連日報道されていますが…
日本最大級の大学「日本大学」が揺れています。
騒動の原因は、かつての組織トップ「田中英寿」容疑者による脱税。自宅から億単位のカネが見つかり、大きなニュースとなりました。
これを受けて、日大は記者会見を開き、「田中容疑者と大学との関係をすべて解消する」「慰労金などのお金も支払わない」と発表しました。
www.asahi.com(2021/12/17)
www.sankei.com(2021/12/10)
hochi.news(2021/12/10)
日本大学前理事長の田中英寿容疑者(75)が所得税法違反容疑で逮捕された事件で、合同捜査する東京国税局査察部は17日、前理事長を同容疑で東京地検特捜部に告発した。
これを受け、特捜部は勾留期限の20日に前理事長を起訴するとみられる。
査察部の発表によると、田中前理事長は2018年と20年に日大の関連業者から受け取ったリベート収入など計約1億1800万円を税務申告せず、計約5200万円の所得税を免れた疑いがあるという。
(https://www.asahi.com/articles/ASPDK63HHPDKUTIL03V.htmlより。改行等は筆者によるもの。以下同)
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近年、日本大学に関する不祥事が多発しています。
有名どころでは、「日大アメフト部の反則タックル事件」がありました。2018年の話。
この事件は、反則行為そのものも問題視されましたが、その後の対応が酷くて大炎上。
日大側は、問題発覚後に記者会見を行うも、責任回避姿勢ばかりが目立って聴衆の反感を買いました。
www.yomiuri.co.jp(2018/6/20)
www.youtube.com(2018/5/24)
他方、反則タックルを実際に行った学生さんが、日大側の会見より1日早く記者会見を開催。
そこで、「指導者側から”反則をやれ”という指示が出た為、やむを得ず従った」と告白しました。
まだ若い学生さんが、自らの口で謝罪。逃げの姿勢は見られなかった。日大の会見より、何倍もシッカリした謝罪・説明会見だったといえます。
この会見と大学側の会見の差が酷かった為、「日大の会見は学生以下」との怒りを世間から買い、更に炎上。
日大の歴史に、消えない汚点を残したといえるでしょう。
www.youtube.com(2018/5/22)
ちなみに、立派な会見を開いた学生さんの方は、被害者側との示談が成立。警察に逮捕されることもなく、今では立派な社会人として活躍されています。
www.sankei.com(2019/11/15)
bunshun.jp(2020/10/29)
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最近では、田中容疑者の脱税事件の直前、背任事件で日大の理事が逮捕されるという騒動がありました。
容疑は、「賄賂を手に入れる為、大学病院の建て替え工事のドサクサに紛れて、業者に金を多く支払った」というもの。大学側に損害を与えた「背任罪」ですね。
www.sankei.com(2021/12/12)
この事件で逮捕された、元理事の「井ノ口忠男」被告。実は、日大のアメフト部コーチをやっていたそうで。
その伝手から、自分の周囲には「アメフト部出身者」ばかりを置いていたとのこと。
こういう先輩指導者がいる部で、反則タックル事件が起きた。推して知るべし…でしょうか。
井ノ口被告の権力の源泉は、日大の関連会社「日本大学事業部」(東京都世田谷区)にあった。
東京地検特捜部が逮捕・起訴した2つの背任事件の舞台となった日大事業部。
設立時は日大アメリカンフットボール部のコーチだった被告は設立10カ月後の平成22年11月、営業部門の統括として採用され、以後、実権を握っていった。
職員にはアメフト部出身者を採用。被告と近い業者が事業部の仕事を請け負うようになった。
アメフト部の悪質反則問題を機に30年7月、理事や事業部の職も下りて無役となったが、この間も電話などで指示を出し、営業部門のトップの座を維持していた。
(https://www.sankei.com/article/20211212-46AR35ESJFNEHNLUSOJSILA2FU/)
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日大は、規模でいえば間違いなく日本最大級の学校。学生・卒業生の数も多い。
故に、大学上層部の不祥事を見聞きして、心を痛める人も多い。
特に気の毒なのは、現役の学生さんです。就職等を控えた方は、どうしても不安になってしまう。
「不祥事の多い日大だから、不採用」ということにはならないでしょうが、肩身の狭い思いはするかも知れません。
そんな方々に対し、日本大学ができるサポートや贖罪は何か?
一番重要なのは、「嘘・誤魔化し・揉み消しを排除し、真正面から騒動に対峙する」ということでしょう。
先述の「反則タックル事件の、グダグダ記者会見」みたいなことを続ける様では、完全に駄目です。
相手の質問にきっちり答え、真摯に対応する。その本気具合で、日大の行く末が大きく変化します。
なお、今のところは「グダグダ会見体質から、完全に抜けきっていない」と言わざるを得ない。
先に述べた、「日本大学が、田中容疑者との縁を切ると発言した記者会見」の様子を見た文部科学省から、「あの会見では駄目です」とツッコミを喰らっていますからね。
www3.nhk.or.jp(2021/12/17)
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縁を切ると啖呵を切ったのは良いとして、具体的な方針を示さない日大上層部。これでは「誤魔化し」「逃げ」と捉えられても無理はない。
まぁ、「かなりの長期間、田中容疑者の専横に従ってきた人々」が、今の上層部です。変わるのは無理かもしれない。
そうこうしているうちに、受験シーズンが間もなくやって来ます。
残念ながら、ここまで酷い姿を晒した日本大学。志願者は減るでしょう。志願者が減れば、受験費用や入学金等の収入が減ります。
また、文科省が「私学助成金」を減額or不支給にするかもしれない。
そうなると、卒業生から寄付を募るか、現役学生さんの授業料を上げる。これしか方法がなくなってきます。
上層部がやらかした不祥事のツケを、卒業生や現役学生に払わせる。これは、日大にとって致命傷になりかねない。何としても避けるべきでしょう。
とりあえず、やらかした連中に対し、損害賠償請求を考えてみてはいかがでしょうか?
日本には「推定無罪の原則」があり、確定判決が出る迄はハッキリしたことは言えない建前ですが…日本大学側は、既に「田中容疑者と決別する」と断言しています。
従って、損害賠償請求へ動いても変ではない。
同時に、「田中容疑者を止めなかった上層部」にも大きな責任があります。
そんな方々が、「問題が解決するまでは、無報酬で働く」「給料も経費も一切受け取らず、会計は透明にする」と宣言すれば、効果は多少あるかも?
「どこまで信用して貰えるか、分からない」という所が、悩ましい点ですけどね。
日大には、「危機管理学部」があります。
そこの知識とスキルを総動員すれば、道が開けるかもしれない。
日本大学の底力を見せる時は、正に今。
--------------(記事了)--------------