「振り込め詐欺」や「特殊詐欺」と呼ばれる、架空請求詐欺事件。
未だに被害者が出ている、厄介な犯罪です。
筆者の知る限りでは、「少なくとも20年ほど前には、既に存在していた手法」です。
20年も経過すれば、「古典的な部類」に入りそうな、年季の入った詐欺手法になる筈ですが…。
未だに騙される人が絶えないのは、どこか「人の本質を押さえた」といえる手法なのでしょう。人が人である限り、どうしても消えない「心の隙間」を突く。故に、騙される人がゼロにならない。
そして、「犯人が、手口を常にアップグレードしている」という点も、かなり用心しなければならない点です。
特殊詐欺に関する情報は、あちこちでアナウンスされています。それでも引っかかるということは、「アナウンスされていない新手法」が次々生まれている…ということ。
犯人は「努力して、新しい騙しのテクニックを生み出す」という日々を過ごしているのです。
こちらも、「騙されない努力」をしなければならない。
常に警戒して、用心に用心を重ねて過ごさねばならない。
何とも難儀な時代になったモンですね。悲しい。
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で、この「特殊詐欺」に関する話ですが…
「今迄あまり見られなかった新手法」に関する話が報じられ、しかも「その手法を見破って、被害を防いだ」というニュースが飛び込んできました。
被害を防いだのは、コンビニ店員さん。お手柄でした。
www.asahi.com(2021/11/20)
「パンに虫が入っていた。裁判で損害賠償を請求しようと思います」
6月7日午前、ファミリーマート寝屋川寿町店に、客を名乗る男から、こんな電話があった。
対応したのは統括店長の松本剛さん(34)。男の丁寧で紳士的な口調に逆に動揺を誘われたという。
しかし、電話口の向こうから「相模原市役所の者です」という声が聞こえると、詐欺を疑った。
店員が苦情電話の対応をしている隙を狙い、被害者にATMを操作させる手口が相次いでいると、警察から聞いたことを思い出した。
すぐに、ATMを確認すると、70代の男性が携帯電話を片手に、操作していた。
男性が「市役所から還付金があると言われた」と話したことから、詐欺を確信。警察に通報し、被害を未然に防いだ。
(https://www.asahi.com/articles/ASPCM76NGPCDPTIL025.htmlより。改行・強調等は筆者によるもの)
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今回の話は、「ターゲットの高齢者を騙す」だけでなく、「騙されている高齢者を止めそうな、店舗関係者を妨害・足止めする」という手の込んだものです。
詐欺犯が「他の人には言わないで」と言い、ターゲットを孤立化させる話はよく聞きます。
それに加えて、「それ、詐欺じゃないの?」と止める役割を果たしそうな店員さんを、嘘のクレームで妨害する。
二重三重に仕組まれた詐欺ですね。厄介だ。
今後も、上記「嘘クレームで妨害」という話は減らないでしょうし、もっと手の込んだ詐欺テクニックが生まれるかも知れない。
油断大敵です。
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そんな次々と生まれる詐欺に対し、最も有効に働く心構えがあります。
それは、「自分も騙されるかも知れない」と、本気で思うこと。
常に疑ってかかる習慣を身に付ければ、防御力は格段に上昇します。
「自分は特殊詐欺の話を沢山知っているから、絶対に騙されない」と思い込んでいる人、いませんか?
そういう思い込みは、知らない話(つまり新たな手口)が出て来たが最後、コロッと騙される促進剤になってしまう。
何せ、本人は「自分は騙される筈がない」と思い込んでいるのです。犯人の指示通りに動いてしまう、いいカモです。
周囲の制止を聞かず、犯人に言われるがまま、二度三度とカネを振り込んでしまう。これはNG。
騙されないと思い込んでいる人ほど、騙し易い。
それに加え、「頑固で聞く耳を持たない人」や、「相手を疑うことは、やってはいけないこと…と刷り込まれている人」になると、更に危険度アップ。
周囲の忠告に耳を貸さないので、カネを奪われるだけでなく、周囲からの信用も失います。こうなると悲惨です。
どこの誰でも、騙される危険はあるのです。
心理状況や体調によって、詐欺への防御力も上下するのです。弱っている所を攻められたら、防御できない。
故に、普段から「自分も騙される危険アリ」と本気で考え、周囲に相談できる環境を整えておく。これが大事。
--------------(記事了)--------------