先日、アメリカ映画『パワーレンジャー』について、記事を執筆しました。
この映画『パワーレンジャー』は、日本でも人気のある『スーパー戦隊』を基にした作品です。
ただ、アメリカ風の大幅アレンジが加えられており、リメイクを超えてリビルドに近い。日本の戦隊モノとは違う作品に仕上がっています。
故に、日本の『スーパー戦隊シリーズ』を見倒した人でも、新鮮な気持ちで鑑賞できるでしょう。
で、上記記事を執筆するに当たり、アメリカの戦隊モノ『パワーレンジャー』シリーズについて、色々と調査しました。
すると、なかなかに興味深い話を発見。筆者の中に留めておくのは勿体ない為、当記事にて紹介致します。
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アメリカの『パワーレンジャー』シリーズの歴史は、結構古い。1990年代前半から、アメリカのFOXテレビにて、シリーズが制作・放送されていました。
第1作は、1993年の『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』。日本で放送されたシリーズ第16作、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』をリメイクしたものです。
これが子供たちに大人気となり、その後のシリーズ化が決定。玩具が売れまくり、テレビシリーズの劇場版まで制作される事態になりました。
上画像は、アメリカで発売された『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』の巨大ロボです。向こうでは、「メガゾード(MEGAZORD)」と呼ばれています。
この手のメカは、万国共通で人気がある模様。日本のデザインそのままで登場しています。手直しされた部分は、ほぼゼロ。この手のオモチャが、売れに売れたそうで。
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しかし、ロボットのデザインに手直しがなくとも、他の部分では大幅な手直しが施されている。これが『パワーレンジャー』の特徴です。
ここでいう手直しとは、「英語への吹き替え」とか「英語字幕を付ける」とかいう軽いものではありません。「最早、原型を留めてませんよね?」というレベルで、大幅な変更が加えられているのです。
例えば、下記画像。これは、上記『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』の劇場版のパッケージ画像です。
そして、下記画像は元ネタ『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のヒトコマ。
両者を並べてみましょう。
違いがお分かりになりますか?
(提供:Amazon)
両者の相違点は、人数。
アメリカ版『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』では、金色と黒のキャラが、中央にいます。日本版『恐竜戦隊ジュウレンジャー』には、出ていません。
実はこの「金&黒キャラ」は、別のスーパー戦隊シリーズのキャラ。『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の次に放送された『五星戦隊ダイレンジャー』のキャラです。
アメリカ版では、両作品を混ぜているのです。この手の変更は、『パワーレンジャー』シリーズではよくあること。
(提供:Amazon)
(上画像:『五星戦隊ダイレンジャー』第17話より)
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配役に関しても、全然違います。
日本の戦隊モノでは、基本的に日本人がキャラを演じます。が、アメリカ版では配役を全て取り替えます。アメリカの役者さんだらけにするのです。
例えば、俳優「松坂桃李」氏の初主演作となった、2009年のシリーズ第32作『侍戦隊シンケンジャー』。
松坂氏を始め、主要な配役は日本人。大御所俳優「伊吹吾郎」氏も出演されています。
この作品のアメリカ版は、『パワーレンジャー・サムライ』。その映像ソフトパッケージは、以下画像。
コスチュームやロボットのデザインは同じでも、配役が全然違います。
どうも、現地のお子様には「外国人俳優の演じるヒーロー」のウケが良くないそうで。故に、「身近にいそうな人」に差し替えるのです。
そうなると、変身シーンも全て撮り直しとなります。ここでも変更が施され、日本よりもド派手な変身になっていることが多い。
また、アメリカは人種問題を抱えています。その為、メンバーが一定の人種に偏り過ぎない様、配役に気を遣っている。
日本には無い特徴です。
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他の変更点といえば…
アメリカのテレビでは、「子供番組で、暴力的シーンや性的シーンを流すのは駄目」という縛りがキツイ。「そういう番組を受け付けない電波フィルター」まで存在している始末です。
戦隊モノには、「殴る蹴る」という場面どころか、「刀で斬る」「銃で撃つ」というシーンがワンサカあります。アメリカでは、この手のシーンを撮り直して、フィルターに引っかからない様にするのです。
そうなると、殆どのシーンが別物になってしまう。
まぁ、お国が変われば品も変わる。仕方のないことですね。
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アメリカの方で、「子供の頃、パワーレンジャーを観て育った」という方も多いでしょう。第1作が1993年放送ですから、現在30~40歳くらいの方になるでしょうか。
そんな方に、日本の戦隊モノを観て頂いたら、どんな反応を示すのか?
違いにビックリするのか? アメリカ版の方がいいと思うのか?
実験してみたいところですが、筆者にはアメリカ人の友人がいません。
YouTubeあたりで、検証動画が流れていないか、引き続き調べてみることにしましょう。
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