前回記事の続きになります。
テーマは、「レジ袋有料義務化」と「小泉進次郎・元環境大臣のトンデモ発言」について。
進次郎氏が、大臣在任中に始めた「買い物用レジ袋の、有料義務化」という政策。この評判が良くないままで、約1年半が経過しました。
そして、「レジ袋製造業者が、レジ袋有料化の影響を受けて業績悪化し、人員整理を行う」というニュースが流れました。
故に、進次郎氏に対する風当たりが強くなっています。
www.j-cast.com(2022/1/12)
筆者は、以前から「レジ袋有料化」の話に疑問を持ち、様々な資料を調査しました。
そして、「進次郎氏が、結構なトンデモ発言をしていた」という記事を2つ発見しました。
前回は、「レジ袋を有料化しても、地球環境改善に対し、直接的効果は出ないと思う」という発言について触れました。
今回は、もうひとつの発言について触れていきます。
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問題の発言は、「進次郎氏が責任から逃げた」という内容のもの。
進次郎氏が言うに、「レジ袋有料化を決めたのは、自分ではない」そうで。
biz-journal.jp(2021/10/12)
「これも結構批判されてますよね。レジ袋有料化を決めたのは僕ではないってことは。完全にレジ袋有料化したってなってますよね。フェイクニュースってこう根付くんだと。私が大臣になる前に経産大臣、環境大臣で決めた事なら、そのなかでいかに前向きに進めるか」(発言ママ)
小泉進次郎前環境相が9月4日にABEMAの対談番組『カンニング竹山の土曜The NIGHT~小泉環境相と考える福島除去土壌~』でレジ袋有料化に関して、そう語ったことがインターネット上で再注目され、「責任逃れだ」などと物議を醸している。
(https://biz-journal.jp/2021/10/post_256726.htmlより。改行等は筆者によるもの。以下同)
進次郎氏の言い分は、「レジ袋有料化を決めたのは、自分の前の環境大臣。だから自分には責任がない」というもの。
確かに、この主張は嘘ではありません。レジ袋有料化の話は、進次郎氏の前の環境大臣「原田義昭」氏が発案したものです。
www.nikkei.com(2019/6/3)
原田義昭環境相は3日、省内で記者会見し、小売店などで配られるレジ袋について「無償配布してはならないという法令を速やかに制定したい」と述べ、法律を早期に整備する考えを表明した。スーパーやコンビニエンスストアなどレジ袋を使用する事業者を一律に対象とする。
有料化の時期については「できるだけ早く」としつつ、東京五輪を開催する来年夏までに導入へのメドを付けたい意向を示した。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45638030T00C19A6CR8000/)
原田環境相は、2018年10月2日から2019年9月11日まで在任。
続く小泉進次郎環境相は、2019年9月11日から2021年10月4日まで在任。
レジ袋有料化の話がニュースに浮上したのは、2019年6月初頭。進次郎氏が大臣に就任する3ヶ月前のことです。
そこだけ見れば、確かに進次郎氏の主張
「自分が環境大臣になる前に、方向性は決まっていた」
「自分が決めたのではない」
は、正しいといえます。
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ただ、進次郎氏は「最も重要な点」を完全に無視しています。
それは、「大臣は、駄目だと感じた政策に対し、中止命令を出す権限を持つ」という点。
省庁のトップが大臣です。会社でいえば社長です。大臣は、省庁の最高権力者です。
法律無視の傍若無人は許されませんが、ルール違反を犯さなければ「中止しなさい」と命令するのは十分可能です。
レジ袋有料化を表立って言い始めたのは、進次郎氏の前の大臣・原田氏です。
しかし、それは進次郎氏が大臣に就任する3ヶ月前の話。何十年も前の話ではありません。期間が短い為、中止するのは難しくないでしょう。
それでもなお、中止しなかった進次郎氏。
つまり、「レジ袋有料化は、政策として望ましい」という判断を下したのです。
この状況を前に、「決めたのは自分ではない」と主張するのは、責任回避の言い逃れにしか聞こえません。
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百歩譲って、進次郎氏の主張が通るとしましょう。
そうであれば、進次郎氏は別方向からの説明をしなければなりません。
それは、「レジ袋有料化によるデメリットを、どう考えているのか」という説明です。
先述の通り、レジ袋製造業者は苦境に立たされています。
そして、「レジ袋有料化に伴い、エコバッグを使った万引きが目立っている」というニュースもあり。
president.jp(2021/11/7)
また、日本より先に「レジ袋有料化」へ動いたヨーロッパでは、「レジ袋を無料にする」という方向に傾いています。
その原因は、新型コロナウイルス騒動。主張理由は、「使い回すエコバッグより、使い捨てレジ袋の方が清潔」というもの。
進次郎氏は、この動きに真正面から反論しなければならない筈。が、その様な主張を放ったという記事を、筆者は発見できませんでした。
www3.nhk.or.jp(2020/7/1)
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「レジ袋有料化は、環境問題やプラゴミ問題に関心を持って貰う為の方策である」
進次郎氏を始め、政府の推進派はこう主張しています。
それならば、どの程度の効果を見越して有料化したのか、計画と実績を大々的に発表するべきですね。
関心を持って貰うことが、最終目的ではない。最終目的は、「プラゴミを減らし、環境改善に寄与する」というものです。そうでなければおかしい。
この目標は、数字で示さねばなりません。
「レジ袋有料化で、〇年後にはこれくらいのゴミ削減効果がある…と見越している」
「現在、目標値の××パーセントまで達成している」
「このままでは目標値に届かないので、追加の方策を考える」
上記の様な効果確認作業を行わなければ、単に「言っただけ」「パフォーマンス」です。その辺、進次郎氏はどこまで把握しているのか?
世間の不評が嫌なのであれば、詳しく説明して理解して貰わねばならない筈です。
そして、その説明内容を大々的に宣伝し、世間の評価を求めねばならない。
それらの作業をやり終えない限り、「責任から逃げる政治家」のレッテルは剝がれないでしょう。
--------------(記事了)--------------