本日のニュースのなかに、こんな記事がありました。
テーマは、「SNSの裏アカと、就職試験」について。
www.asahi.com(20201/9/25)
東京・飯田橋の雑居ビルの一室。
3人が黙々とパソコン画面に向かう。
手元には1通のエントリーシートがある。
金融会社へ転職を希望する20代女性のもの。
女性が匿名で投稿しているSNSのアカウントを見つけ出し、隅々まで内容を調べる。
すぐに副業をしていることが発覚した。現在の勤務先は副業を禁じている。「問題あり」とする報告書が作られた。
同じ会社に入社希望の20代男性についても調べる。
「コロナに効く」とする健康商品の広告を自らのSNSに転載し、拡散させていた。
この商品は、宣伝文句に根拠がない恐れがあるとして、消費者庁が注意を呼びかけていた。
(https://www.asahi.com/articles/ASP9P4Q36P8RPTIL02M.html?iref=pc_rensai_article_short_1317_article_1より。改行等は筆者によるもの。以下同)
上記記事は、「某調査会社が提供するサービス」に関するものです。
そのサービス内容は、「就職希望者が、SNSでどういう発言をやっているか?」を調べ、依頼企業に報告書を提出するというもの。
この調査会社の根性は凄い模様で、いわゆる「裏アカ(裏垢)」まで調べるとのこと。
「実名を出すと、後で色々と面倒なことになる話題」について、匿名で発言するのが「裏アカ」ですが…
上記記事で紹介された調査会社さんは、その裏アカの持ち主(実名)を特定するそうです。
「どんな方法で調べるか?」は企業秘密であり、「どんな会社から依頼が来るのか?」も分からない。
故に、筆者のレベルでは裏取り不能。
ただ、この手の企業が存在して当然だ…と考えます。「事実無根の真っ赤な嘘」ではない。
この手の話を考えるポイントは、2つ。
「需要」と「能力の信憑性」です。
------------------------------------------
先ずは「需要」。
「この手の調査会社を欲している企業」が存在しなければ、調査会社も存在し得ない。自明の理です。
そう考えると、「SNSが原因で、企業への大ダメージが発生した」という話が思い浮かびますね。
一時期、「バイトテロ」「バカッター」「バカスタグラム」という呼称で、SNS経由の炎上騒ぎが頻発していました。ああいう話です。
現在でも、たまに炎上しています。
今年の6月頃にも、「飲食店の厨房や休憩室で、従業員が”食べ物を粗末にする動画”を撮影してSNSにアップし、拡散されて大炎上」「店内監視カメラの映像を見て、客に向かってセクハラ発言」という事件が、ポツポツ起きています。新聞記事にもなりました。
www.j-cast.com(20201/6/7)
www.asahi.com(20201/6/14)
www.itmedia.co.jp(20201/6/23)
・6月5日:コンビニ店員らが店のバックヤードに設置されたモニターで、レジに並ぶ女性客の胸をのぞく(TikTok)
・6月8日:ピザチェーンの店員がシェイクをヘラですくってなめる(Instagram)
・6月13日:カレーチェーン店員が休憩室で賄(まかな)いのカツカレーに陰毛らしきものを「スパイス」と称して投入する(Instagram)
(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/23/news112.html)
この類の問題が発生したら、企業が喰らうダメージは巨大です。
やらかした本人に罰を与えたり、巨額の損害賠償を支払わせても、「企業として失ったもの」に比べれば小さな話です。取り返しがつかない。
故に、予防へパワーを注ぐ。
その為に、入社試験の段階で「裏アカで危険な情報を流している者」を探し、入社を断る。危なっかしい連中の入社を、水際で阻止するのです。
企業の防衛本能を考えれば、普通に納得のいく話。調査会社の需要は、存在しますね。
------------------------------------------
「需要」の次は、「調査能力の信憑性」について考えます。
筆者はプロの探偵でも何でもないので、実際に「他者の個人情報」を調べた経験はありません。
しかし、「裏アカから個人を特定する」というスキルやサービスが存在しても、特に不思議な話ではない。そう考えています。
そう考える理由は、「裏アカを作る人の心理」にアリ。
裏アカで活動する人々は、「SNS上では、実名さえ名乗っていなければ、身元はバレない」と思う傾向が強い。
そう思っているからこそ、表に出せない話を流す「匿名の裏アカ」を作っているワケですからね。
しかし、「本名さえ出さなければOK」というのは、大きな間違い。その油断が、かなりの命取りです。警戒心を持たずに、目についたものを垂れ流すサイクルに入りがち。
そういうサイクルに入ったら、「身元がバレる情報」を裏アカに混ぜ込んでしまいます。その手の情報を拾われたら、素人でも身元特定が可能。
素人でも可能ですから、専門業者の手にかかれば造作もないことです。
故に、「調査能力の信憑性」に関しては、それなりに信用できる話だと考えます。
何でもかんでも分かるわけではないとしても、かなりの高確率で身元がバレる。そう考えるのが自然。
------------------------------------------
では、どんな投稿が身元特定へと繋がってしまうのか?
匿名で投稿したのに「実名がバレる情報」というのは、一体どんなものか?
その具体的な事例については、次回記事にて。
長くなるので、本日はここまでとさせてください。
--------------(記事了)--------------