makaranTB

手作り&裏読み&日替わりブログ

【北京冬季五輪の話】本来の五輪は、こうあるべき

北京冬季オリンピックが、閉会しました。

何事もなく無事に…と言いたいところですが、様々な疑惑が噴出したオリンピックになってしまった。これは否めません。

 

スキージャンプで、上位陣の失格者続出。

開催国の中国にゴマをすった様な、不可解な判定。

ロシアのドーピング問題。

その他諸々。何ともスッキリしない大会になってしまいました。

 

競技以外でも、ウイグルのジェノサイド(虐殺)や、言論統制・弾圧・取材の不自由、中国製アプリの危険性…等々の問題が多々アリ。

違う意味で、歴史的大会になった感があります。

mainichi.jp(2022/2/20)

 

------------------------------------------

 

他方、悪い話ばかりでもありません。良い話もあります。

 

毎度のことですが、選手の皆さんは精一杯頑張ったと考えます。

色々と不可解なことだらけの大会ではありましたが、ベストを尽くした選手ばかりでした。

筆者は、熱心に北京冬季オリンピックを視聴しておらず、偶に流れるニュースで断片的に大会内容を知る程度でした。が、それでも選手の頑張りは伝わりました。

 

その中で、最も筆者の印象に残ったのは、女子パシュートに関する話です。3人がチームを組んで行う、スピードスケート競技ですね。

このエピソードを見て、筆者は「オリンピックは、こうあるべき」と考えました。

 

------------------------------------------

 

北京冬季オリンピックを熱心に視聴していた方は勿論、筆者と同じく「ニュースは見ていた」という方もご存じでしょうが…。

女子パシュートの日本代表チームは、決勝に進みました。が、チームの一人がコーナーを曲がり切れずに転倒し、2着の銀メダル。惜しい結果になりました。

 

パシュートは、チーム戦です。故に、転倒した選手は責任を感じて泣きまくり。ニュース映像を見ているだけで、非常にいたたまれない気持ちになりました。

しかし、所謂「戦犯糾弾」みたいなことは起こらなかった。少なくとも、筆者の知る限りでは、責め立てる様な話はなかった。

選手は、ベストを尽くして決勝に進み、ほんの些細なことで転倒したのです。競技の世界では、よくあることです。周囲がどうこう言う問題ではない。

 

オリンピックは、「平和の祭典」と位置付けられています。本当の姿は、「国の威信をかけた代理戦争」ではないのです。

そういう場で、選手を責め立てるのはNG。大会の趣旨に反します。パシュートの件では、そういう攻撃的な評価はなかった。本来の趣旨に沿った形になった…といえるでしょう。

 

------------------------------------------

 

パシュートの件で、もうひとつ。

 

日本チームを取材していた、一人の男性カメラマンさんがいました。

その方が、決勝後に日本チームを取材した時、思わず泣いてしまったそうです。

その姿を見た日本チームは、「いや、あんたが泣くんかい!」と突っ込み、思わず笑みがこぼれたとのこと。

nordot.app(2022/2/18)

どうしよう。

頭の中でぐるぐる悩んでいるうちにセレモニーは終わった。

 

メダリストたちが各国のカメラマンの方へ歩み寄ってくる。

悩んだ末、「いいですか」と静かに声をかけた。3人は「いいですよ」と応じてくれた。目を真っ赤にして肩を組み、ポーズを取る姿を見て、私はレンズを向けたまま、不覚にもぼろぼろと泣いてしまった。

すると「いや、そっちが泣くのかー!力が抜けるわ」と目に涙をためていた3人は、涙顔のまま大笑い。

私もむせびながら、どう撮ったか記憶が定かではないが、後でカメラを見ると満面の笑みが記録されていた。

名前は知らないまでも、いつも撮影に来ているカメラマンと分かってくれていたようだ。

 

撮影後、別の競技会場へ移動する車中でカメラマンの先輩がこう声を掛けてくれた。

「あの時、おまえが声を掛けて写真を撮らなかったら、このレースで残るのは転倒の瞬間や涙に暮れる菜那選手など、悲しい写真ばかりだった。ここまで努力して、最後まで懸命に闘った選手たちもそれはつらいはず。ほんの少しだったけれど、彼女たちが心から笑顔になれる瞬間を残せた」

https://nordot.app/866925219096936448?c=39546741839462401より。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)

 

競技が終われば、お互いを讃える。

責めたり貶したりしない。

こういう姿こそ、平和の祭典と呼ぶにふさわしい光景です。

 

------------------------------------------

 

この話と似たエピソードが、過去にもありました。

 

1992年に開催された、スペイン・バルセロナ夏季五輪での出来事。

メダルを期待されていたマラソン選手「谷口浩美(たにぐち・ひろみ)」氏は、競技中に転倒。原因は、他の選手に靴のかかとを踏まれた為でした。

BBM2016 MASTERPIECE レギュラーカード No.74 谷口浩美(提供:Amazon)

 

谷口選手は、金メダル候補でした。しかし、不運にも転倒し、結果は8位。

競技後のインタビューで谷口選手が放った言葉は、無念を語るものでもなく、恨み節でもなかった。割とサッパリした顔で、「こけちゃいました」「これも運」「精一杯やりました」とコメント。

この言動が、視聴者の心を捉えました。

www.jiji.com(2022/2/21閲覧)

91年、東京開催となった世界選手権では日本男子初の金メダルに輝き、勝負強さを見せた。

翌年のバルセロナ五輪でもメダルを期待されたが、給水時に転倒、シューズも脱げてしまう。それでも、8位に食い込み、ゴール後のインタビューで「こけちゃいました」と苦笑いで答えた。

言い訳をしないことや、首を傾ける走り方が好感を呼び、誰からも愛されるランナーとなった。

https://www.jiji.com/jc/v2?id=long_distance_12

 

------------------------------------------

 

五輪の本来の姿は、何度も言う様に「平和の祭典」です。

血で血を洗う戦いの場でもありませんし、カネ儲けの場所でもない筈。

 

昨年の東京五輪の時もそうでしたが、「ぼったくり男爵」という不名誉なあだ名が飛び交う様な、歪な大会が目立っています。

今後も五輪を盛り上げたいのであれば、ここでちょっと考えを改めるべきでしょう。

 

メダルを取れなかったから、自国民に謝罪する。見事な成績が出なかった選手に対し、観客や視聴者が暴言を吐く。そういう行為は、平和の祭典に相応しくない。

勝敗重視の大会は、ワールドカップや世界選手権の方です。五輪ではないでしょう。

 

 

北京冬季オリンピックで見せた、日本女子パシュートメンバーの泣き笑い。こういう姿こそ、平和の祭典にピッタリです。

そこに、争いはない。スッキリした想いがあるのみ。

 

 

--------------(記事了)--------------