとなったのは、ロシアのラブロフ外相が放った発言です。

発言内容は、「ヒトラーには、ユダヤ人の血が流れている」というもの。この発言を聞いて怒った「本丸と呼べる人々」とは、ヒトラーから強烈な迫害・虐殺を受けたユダヤ人の子孫「イスラエル人」です。

www.jiji.com(2022/5/2)

 

ロシアのラブロフ外相が1日、イタリアのテレビとのインタビューで、ユダヤ人を弾圧したナチス・ドイツの独裁者ヒトラーに「ユダヤ人の血が流れている」と発言し、イスラエルで反発が高まっている。

ベネット首相は2日、「極めて深刻だ」と指摘。ラピド外相は「許せるものではない」と述べ、ロシア大使を呼び抗議する姿勢を示した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050200612&g=intより。改行等は筆者によるもの。以下同)

 

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なぜラブロフ外相は、こんな発言をしたのか?

 

まぁ、簡単に言えば、「イスラエルのことまで考えていなかった…という、脇の甘さ」が露呈したのでしょう。

先程も書きましたが、ロシアのやり方は、「とにかく相手にナチスのレッテルを貼り、ナチスだから何をやってもいいと主張する」というゴリ押し。”ナチスと断定できる理由”の説明などは、一切なし。レッテルを貼って潰しにかかることが主目的であり、事の真偽は二の次なのです。

これは、独裁&強権国家の国内では有効な方法です。政権に反対する連中は、皆逮捕するか殺すかで封じ込め、マスコミを弾圧してプロパガンダを流せば済む話ですからね。

故に、他の事まで考えない。とにかく相手を潰せばいいので、説得などは考えないのです。

 

今のロシアは、ウクライナに侵攻しています。

その理由が、「ウクライナのゼレンスキー政権は、ナチス政権だ」というもの。典型的なレッテル貼りです。

そもそも、ゼレンスキー氏はユダヤ系のウクライナ人です。その人がナチスというのは、ちょっと無理がある。本来なら、きちんと調べて説明し、多くの人を説得できる理由を説明しなければならないのですが、そういうのは皆無。「とにかく、ゼレンスキーはナチスだ」と言って攻め込むだけ。

マトモな理由が説明できないので、「ゼレンスキー大統領はユダヤ系だが、ユダヤ人でもナチスになれる」と主張し、その勢いで「あのヒトラーだって、ユダヤ系だっただろ!」と言い放ってしまった。これが真相ではないか?…と。

www.afpbb.com(2022/5/2)

ラブロフ氏はイタリアメディアが1日に公開したインタビューの中で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領が、自らユダヤ人である以上「どんなナチズムを持てるというのかと反論している」と言及したとされる。

 

ロシア外務省のウェブサイトに掲載された外相発言の書き起こしによると、ラブロフ氏は「私の誤解でなければ、ヒトラーにもユダヤ人の血が流れていた」と述べたという。

https://www.afpbb.com/articles/-/3403072

 

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「ユダヤ人を迫害・虐殺したヒトラーは、実はユダヤ系だった」

こういう発言を放った政治家を、筆者は存じておりません。ラブロフ外相が初めてです。政治家だけでなく、マスコミ関係者や学者の中にも、同様の発言をした人を見た事がない。

 

強いて言えば、「手塚治虫」氏の漫画『アドルフに告ぐ』が、設定に採用しているくらいでしょうか。

この漫画は、「ヒトラー(ヒットラー)にはユダヤ人の血が流れており、世間にバレるとナチスが大義名分を失ってしまう。その為、ナチスは必死になって、秘密を知る者を殺害していく」という展開になっています。

アドルフに告ぐ 1(提供:Amazon)

 

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ラブロフ外相の発言を耳にして、激しく怒ったイスラエル。

これは、ラブロフ外相の完全なる失点といえるでしょう。

 

ロシアがウクライナに侵攻してから、イスラエルは両国に対し「中立的な姿勢」を見せてきました。

今回のラブロフ発言により、その姿勢が変わってしまった。「この発言が原因で、イスラエルがロシアに軍事侵攻する」とはならないでしょうが、イスラエルがロシアに対して大きな嫌悪感を持ったのは確実でしょう。

 

しかし、イスラエルを敵に回したとしても、ロシアが「ウクライナのゼレンスキー政権は、ナチスである」という発言を撤回しないでしょう。

その根拠として放った、「ゼレンスキー大統領はユダヤ系だが、ナチスのヒトラーにもユダヤ人の血が流れていた」という発言も撤回しないでしょう。

もし撤回すれば、侵攻の大義名分を失うことになりますからね。

 

ただ、ロシアは発言を撤回しないとしても、有耶無耶にする可能性はあります。誤魔化して揉み消す方向に行くかもしれません。

が、それではイスラエルが納得しない。

 

イスラエルは、国土や人口こそ控えめな国ですが、軍事力や諜報能力には目を見張るモノがあります。

特に有名なのは、「アイアンドーム」というミサイル防衛システムや、「モサド」という諜報機関等。それぞれが、世界でもトップクラスの能力を持つとされています。

そんな国が、ロシアに嫌悪感を持つとなれば…?

 

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今のプーチン政権は、「とにかく、相手を脅してゴリ押せばいい」という考えに満ちています。

故に、相手を説得することに興味がない。ヤル気もない。その姿勢が、イスラエルの怒りを招いたといえるでしょう。

 

しかし、ここまでゴリ押し一辺倒で進んできたロシア。今更変わるワケにもいかない。もし変われば、政権中枢にいるプーチンと側近連中は、命の危険すらあります。

何か、ますます軟着陸(ソフトランディング)のイメージが見えなくなってきました。今でも、半ば「第三次世界大戦」の様相になっていますが、更に混沌としていきそうな雰囲気です。

 

この事態を打開する為に、我々一般人が出来る行動は、ほぼゼロ。

せめて、「ネット上の怪しい情報」に引っかからないように、用心するくらいでしょうか。

最近のSNSやネット掲示板では、ラブロフ外相の発言と同じ「ウクライナはナチス」という書き込みが増えています。その書き込みにも、根拠らしい根拠は添えられていない。ロシア側の主張を鵜呑みにしているものです。信じるに値しない。

 

「裏取りができないまま、脳直で情報を拡散する」ということを止める。

これは、「小さな情報戦に勝利した」ということと同義である。筆者はそう考えています。

小さいことからコツコツと。それが、「問題解決への確かな一歩」になるでしょう。

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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