makaranTB

手作り&裏読み&日替わりブログ

【林業の話】木材の光と闇

先日、なかなかに興味深いニュースを拝見しました。

その内容は、「人工衛星を、木材で造るプロジェクト」の話。

 

人工衛星といえば、金属製なのが常識。木材を使うという話は、聞いたことがありません。

しかし、「聞いたことがない」は、不可能とイコール…ではないやってみなけりゃ分かりません。

ただ、やみくもに実行しても駄目。少しずつデータを集め、徐々にレベルを上げていく。これが大事です。

 

今回のニュースで取り上げられたのは、「木材が、過酷な宇宙環境に耐えられるかどうか」を調べる実験です。

地味な話ですが、木造衛星を実現させる為には不可欠な実験でしょう。

www.sankei.com(2021/12/31)

 

世界初となる「木造」の人工衛星を2023年に打ち上げようと、京都大と住友林業が計画を進めている。運用後は大気圏で燃え尽きるため、環境への負荷が少ないのが特長。まず木材を宇宙空間にさらして耐久性を確かめる実験を2月にも始める。

計画するのは1辺10センチ程度で立方体の形をした小型の衛星。外側を木材と太陽電池で覆った構造で、内部に電子基板などを収容する。木材は電磁波を通すためアンテナを内部に設置でき、材料費も安価で加工しやすいのも利点だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)にもアピールしたい考え。

https://www.sankei.com/article/20211231-2JXJITQFHRJWTPSHA2LDU3PDVQ/より。改行等は筆者によるもの。以下同)

 

------------------------------------------

 

仮に、上記の実験が成功したとしましょう。そうなると、「こういう材質・加工法なら、木造衛星でもイケる」という話がまとまった…ということになる。

これ、非常に明るいニュースになる筈。

 

日本は、地下資源には乏しい国です。が、木材資源は豊富にあります。

特に、戦後の植林ブームで造成された「人工林」が多い。そこに植えられた樹木(主に杉)が、現在では”木材として使えるレベル”に成長しています。いや、寧ろ「使えるものを放置」という勿体ない状況にある。これを有効活用しない手はない。

 

ただ、残念ながら国内木材は使い難い。なぜなら、「安価な外国産に押される」「林業従事者の減少」等の悩みがある為です。

加工や運送に関しても同様。最盛期に比べて弱体化している。故に、一朝一夕で全てを整備し、大規模な産業化に至るのは困難です。時間をかけてやるしかない。

 

そんな折に、冒頭で紹介した「木造人工衛星」の話が出てくれば、”前に進むスイッチ”になる可能性アリ。起爆剤ですね。

 

------------------------------------------

 

上記の人工衛星に限らず、近年「木材の価値を見直そう」という動きが目立ちます。

例えば、「木材を使った高層ビル」の話。

www.youtube.com(2020/2/3

 

上記動画で紹介されているのは、12階建ての木造ビル。鉄筋コンクリートではありません。見た目には、普通のビルと何も変わらない。新築で綺麗です。

見た目だけではなく、「耐火性」や「耐震性」にも気を遣っているとのこと。

 

問題はコスト。木材の「耐火性」や「耐震性」を向上させる為に、特殊な加工が必要です。故に、鉄筋コンクリート造よりも費用が高い。

今後は、この費用を圧縮し、利用し易い価格帯にしていくことが課題です。

 

------------------------------------------

 

木材といえば…

現在、「ウッドショック」と呼ばれる木材不足が問題になっています。

newswitch.jp(2021/12/23

「合板が足りない」。関係者から悲鳴に近い声が上がる。

「今年の春以降ずっと値上がりが続いている。合板メーカーは“作っては出し”を繰り返している状況」と話すある業界関係者は、「在庫量も減っている。到着した製品が5日前の作りたてのこともあるくらいだ」と厳しい現状を訴える。

 

合板は丸太をかつらむきのように薄切りにした単板を、繊維が交差するように接着材で重ね合わせて耐久性を高めた木材製品。コンクリート型枠や、住宅など木造建築物の壁や床の下地材、内装用の化粧板などさまざまな用途がある。

1920年頃から東南アジアのラワン材による輸入合板が主力だったが、熱帯雨林保護などの観点から国産杉の間伐材などへ原材料転換が進み、現在では国産合板が使用量の約半数を占めている。

https://newswitch.jp/p/30141

 

新型コロナ禍で、木材の需要が伸びています。主な理由は、「リモートワークに伴う、家屋の増改築や家具の購入」というもの。

加えて、「異常気象」や「新型コロナによる行動制限等で、物流が滞る」という供給トラブルも重なり、木材不足が発生しています。

上記の理由から、木材価格が高騰する。これを「ウッドショック」といいます。

 

------------------------------------------

 

この機会に、「日本国内で眠っている木材を高値放出!」としたいところですが、なかなかそうはいかない。

先程も少し述べましたが、日本の林業は衰退しています。これは、日本政府の無策によるところが大きい。

 

第二次世界大戦時に木を伐りまくって、日本にはハゲ山が増えました。

それを改善する為、国が植林を推奨しました。

が、国は先々のことを考えていなかった。故に、林業は衰退したのです。

toyokeizai.net(2017/12/15

 

考えてみれば、当然の話。木は植えてから金になるまで、数十年かかるもの。植林を推奨したならば、その間のお世話&保護がセットです。

これがないまま「自己責任」で放置していると、今の様な状況になる。

 

加えて、特定の木を植え過ぎた為に、「花粉症」という病気をも蔓延させてしまった。

政府の責任は大きい。

 

今の状況を、「産業発展のチャンス」と考えるか?

それとも、「過去の責任を問われたくないから、民間に丸投げで有耶無耶」という駄目姿勢をとるのか?

国がどちらに動くかで、日本は大きく変わるでしょう。我々一般有権者は、こういう所にも厳しいチェックを入れて、選挙行動に結びつけなければなりませんね。

 

 

--------------(記事了)--------------