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【漫画家の話】「高橋留美子」氏は、どこまで多才なんだか…

先日、こんなニュースが報じられました。

内容は、超有名漫画家の「高橋留美子」氏が、アメリカの漫画賞「ハーベイ賞」の殿堂入りを果たしたというもの。

www.nikkansports.com(20201/10/14)

「うる星やつら」「めぞん一刻」「らんま1/2」などで知られる、漫画家の高橋留美子氏が、米国の漫画賞「ハーベイ賞」で殿堂入りを果たした。

同氏の公式ツイッターが14日、同氏のコメントを発表した。

 

「この度は素晴らしい賞をいただきありがとうございます。

アメリカの皆様に楽しんでいただき、とても光栄です。

『漫画』を通じて皆様と交流できることがとても嬉しいです。

コロナ禍で大変世の中です。私の漫画が少しでも皆様の心の安らぎになればと願っています。

高橋留美子」

(コメントは原文のまま)

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202110140000376.htmlより。改行は筆者によるもの)

 

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「ハーベイ賞」とは、アメリカで最も権威のある漫画賞のひとつ。

アメリカの団体が選考する賞ですから、主にはアメコミ作品(マーベルや、DCコミックス等)が受賞しています。

www.harveyawards.com(20201/10/14閲覧)

Spider-Man 2099 Vol. 1: Out of Time (Spider-Man 2099 (2014-2015)) (English Edition)(提供:Amazon)

 

この賞の中に、「アメリカ以外の海外作品に関する枠」「日本風の漫画に関する枠(Best Manga)」があります。

その伝手で、今回の「高橋留美子氏の殿堂入り」が成った…というワケです。

 

ちなみに、この「外国枠」ですが…

過去には、大友克洋氏の『AKIRA』や、手塚治虫氏の『ブッダ』等が受賞しています。

手塚治虫氏に至っては、「日本人初にして、唯一の殿堂入り」を果たした漫画家さんでした。高橋留美子氏の殿堂入りは、手塚氏に次ぐ二例目となります。

AKIRA(1) (KCデラックス) ブッダ 1
(提供:Amazon)

 

なお、直近(2021年)では、『チェンソーマン』や『SPY×FAMILY』等が受賞しています。

さすが、アメリカで最も権威のある賞。最新作も欠かさずチェックしていますね。

チェンソーマン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
(提供:Amazon)

 

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この権威ある「ハーベイ賞」にて、殿堂入りを果たした高橋留美子氏。

恐らく、この結果に異論を唱える人は…いないでしょう。

 

高橋氏といえば、「日本漫画界の鬼才」「プロ中のプロ」との呼び声が高い、超有名作家さんです。

1978年のデビュー作品『うる星やつら』は、いきなり大ヒット。テレビアニメ(ゴールデンタイム枠)や、劇場映画作品にもなりました。現在でも新作グッズが発表されたり、コスプレネタとして人気があるという、何とも恐ろしい作品です。

うる星やつら〔新装版〕(1) (少年サンデーコミックス)(提供:Amazon)

 

『うる星やつら』以外にも、『らんま1/2』『めぞん一刻』『犬夜叉』『境界のRINNE』『MAO』…等々。多数の超有名作品を発表。

そのどれもが、第一線で長く愛される作品です。ここまで凄い作家さんは、そうそういない。

 

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高橋氏の特徴として、「得意分野が固定されない」というものが挙げられる。筆者はそう考えています。

多くの場合、漫画家さんの得意分野は限られてきます。他分野にテーマを広げても、成功した分野ほどは売れないことが多い。

 

例えば、「サッカー漫画」で売れた漫画家さんが、他のスポーツ(テニスやボクシング)等をテーマにした新作漫画を発表しても、サッカー漫画ほどは売れない。

最終的には、「最初に売れたサッカー漫画の続き」を描く流れになります。

 

例えば、「プロレス漫画」で売れた漫画家さんが、他のテーマ(妖怪ものや、ロボットもの等)をテーマにした新作漫画を発表しても、プロレス漫画ほどは売れない。

結局、「最初に売れたプロレス漫画の新展開」を描くことになります。

 

