先日のこと。
ニュースを閲覧していると、「かなり画期的な判決」について報じた記事を発見しました。
その内容は、「違法サイトに広告を出した側も悪い。損害賠償を払え」というものです。
www.jiji.com(2021/12/21)
海賊版サイト「漫画村」に無断で著作を掲載された漫画家の赤松健さんが、同サイトに掲載する広告を募った代理店2社に対し、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。
田中孝一裁判長は2社が不法行為をしていたと認定し、請求全額の賠償を命じた。
赤松さんの代理人弁護士によると、漫画の海賊版サイトに関わる広告代理店の責任を認めた判決は初めて。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021122100984&g=socより。改行・強調等は筆者によるもの)
問題となったサイトは、かの有名な「漫画村」です。
原告は、著作権保護活動に邁進していらっしゃる、漫画家の「赤松健」氏。『魔法先生ネギま!』や『UQ HOLDER!』の作者さんですね。
赤松氏も、漫画村に作品を無断掲載された、被害者の一人です。
なお、漫画村は既に摘発&閉鎖済。
主犯の男には、「懲役3年の実刑&追徴金約6257万円」の判決が出ており、確定済みです。
これは刑事の話で、民事は別腹。恐らく、数十億~数百億円単位の損害賠償請求を喰らうでしょう。地獄へまっしぐら。
www.asahi.com(2021/6/17)
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今迄は、海賊版サイトを運営した側には、厳しい処分が下ることは多かった。
しかし、広告を出した側はスルーされる。これがデフォでした。
漫画村の様な違法サイトを支える収入源は、「広告掲載料」であることが大半。故に、広告料金を獲得できなければ、違法サイトを運営する意味は薄れます。
違法サイトを撲滅するには、「いかに広告料金の支払いを断つか?」がポイントでした。今回の判決は、その鏑矢となるものである。筆者はそう見ています。
何せ、広告を出した側が使う言い訳の王道、「違法行為をやったのは、サイト運営者。ウチらには関係ない」という文言が通用しなくなった…ということですからね。
著作権侵害行為は、立派な犯罪。犯罪を補助する企業は、社会から敬遠されます。そうなれば、あっという間に存亡の危機へ突入しかねない。
なお、今回の判決で損害賠償支払い命令を受けたのは、インターネット広告代理店の「エムエムラボ」(横浜市)と、その親会社「グローバルネット」(東京都大田区)の2社。
両社は、横浜と東京に居を構える別会社…に見えますが、それは登記上の話。実態は、同じテナントに入っている会社とのこと。
nlab.itmedia.co.jp(2021/12/21)
上記2社のホームページを閲覧しましたが…
裁判に関する話は、見事にスルー。年末年始の休業情報がトップに掲載されていました。
まぁ、「判決が確定した」という話は、今の所見当たりません。まだ地裁判決ですからね。日本は三審制(地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所)を採用していますから、今後も裁判が続くかも知れない。その対応を、会社内で話し合っているのでしょう。
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「漫画村」が運営されていたのは、2016年から2018年にかけて。
運営に関わった者が逮捕され、裁判で有罪&確定判決を喰らったのは今年・2021年6月。
そして、裏で違法サイト運営を支えていた広告会社に賠償命令が下ったのが、2021年12月。
違法サイトが閉鎖されてから3年経過しても、未だに罪に問われ、賠償請求(利息付)をも喰らう。
違法サイトは、自ら運営するモンじゃないですね。運営に関わるべきでもない。
逃げても足がつきますし、巨額の賠償を支払う羽目にもなる。いいことなし。
一時的には儲かるかもしれませんが、年単位で追いかけられ、数千万円単位で賠償を支払うことになる。社会的信用も地に落ちる。刑務所にブチ込まれるかも知れない。いいことなし。
長い目で見れば、大損もいいところ。やっては駄目です。
--------------(記事了)--------------