本日は、とあるサスペンス映画をご紹介します。
作品のタイトルは、『ウォー・ゲーム』です。
『ウォー・ゲーム』は、1983年のアメリカ映画です。今から約40年前のレトロ作品。
ジャンルは「サスペンス」に分類されていますが、「災害パニック映画」的な側面もありますね。何せ、人類滅亡が見え隠れする作品ですので。
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『ウォー・ゲーム』で扱われるネタは、「第三次世界大戦」「核戦争」「ハッキング」「AI(人工知能)」等です。
この作品が制作・上映された当時は、現在のロシア連邦の前身であるソビエト連邦(ソ連)が健在。冷戦と呼ばれる緊張状態が長く続いていました。その状況下で、「コンピュータ絡みの核戦争」を描く。
当時としては、なかなか先進的な映画といえます。
「コンピュータ&核戦争モノ」といえば、『ウォー・ゲーム』と同時期(1984年)に公開された『ターミネーター』の名前も思い浮かびます。
しかし、『ターミネーター』のメインは、「殺人ロボットvs抵抗軍兵士」というもの。サスペンスというよりホラーに近い。『ウォー・ゲーム』とは色合いが違います。
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『ウォー・ゲーム』の粗筋をザックリ説明すると、以下の様なものになります。
▼舞台は、制作当時(1980年代)のアメリカ。
▼主人公のデビッドは、コンピュータスキルに長けた男子高校生。その腕前は凄まじく、「学校のPCに侵入して成績表を書き換える」といったハッキング(クラッキング)行為を、いとも簡単にやってのけるレベルである。
▼当時は、パソコンがマイコン(マイクロコンピュータ)と呼ばれていた時代。2022年から見れば、PC普及率はまだまだ。一般家庭に存在すること自体が珍しい状況であり、デビッドのスキルは特異だった。
▼ある日のこと。デビッドは、いつもの様にハッキングを行っていた。すると、今迄接触したことのない、見知らぬコンピュータに侵入してしまう。
▼そのコンピュータの中には、様々な「ゲームのデータらしきもの」が格納されていた。恐らく、ゲーム会社のデータセンターみたいなものだろう。
▼そのデータの中で、デビッドが強い興味を持ったのは「世界核戦争」という名のデータだった。面白そうなゲームだと思ったデビッドは、プレイを開始する。
▼ただ、デビッドは本当のことを知らなかった。デビッドが侵入したのは、ゲーム会社のデータセンターなどではなく、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)が管理するAI(人工知能)だったのだ。
▼NORADは、爆撃機や核ミサイルなどの航空戦力に関し、北米(アメリカとカナダ)地域の監視と防衛を担う軍事組織である。その組織が管理するAIの中には、核戦争のシミュレーターが格納されていたのだ。デビッドは、そのシミュレーターをゲームと勘違いし、起動させてしまったのである。
▼デビッドの操作により、核戦争シミュレーターは誤作動を起こし、「仮想ではなく、実際に核ミサイルが飛んできた」という警報を出した。この警報を、NORADの職員は「実戦」と受け止めてしまう。
▼そうとは知らないデビッド。「自分の行為が、本物の核戦争を招こうとしている」とは全く考えず、単なるゲームとしてプレイを続行。このままでは、本当に核戦争が起きてしまうのだが…
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冒頭にも申し上げましたが、『ウォー・ゲーム』は今から約40年前・1983年の映画です。
当然、登場するコンピュータも古い。
ブラウン管画面に、ファミコン以下の粗いグラフィック。メモリはKB(キロバイト)単位。今では全く使い物になりません。
しかし、それが逆に怖さを招きます。
「こんな粗い造りの機械に、核戦争の引き金を持たせるのか?」という恐ろしさ。
何を考えているか、表面からは読み取れない。そういう無機質さが怖い。
そういえば…
「何を考えているか分からない者が、核のボタンを管理している」という状況、現代でもありますよね?
そういう恐ろしい状況を、『ウォー・ゲーム』公開から40年経過しても、リアル世界では改善できなかったワケです。悲しいことに。
その者の名は、プ●チンといいます…。
-----------------(記事了)-----------------