上記の様な流れは、高橋氏の活動では見られない。

「様々なジャンルで、かなりの成功を収める、多角経営のプロ」みたいな感じですね。凄い。

高橋氏の代表作について、作品名とジャンルを順番に並べていくと…

 

『うる星やつら』→SF

『めぞん一刻』→純愛

『らんま1/2』→格闘

『犬夜叉』→妖怪。戦国時代。バトル

『境界のRINNE』→心霊。貧乏コメディ

『MAO』→大正浪漫。ダークファンタジー

 

…こんな感じですね。

ここまで様々なジャンルに手を広げ、各作品で高い評価を受ける。これを「鬼才」と呼ばずに何と呼ぶか?

 

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高橋氏の作品群は、「るーみっく・わーるど」と呼ばれるくらい、独特の個性が溢れるものばかりです。
(高橋「留美子」氏からとって、るーみっく)

中でも特筆すべきは、「従来の一般的解釈を、高橋流の独自解釈で味付けする」という作風。これが、斬新かつ魅力的です。

 

例えば、代表作の『らんま1/2』(らんま・にぶんのいち)。

格闘をテーマにした作品ですが、この中で「気」に関する描写がなされました。

 

「気」は、高橋作品に限らず、多くの作品で取り上げられる要素です。

大体が「光線技」だったり、「生命エネルギーや強さの尺度」として描かれるネタですね。『ドラゴンボール』の「かめはめ波」が、その典型例。

 

『らんま1/2』でも、「気を使った光線技」の描写がありました。

その必殺技の名は「獅子咆哮弾(ししほうこうだん)」です。

らんま1/2〔新装版〕(20) (少年サンデーコミックス)(提供:Amazon)

 

この獅子咆哮弾。「気」の強弱で威力が変わるのですが…。

 

(ここから、若干のネタバレ記述アリ。ネタバレが嫌な方は、次節まで読み飛ばしてください)

 

 

 

 

高橋流の「気」の描き方は、生命エネルギー云々ではなく、「気の持ち様」の方の気。「その時の気分」の気。

生命エネルギーは、ほぼ関係なし。

故に、嫌なことがあって気が重くなれば、放出される気も「重い気」となります。

 

重いものを相手にぶつければ、技を受けた側は肉体的にダメージを喰らいます。

が、技を放った側は「気が重い」という精神的ダメージを喰らっている状態ですから、何とも微妙な戦いになるワケでして。

 

また、「強気」に出た状態で技を放てば、威力の高い光線技が出せます。この技の名前は、「猛虎高飛車」。

しかし、何かにビビって弱気になれば、技の威力も弱まる。物凄く不安定な必殺技です。

 

「気」の描写ひとつに至っても、他作品とは似て非なる表現をする高橋作品。

発想や解釈の方向性が、地味であり奇抜です。

本来、「地味」と「奇抜」は相容れないものです。水と油の関係です。それを上手に混ぜてしまうのが、高橋流の凄いところ。

こういう「出来そうなんだけど、なかなか出来ないこと」を、サラッとやってしまう。ここが強みであり、人気の秘密でしょう。

 

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高橋氏は、現在『MAO』という作品を連載されています。

MAO(1) (少年サンデーコミックス)(提供:Amazon)

 

この作品は、「呪い」や「陰陽師」をテーマにした、シリアスなダークファンタジー。

過去作の『犬夜叉』や『境界のRINNE』と被る部分もありますが、作品全体の雰囲気は全く別物です。

 

60歳を超えてなお、新ジャンルに挑戦する作家魂。

なおかつ、この作品もかなりの人気を誇っている。
(そのうち、アニメ化されるんじゃないでしょうか?)

高橋氏の「熱意」と「技量」には、ただただ驚くばかりです。

 

アメリカの漫画賞にて、日本人として二人目の殿堂入りを果たすのも、至極普通に見えてきますね。

「ハーベイ賞」の人を見る目は、伊達じゃない。

 

 

-----------------(記事了)-----------------

 

 

ブッダ 1

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