前回からの続きになります。
連載テーマは、「衆院選で、投票先をどこにするか悩む方に、選択のヒントを提案したい」というもの。
筆者が提案するのは、「各政党の公約」と「過去実績や言動」を分析すること。これが最も効率的だと考えています。
「なぜ効率的と考えるのか?」については、第1回記事に詳細が書いてあります。そちらを参照してくださいませ。
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当連載の第2回から、「各政党の主張や実績に関する、具体的な分析」を行っています。
なお、政党の分析記事は、今回で終了となります。
最後に取り上げるのは、NHK党です。
正式名称は、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」なのですが、長いので「NHK党」と表記します。
で、NHK党の選挙公約ですが…
これが、非常に微妙&怪しげな状況になっています。
一応、2021年10月28日の段階で、公約を閲覧することは可能です。
置き場は、以下。
www.syoha.jp(2021/10/28閲覧)
しかし、前日の2021年10月27日時点では、このページが閲覧不能になっていました。
今後も、どうなるか分からない。
何せ、選挙戦終盤の段階で、「追加公約を出したが、1日でキャンセル・修正した」という話もありますからね。先が読めない。
mainichi.jp(2021/10/26)
「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は25日、24日公表した衆院選追加公約に関し、修正を発表した。
5%への消費税減税は取り下げた。
10万円の期限付き電子マネーの配布と、第1子の出産時に行う母親への1000万円支給も「政府に求める」との文言を加えトーンダウンした。
党関係者は「主張は変わらないが、実現可能な公約にした」と説明している。
(https://mainichi.jp/articles/20211025/k00/00m/010/300000cより。改行等は筆者によるもの。以下同)
公約をキャンセル・修正した理由が、「実現可能な公約に変えた」というもの。
それでは、選挙戦前半で示していた公約は「実現不可能だった」ということになります。
不可能な公約を世に示して、選挙に突入した。これだけでも、相当な減点対象になるのですが…。
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上記の様な経緯がある為、当ブログではNHK党の各種公約に関し、詳しく触れません。
ザッと見るに、コロナ対策や経済対策等、他の党と然程変わらないものが並んでいます。大半は、党独自のインパクトに欠けるものです。
が、唯一「NHK党のみが掲げる公約」として、「NHK受信料」に関するものがあります。
これは、NHK党の設立当初から存在するもの。この公約のみ、掘り下げていきます。
NHK党の党首「立花孝志」氏は、元々「NHKの経理職員さん」でした。
そこでNHKの裏側を見て、不正経理に関する告発記事を出した。それが原因で、NHKを辞めた。そういう方です。
bunshun.jp(2019/8/20)
2005年4月、立花氏はNHKのオリンピック不正経理を週刊文春に実名顔写真入りで内部告発、19年間勤めたNHKを依願退職した。
「内部告発したら、全員電話に出なくなった。廊下ですれ違っても話もしてくれない。辞めざるを得ない状態。38歳のとき僕が放った文春砲は不発だった」
(https://bunshun.jp/articles/-/13470?page=2)
この経験が元となり、
「NHKのスクランブル放送(暗号放送)化」
「スクランブルを解除した者だけがNHKを視聴し、受信料を払う仕組みに」
「テレビを持てば無条件に徴収…では、公平さに欠ける」
という主張を展開。2019年の参議院議員選挙で、比例区にて当選します。
その後、他の選挙に出る為、3ヶ月程で参議院議員を辞職。
なお、辞職後に出馬した選挙(様々な選挙に4回ほど出馬)では、全てに敗れました。それ以来、公職には就いていません。「党首としての広報活動」が中心。
この間も、NHKに対する姿勢は変わらず。そこはブレてませんね。
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ただ、ブレてないのは良しとして、「あちこちに手を伸ばし過ぎ」というのは…
NHK党の勢いを削ぐ行為でしょう。
ネットの様子や、筆者の聞き込み等から感じることは、
NHK党は、「NHKスクランブル化」という、分かり易く・実現可能で・道理に適った政策を謳ったから、議席を得た
というものです。
故に、先ずは「NHKスクランブル化」に特化して活動するべきで、それ以外は二の次。そう考える有権者は、少なくない。
これは、政治不信から来る反作用でしょう。
「政治家は、夢みたいなことを選挙の前に言いまくるが、当選後は公約を忘れる」という認識から来る反作用。
故に、NHK党に求められるのは、「言った事をガチでやる」「アレコレやるのではなく、一点突破で実績を出す」というものです。
有権者が強く期待するのは、「言行一致」です。
しかし、今のNHK党は、あちこちに手を広げすぎです。
「NHKスクランブル化と、直接的関係性の薄い公約」を並べる様では、当初の魅力が薄れる。票を減らす行為です。
また、先週(2021/10/24)行われた参院補選にて、「犯罪者YouTuber(へずまりゅう氏)を担ぎ出す」等のお騒がせ行動もありましたね。
これ、確実に「有権者の支持を減らす行為」でしょう。
www.tokyo-sports.co.jp(2021/10/24)
目立ちたいだけであり、国をよくするという考えが見えない。
そういう候補を支持する政党は、何を考え・何をやりたいのか分からない。
そう思われてしまう。
そして、案の定といいますか、NHK党は参院補選で惨敗しました。
この結果は、衆院選にも影響するでしょう。
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有権者がNHK党に期待したのは、「ヤルと言ったことを実現し、役目を終えたら政界を去る」という、特撮ヒーローみたいな潔さでしょう。
今のNHK党に、そういう姿を期待するのは、かなり難しい。
そもそも、「公約が、選挙期間中に、コロコロ変わる」という不安定さ。
この行動を見た有権者は、「信用できない」と思うのが普通です。
その辺り、NHK党の上層部は分かっているのか?いないのか?
特に、今は「新型コロナウイルス騒動」が終わっていない混乱期。
日本の政治に対する信頼が、この上なく擦り減った状態です。
NHKスクランブル化の他に、やるべきことは山積み。
しかし、NHK党の存在意義が「NHKスクランブル化の実施」ですから、引っ込めるワケにもいかない。
このアンバランスさが、相当な足枷になっていますね。
NHK党の選挙戦は、強烈に厳しくなるでしょう。
--------------(記事了)--------------