(※注意事項※)
当記事は、2021年劇場公開のシリーズ最新作、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』について語るものです。
内容は、エヴァンゲリオンシリーズの全体像や、作品の傾向に関するものです。
「物語のオチ暴露」や「強烈なネタバレ」を含むものではありません。
しかし、それすらNGという厳しい方は、当記事をお読みにならない方がいいかも?
そんな方は、当ブログの別記事をお楽しみくださいませ。
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先日のこと。
筆者は、やっとこ『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を鑑賞しました。
いろいろ事情があって、劇場には観に行けなかった為、今迄全力でネタバレ記事を避けてきました。
しかし、その心配もなくなった。ホッとしました。
上映時間、約2時間半。大作ですね。
前作公開から8年くらい経過していますので、制作期間はタップリあった。故に、上映時間が長かったのだろう…と、好意的解釈をしておきます。
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で、作品の内容ですが…
冒頭の注意事項で述べた様に、詳しい説明は致しません。
ただ、これまでの『エヴァンゲリオン』各作品と同じく、かなり「見る人を選ぶ映画」であったことは間違いない。
ある意味、「エヴァ愛好家の期待通りに仕上がった作品」と言えますね。ハマる人は、とことんドハマリするでしょう。
筆者も、どちらかといえば「ハマる部類」です。
ここで、読者様の心の中に、疑問が湧いたことでしょう。
「筆者の考える”見る人を選ぶ映画”とは、どういう意味なのか?」
以下、順番に説明させて頂きます。
ポイントは、全部で3つ。
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(ポイント1)
シリーズものである為、これまでの「新劇場版作品」を全て鑑賞済みでなければ、意味不明な部分がある。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、いわゆる「新劇場版」とされるエヴァンゲリオンシリーズの最終作品です。
2007年に、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(パート1)が公開。
2009年に、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(パート2)が公開。
2012年に、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(パート3)が公開。
そして2021年。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(パート4・最終作品)が公開。
こういう流れになっています。
上記4作品は、公開順で内容が続いています。
その為、いきなり最終作である『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を鑑賞しても、何が何だか分かりません。
「どれから見ても大丈夫」というのが、全く通りません。1から順に鑑賞しなければNG。
故に、制作サイドは「これまでの新劇場版作品を、全て鑑賞した方」を前提にして、物語を創り上げています。
パート1~3の各作品は、上映時間が平均100分ほど。これらを鑑賞した後でなければ、伏線回収に気付くことは困難であり、「結末を理解する材料&ネタ」も持ち合わせないのです。
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(ポイント2)
「新劇場版」だけでなく、「旧劇場版」や「テレビシリーズ」を鑑賞済みでなければ、意味不明な部分があるし、面白味も減る。
「エヴァンゲリオン」は、2007年からの「新劇場版」だけが全てではありません。
最初に世に出たのは、1995年から放送された「テレビシリーズ」です。全26話。
このテレビシリーズ。途中までは「ロボットバトルもの」として受け止められていたのですが…
第25話と第26話(最終回)が、これまでとは全然違う作風になっていて、視聴者は困惑。「全く意味不明」と大炎上。
当時はまだネット黎明期であった為、SNS等は存在していません。それでも、かなりの物議を醸しました。
その騒動を受けて制作されたのが、いわゆる「旧劇場版」と呼ばれる作品です。1997年公開の作品。
全部で2本あるのですが、パート1『シト新生』は「テレビシリーズの再編集&リメイク」が中心となったものであり、さほど目新しくはない。
しかし、パート2『Air/まごころを、君に』は、意味不明と評された「テレビ版の第25話と第26話」を、完全にイチから作り直したものでした。単なるリメイクではなかった。
そして、「旧劇場版」をもって、エヴァンゲリオンは一度完結したのです。
「テレビシリーズ」が放送されたのは、1995~1996年。
「旧劇場版」が公開されたのは、1997年。
それから10年後の2007年に、「新劇場版」がスタートします。
「新劇場版」は、「テレビシリーズ」と「旧劇場版」の設定を下敷きにしたものであり、共通点が多い。
また、「テレビシリーズ」と「旧劇場版」で描いた設定を、「新劇場版」で十分に説明していない場合もあり、「過去作を鑑賞済みでなければ、意味が分からない描写」も少なくないのです。
ちなみに、テレビシリーズは全26話で、各話が約20分程度。
旧劇場版は、それぞれ100分程度。
「これらの作品を見た後でないと、本当の意味で物語が理解できない」となれば…
一見さんには、ちょっと酷で難しいですね。
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(ポイント3)
これまでの作品を全て鑑賞済みであっても、意味不明な部分が残る。
これが「エヴァンゲリオンの厄介なところ」であり、なおかつ「エヴァンゲリオン最大の魅力」でもあります。
エヴァンゲリオンシリーズは、「物語の中に、全ての伏線と答えが詰まっている」という作品では…ありません。
とにかく謎だらけで、意味不明な部分が多い。多少のヒントはあっても、答えを全て描かない。そういう所が目立つ作品なのです。
エヴァンゲリオンシリーズにハマる人は、「意味不明な部分を、自力で解き明かすことにハマる人」です。
劇中で示された僅かなヒントを頼りに、文献をあさって答えを探す。
また、自説を披露して他者の意見を貰い、議論を深めていく。
こういう手法が求められる作品なのです。
この傾向を好まない方は、鑑賞が辛いものになるでしょう。
「謎だらけで意味不明」で終わり、楽しめないと思われます。
よく言われているのは、「ユダヤ教やキリスト教の知識があれば、数々の伏線に気付く」というもの。
エヴァンゲリオンシリーズでは、「キャラの名前」や「ストーリー展開」に関し、ユダヤ教やキリスト教のエピソードから引っ張ってきたものが多数使われています。
劇中では、「ユダヤ教やキリスト教から引っ張ってきた」的な、ハッキリした台詞は無し。予備知識を持った人でなければ、なかなか気付きません。
エヴァンゲリオンシリーズには、こういう「予備知識」「気付き」を求められる部分が多い。かなり面倒です。
しかし、一旦このサイクルを理解してハマれば、なかなか抜け出せない(いわゆる「マニア」「オタク」「中毒者」になる)ということも多々ある。
実は、筆者もそのクチです。
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以上、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を楽しむ為のポイントを3つ、紹介させて頂きました。
このポイントに留意するか・しないかで、作品に対する感想は大違いです。本当の意味で楽しみたい方には、是非とも上記の3ポイントを押さえて頂ければ…よろしいかと。
まぁ、それでもまだ謎は残るんですけど…ねぇ。
複数回見ても、まだ完全に理解したとは言えない。それがエヴァンゲリオンシリーズの、大きな魅力なのです。
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