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手作り&裏読み&日替わりブログ

【マンガの話】二人目の孫子

先日、中国古典『孫子』にまつわる記事をアップ致しました。

tenamaka26.hatenablog.com

 

『孫子』といえば、兵法書の超メジャー書籍。紀元前の書物ですが、令和時代になっても通用する内容が多い。故に、今でも解釈本が沢山出版され、愛読者も多いのです。

筆者も、その一人。

 

そんな「孫子好き」の筆者から、孫子にまつわる漫画作品をひとつ、読者様にご紹介致します。

古典の『孫子』と合わせて読めば、面白さ倍増です。

 

そのタイトルは、臏~孫子異伝』です。

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この漫画では、「臏」の読み方を「ビン」としています。が、よく聞く読み方は「ピン」です。濁音と半濁音の違いがありますね。

まぁ、この場では「どちらの発音が正しいか?」という論争は、ひとまず置いておきます。「どっちも正しい」というスタンスで通しますので、表記が安定しません。その旨、ご承知おきください。

 

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『臏~孫子異伝』(以下『孫子異伝』と表記)は、集英社から発行されている漫画作品です。作者は、「星野浩字」氏。既に完結済みで、コミックスは全21巻。

 

『孫子異伝』の主人公は、古代中国で活躍した兵法家「孫臏(そんぴん)」です。

孫臏は、孫子兵法を初めて体系化した「孫武」と並び評される人物。孫武の子孫とされており、孫子兵法を実践して確固たるものにした…と伝わる偉人です。

 

孫臏が活躍したのは、孫武の時代よりも100年以上後である、紀元前300年代。

当時の中国は、孫武の生きた時代と同じく「戦乱の世」でした。故に、孫臏も兵法家として活躍することになります。

孫臏が仕えたのは、東国の「斉」です。今の中国・山東省にあった国ですね。

 

この斉国で、孫臏は大きな活躍を見せます。

その活躍により、「西の大国は秦」「東の大国は斉」とまで言われる状態になるのです。

 

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『孫子異伝』は、歴史上の人物「孫臏」が主人公です。

仕えた国や、親しかった武将「田忌(でんき)」等も、史実にある通り。

 

しかし、歴史にはないオリジナル要素も豊富です。

例えば、主な敵は「異民族」です。その異民族も、史実を基にしたオリジナルの勢力。

故に、「歴史もの」というよりは「ファンタジー作品」に近い。歴史に詳しい方でも、先が読めない展開になっています。

 

そういう意味では、大人気漫画『キングダム』と近しい作品ですね。

『キングダム』も、史実を基にしたオリジナル設定が多い。扱う時代の雰囲気も似ています。

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ただ、『孫子異伝』と『キングダム』とでは、描く時代に大きなズレがあります。

『孫子異伝』の舞台は、紀元前300年代。『キングダム』の舞台は、紀元前200年代。大体100年くらいの差があります。故に、『キングダム』で活躍する武将の大半は、『孫子異伝』には登場しません。

『キングダム』内で、偶に「昔、中華にはこんなことがあって…」という回想がありますが、そこで名前が出て来る人物がチラッと登場するだけ。例えば「商鞅(しょうおう)」ですね。

 

上記の理由で、『孫子異伝』と『キングダム』には親和性があります。

その流れで、『孫子異伝』の作者・星野浩字氏と、『キングダム』の作者・原泰久氏が対談し、『孫子異伝』の第14巻に記事として収録されています。この記事も、なかなか興味深い内容です。

ビン〜孫子異伝〜 14 ビン~孫子異伝~ (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)(提供:Amazon)

 

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なお『孫子異伝』では、最大の見せ場である「孫臏のライバル、龐涓(ほうけん)との決戦」が描かれていません。いわゆる「馬陵の戦い」の話です。

そこに至る手前で、連載が停止しています。残念。

作者の星野氏は、何とか続けたい意向を示されていましたが、今のところ動きはなし。

 

まぁ、馬陵の話がなくとも、『孫子異伝』は十分に楽しめる作品。

随所に『孫子』からの引用がちりばめられており、兵法好きには堪らない構成になっています。

興味のある方は、この機会に是非どうぞ。

 

 

-----------------(記事了)-----------------