前回からの続きになります。
連載テーマは、「衆院選で、投票先をどこにするか悩む方に、選択のヒントを提案したい」というもの。
筆者が提案するのは、「各政党の公約」と「過去実績や言動」を分析すること。これが最も効率的だと考えています。
「なぜ効率的と考えるのか?」については、第1回記事に詳細が書いてあります。そちらを参照してくださいませ。
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当連載の第2回から、「各政党の主張や実績に関する、具体的な分析」を行っています。
今回取り上げるのは、れいわ新選組です。
れいわ新選組の選挙公約は、以下。
reiwa-shinsengumi.com(2021/10/28閲覧)
公約をザッと見てみましょう。ポイントは、以下の10点。
(1)新型コロナウイルス対策。十分な補償のある人流抑制策
(2)一律給付金。エッセンシャルワーカー等への手当増額。その他補償の充実
(3)医療体制の拡充。保健所の強化
(4)物価上昇率が目標に達するまでは、日本銀行券(お札)を刷り続ける
(5)高齢者福祉の充実
(6)学費や、奨学金返済義務を免除。児童手当の拡充
(7)最低時給を1500円に。その他、生活を支える給付を拡充
(8)中小企業の保護、非正規の正規化等、労働者の保護を推進
(9)差別やDV等の撤廃。人権侵害の根絶
(10)防災、環境保護、脱原発、インフラの整備と保護…等々、生活環境を重視する政策
まぁ、無難なところだと考えます。突飛なものはない。他の党と被る政策も多い。
実現できれば、素晴らしい。
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ただ…
筆者が思うに、「れいわ新選組には、大きな実績が存在しない」という所がネック。
遊説は盛んに行っているけれども、国会議員・国政政党としての明確な実績に乏しい。
故に、実績から判断することが困難であり、公約の説得力に欠ける面があります。
筆者の知る限りでは…
れいわ新選組の”明確な実績”は、
「法の規定する政党要件を満たし、国庫から助成金を貰えるようになった」
「重度障碍者を、国会議員にした」
の2点くらいかと。
特に、後者は「国会議事堂のバリアフリー化」を始め、障碍者援助拡大への大きな一歩となりました。これは否定できないでしょう。
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しかし…
上記の認識が正しいとすれば、ひとつの疑問が湧いてきます。
れいわ新選組は、「伊是名夏子(いぜな・なつこ)氏の炎上騒動」に、党としてモノを申したのか?
という疑問が。
筆者は、伊是名氏の騒動をリアルタイムで追っていました。が、「れいわ新選組からコメントが出た」というニュースを見た記憶がありません。
今、「伊是名夏子 れいわ新選組」というワードで検索しても、両者が絡んだ記事は引っかかりません。
まぁ、伊是名氏は「社民党の関係者」であり、れいわ新選組との繋がりは無さそうですから、言及しなかったのかも?
仮にそうだとしても、伊是名氏の話は「障碍者の権利に関わる話」です。障碍者を、国会議員という「最重要公職」に推した政党として、ノーコメントは望ましくないですね。
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ここで、詳しくない方の為に、「伊是名夏子氏の騒動」について簡単に説明をば。
伊是名氏は、有名なコラムニストさんです。社民党の幹事さんでもある。
そして、骨に関する疾患の為、車椅子生活を送る障碍者でもある。
この伊是名氏が、2021年の春、JRを使った旅行に出かけました。
その際、無人駅での乗降に関し、「JR側の不手際」をブログ等で報告・拡散。この記事が、賛同を得るよりも炎上を招いてしまい、結構な騒動になっていました。
炎上の理由は、「主張が二転三転している」「目的地までの簡単かつ整備されたルートがあったのに、なぜか難しい別ルートを選んでいる」等々。
そこから始まって、伊是名氏の過去投稿記事が発掘され、「言行不一致」「傍若無人」との批判が湧きました。
reiwa-kawaraban.com(2021/10/28閲覧)
この炎上騒動。
主にはTwitter等のSNSを中心に始まったのですが、後にネットメディアが特集記事を組んで論争に発展。大手マスコミも取り上げるレベルへと発展しました。
ちなみに、未だに完全鎮火していません。
globe.asahi.com(2021/4/12)
れいわ新選組は、障碍者の権利や社会進出に関して、「深い考え」と「熱意」をお持ちである筈。そうでなければ、障碍と戦う候補者を推し、国会議員への道を開拓しないでしょう。
であるならば、伊是名氏の話を大きく取り上げ、政党「れいわ新選組」の持つ考えを述べるのが筋だと考えます。
ひょっとして、どこかでコメントを出しているのかも知れません。単に筆者の調査能力が足りず、見逃しているのかもしれない。
しかし、「それっぽいワードでネットを検索しても、何も引っかからない」という状況が存在する。これは確かなことです。
もっと声高に、党の考えを述べて頂きたい。
れいわ新選組の立ち位置が、よく分かりません。
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なお、れいわ新選組の山本太郎代表は、今回の衆院選でちょっとしたトラブルを起こしています。
その内容は、「立候補を突然撤回した」というもの。
www.nhk.or.jp(2021/10/11)
www.tokyo-np.co.jp(2021/10/11)
降りた理由は、「他の野党と揉めたから」「問題を大きくしたくないから」というもの。
まぁ、選挙戦略的にマズかった為、急に降りたのでしょう。
降りるのは候補者の自由ですが、「主義主張を貫いた結果、立候補する」という姿勢ではない。「選挙に受かるか否か」を重視した姿勢です。
これは、ちょっと説得力に欠けます。よく問題視される「落下傘候補」や「タレント候補」と、同じ図式が見える為です。
実績が乏しい。
主義主張を貫く姿勢にも疑問を感じる。
主要政党として、公約をどこまで守ってくれるのか?
正直、不安ですね。
--------------(記事了)--------------