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手作り&裏読み&日替わりブログ

【未来兵器の話】とある科学の高速砲弾

先日、こんな記事を見つけました

内容は、「日本が、レールガンの本格的開発を開始」というもの。

www.sankei.com(2022/1/10)

 

防衛省が、電磁力で砲弾を高速発射する「レールガン」(電磁砲)の開発を来年度から本格化させる。

先行していた米海軍は開発を中断し、日本が民間の大容量電源技術でリードしたい考えだ。

 

高速で飛来する極超音速兵器の迎撃に道を開くため、ミサイル防衛の切り札として期待される。

防衛省は来年度予算案に65億円を計上し、電源開発費も追加したうえで、5年後以降の試験運用を目指す。

https://www.sankei.com/article/20220110-TL7YSW6ONBOJLEDXIGK7CMQSNM/より。改行等は筆者によるもの)

 

レールガン。SFでは毎度御馴染みの兵器ですね。

SF兵器で最も有名なのは、レーザー砲等の光線兵器です。その次くらいに有名なのがレールガンでしょうか。

 

そのレールガンの開発に、日本が本気で乗り出す。

まあ、これは「兵器開発の話」です。筆者も、多少は思う所があります。しかし、SFの中でしかお目にかかれなかった武器が、現実のものになるのです。正直、ワクワク感はありますね。

 

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ここで、レールガンについて少し説明をば。

 

レールガンは、大砲の一種です。レーザー砲の様な光線兵器とは違い、実弾を発射します。

ただし、普通の大砲は「火薬の爆発」を用いて実弾を飛ばしますが、レールガンは「電気と磁力」を使って飛ばします

 

物凄く簡単に言うと、「磁石の反発力を用いて、金属製の弾を飛ばす」ということ。

以下の実験動画が、非常に分かり易い。超強力な磁石を使って、簡易レールガンを製作していらっしゃいます。

www.youtube.com(2021/1/2)

 

なお、上記動画では「磁石」しか使っていません。

本物のレールガンは、「電気」「電磁石」の力を使います。
(詳しく知りたい方は、「ローレンツ力」「電磁力」で検索してみてくださいませ)

 

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レールガンの強みは、何といっても発射速度です。

第二次世界大戦時の最大級戦艦「大和」の主砲は、初速で時速2800㎞くらい。一方、レールガンの初速は、時速8000㎞以上。火薬砲の3倍近い速度です。

この速度で発射すれば、射程や威力が増加します。

trafficnews.jp(2021/5/6)

www.mod.go.jp(2022/1/11閲覧)

 

レールガンは火薬を必要としない為、火薬庫を作る必要がありません。省スペース化に役立ち、危険物の保管リスクが減ります。

使用する弾頭も、従来のものに比べて小型です。相手に探知され難く、保管スペースも少なくて済む。

 

レールガンは、電気を使って弾を飛ばします。故に、電気の強弱を調整することで、弾の速度を調整可能。火薬量の調整よりもお手軽です。

また、理論上は高速連射が可能。使い勝手はいい。

 

従来の火薬砲に比べ、レールガンのメリットは多いですね。

 

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他方、レールガン実現の為には、クリアしなければならない問題も多い。

 

先ずは、電力。

レールガンは、火薬を使わずに、電気と磁力で実弾を発射します。そのパワーを生み出す電力量が、シャレにならないほど凄まじい。小型発電機くらいでは、全く足りません。

レールガンの横に専用発電所を併設するか、大電力を供給可能な艦艇に搭載するか。このどちらかが、最も現実的な方法です。

toyokeizai.net(2016/8/24)

 

また、「レールガンは、火薬を使わない兵器」という触れ込みですが…

実際には、「火薬を使った時と同じ様な問題」が存在します。

例えば、以下動画。防衛装備庁が提供する、試作レールガンの発射映像です。音量注意。

www.youtube.com(2021/3/8)

 

上記動画を見ると、火薬砲と変わらない閃光&爆音が発生していますね。「火薬を使っていない」と言われても、信じがたい。

ですが、これは火薬が燃えているわけではなく、「高速で射出される金属弾等が燃えている」のです。同様の理由で、砲身も傷みます。

このダメージをどう軽減するか?…これがなかなか難しい。

 

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上記の様な課題が多い為、レールガンの実用化はまだまだ先。

日本より先に開発していたアメリカは、「割に合わない」という理由で開発を止め、実用化への道を諦めています。

そういう状況下で、日本が開発に参加する。険しい道のりだと考えます。ですが、挑戦する価値はあるでしょう。

 

近年、日本近隣の情勢は緊迫しています。中国は海洋進出を強めており、北朝鮮もミサイル実験を繰り返している。悲しいかな、身を守る方法を強力なものにしていかねばならない。

もしレールガンが実用化されたら、日本を守る強力な武器になるでしょう。期待が持てます。

 

他方、レールガンの平和利用の道もあります。

例えば、マスドライバー。これは宇宙ロケットの代わりとして使える為、打ち上げのリスクやコストを低減できる。人が乗るのは無理としても、荷物の運搬には使えるかも知れない。

要は、使い方次第です。

 

 

最近、日本の研究者に元気がない。ノーベル賞受賞者からもよく言われていることです。

そんな中、今回のレールガン開発の話が浮上。これが吉と出るか・凶と出るか。それは、今後の日本政府と研究者次第です。

出来れば、「世界初の実用化成功」という知らせを聞きたいものですねぇ。

 

 

--------------(記事了)--------------