本日は、とある邦画をご紹介します。
タイトルは、『スーパーの女』です。1996年の作品。監督は、『マルサの女』等で知られる「伊丹十三」氏。
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『スーパーの女』は、スーパーマーケットを舞台にしたサクセスストーリーです。
主人公は、スーパーマーケット好きの主婦「井上花子」さん。
特別な能力を持った人間ではありませんが、「売られた喧嘩は買う」という気質の持ち主であり、「親分肌」「姐御肌」な部分を持つ方。ポジティブに動き回る積極さと、相手を気遣う優しさもあり、周囲に慕われる存在です。
この花子さん。知り合いに「駄目スーパーのオーナー」がいます。
このオーナーが、「ウチの店を立て直して欲しい」と花子さんに依頼。花子は申し出を受諾し、店を立て直す為に奔走します。
花子さんは、駄目スーパーを主婦目線から厳しくチェックし、次々と改善策を講じて繁盛店へと育て上げる。
『スーパーの女』は、この様子を描いた娯楽作品です。
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『スーパーの女』は、安心して鑑賞できる娯楽映画。結末もスッキリしたものであり、かなり痛快です。
モヤモヤした結末に辟易している方には、是非オススメの作品。
ただ、『スーパーの女』の魅力は、スッキリしたストーリー展開だけではありません。結構リアルな土台があり、その土台の上に物語が成り立っています。
このリアルさが、物語に深みを与えているのです。その内容とは…
と、ここからは少しネタバレ要素を含む記述があります。
モロのネタバレは書きませんが、「少々のネタバレでも嫌」という方は閲覧を止めた方がいいかも知れません。そんな方は、当ブログの他記事をお楽しみください。
以後は、「少々ネタバレしても、特に気にしない」という方のみ、読み進めてくださいませ。
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『スーパーの女』は、業界をしっかり調査した上で制作された映画作品です。
故に、劇中で描写される裏事情が、相当リアルです。
例えば、産地偽装。2020年代になっても、未だに撲滅されていない問題です。
近しい所では、2021年に発覚したウナギの話。中国産を日本国内産と偽り、「またか」と呆れる方が続出しました。
www.chunichi.co.jp(2021/12/18)
www.asahi.com(2021/12/18)
中国産ウナギの開きの産地を「愛知」と偽って表示し販売したとして、岐阜県は17日、高山市問屋町の水産物卸売業者「高山水産青果」に対して、食品表示法に基づき是正を指示し、発表した。
県によると、少なくとも、同社が今年6~10月に「愛知」と表示して販売したウナギの開き3万125本のうち、6640本分は中国産だったという。
このほか、食品表示法に反して産地を表示せずに販売したウナギの開きも、3426本あったという。
県によると、同社は県の聞き取りに「愛知産ウナギの注文を受け、足りない時期に中国産で補っていた」と説明。
卸売先は、飛彈地域と郡上市のスーパーや飲食店、ホテル、旅館など約70店舗にわたる。
県飛彈保健所が11月中旬、抜き打ちで高山水産青果に立ち入り検査し、仕入れと納品の伝票で産地が異なるのに気づいた。
(https://www.asahi.com/articles/ASPDK74CGPDKOHGB004.htmlより。改行等は筆者によるもの)
食品の偽装表示が表沙汰になり始めたのは、2000年代に入ってからです。
他方、『スーパーの女』の公開時期は、1996年。
世間が騒ぎ出す前に、いち早く問題点を映画化していた。伊丹監督のセンスに感服です。
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『スーパーの女』では、産地偽装の他にも「日付偽装」「安価な材料による水増し」等の不当行為に触れています。
主人公の井上花子は、ライバル店だけでなく、そういう悪習とも戦わねばならない。
内にも外にも敵がいる状況。板挟みです。この窮状から、どうやって店を繁盛させていくのか?
その詳細は、映画本編にてご確認くださいませ。
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