5日ほど前。
筆者は、1985年から始まった漫画『聖闘士星矢(セイント・セイヤ)』について、記事をアップ致しました。
上記の内容は、「作品を愛するが故の、ツッコミ記事」になっています。
ツッコミの隙がある少年漫画。これは「勢いが凄い」という魅力の反作用。筆者は、愛すべき点だと考えています。
『キン肉マン』『彼岸島』等にもいえる話。
そんな筆者から、本日も『聖闘士星矢』関する、オタ度高めの小噺をひとつ。
「この作品を知っている方向け」の話になりますので、その点はご了承ください。
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では、本題に。
今回のテーマは、「ボスが武器嫌いなのに、武器を使う聖闘士が多い」という話。
『聖闘士星矢』は、”女神アテナを守る戦士”を描いた作品です。
アテナは、地上を狙う他勢力(海王ポセイドン、冥王ハーデス等)を撃退する為、聖闘士軍団を率いて戦う宿命を背負っています。
そのアテナの転生者として、20世紀末(連載当時)の地上に降臨したのが、「城戸沙織」という名の少女。この沙織さんをどうやって守るか?…が、『聖闘士星矢』のメインテーマになります。
で、その守護方法ですが…
「アテナは、武器が嫌い」だそうで。故に、アテナを守る聖闘士は、基本的に素手。
ただ、その威力は凄まじい。最下級の聖闘士でも、「1秒間にパンチ100発」「素手で大地を割る」くらいの芸当は可能です。
これだけのパワーを持つ戦闘集団なら、素手でもアテナを守護することは難しくない。そう見えますね。
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しかし、実際の聖闘士連中は…結構な割合で、武器を使う者がいます。
「唯一、正式に武器所持・使用を認められたのは、天秤座の黄金聖闘士だけ」という設定はあります。が、実際は違います。
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(上画像:天秤座の黄金聖闘士「童虎」)
例えば、天秤座と同じ黄金聖衣「射手座」の聖闘士。
明らかに弓矢を使っていますね。これが武器でなくて、何なのか?
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(上画像:射手座の黄金聖衣を身に付けた主役・星矢)
筆者が思うに、「剣」や「槍」という分かり易い武器は、完全にアウト。
他には、「防御専門の盾であれば、武器ではない」「しかし、盾を投げて攻撃できるとなれば、それは武器である」という線引きが妥当でしょう。
その判断基準でいくと、原作漫画内で確認できた「武器を使う聖闘士」の一覧は、以下。
(1)龍:盾(投擲武器として使える)
(2)アンドロメダ:鎖
(3)ヒドラ:毒の爪
(4)フェニックス:羽根飾り(手裏剣になる)
(5)カメレオン:鞭
(6)烏:烏の羽根
(7)ケルベロス:鉄球付きの鎖
(8)御者:刃物付きの円盤
(9)ペルセウス:盾(石化ビームを発射する)
(10)矢:黄金の矢(ダーツに近い)
(11)天秤:槍や剣など、6種類(唯一の例外として認められた存在)
(12)射手:弓矢
(13)魚:毒を仕込んだ薔薇の花
(14)琴:琴(音波&弦を使った攻撃)
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(上画像:アンドロメダの聖衣を身に付けた聖闘士・瞬)
聖闘士は、全部で88人。
「週刊少年ジャンプ」で連載されていた元祖『聖闘士星矢』に登場する聖闘士は、全体の半分以下・39人です。
その中で、上記の14名が「武器を使う聖闘士」と認められる。
正式に許可を受けている天秤座を抜いても、13名。これ、結構な割合です。
百分率だと、約34%。3人に1人は、武器持ちで戦闘をしている計算になりますね。かなり多い。
アテナが「私、武器は嫌い」と言っても、その通りに動かない聖闘士が結構いる。
聖闘士は、アテナのボディーガードです。「部下」みたいなもんです。その立場の連中に、ボス「アテナ」の発言が通らない…。
組織としてガバナンスが効いているか、不安です。
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ただ、聖闘士側の考えもよく分かる。
アテナが「私、武器が嫌い」と言ってきても、現実はシビアです。武器なしで強敵を撃破できる程、戦いの世界は甘くない。
実際、他勢力(アテナに敵対する勢力)の中では、「武器禁止」という話が出てきません。
海王ポセイドン軍団には、槍や音波兵器(笛)で武装した連中がいました。ポセイドン自身も、三叉の槍を使います。
冥王ハーデス軍団に至っては、雑兵の標準装備に「巨大な鎌」があり、武器を使う気マンマン。ハーデスも、標準装備に剣を持ち、情け容赦なく斬りかかって来ます。
敵勢力は武器を使ってくるのに、聖闘士が素手では分が悪い。
その為、仕方なく武器使用に追い込まれている。これが妥当な解釈かな?…と。
まぁ、そもそもボスキャラである「アテナ」が、武器を持ってるんですけどね。
アテナも聖衣を身に付けますが、「勝利の女神・ニケの力を宿し、相手を殴れる強度を持った杖」が標準装備です。
「重そうな円形の盾」も、標準装備。他の聖闘士で盾を持った者はいますが、せいぜい「小手を大きくした程度の小さな盾」ですから、アテナの武装度よりは下です。
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(上画像:聖衣を身に付けたアテナの化身・城戸沙織)
劇中では、アテナも「聖闘士の武器使用」について、イチイチ文句をつけていませんでした。黙認している模様です。
地上を守る為ならば、自分の主義主張を曲げるアテナ。ある意味、ボスとしては理想的な存在です。
「目的達成の為なら、自分の好みが通らず、嫌な想いをしても仕方ない」という心意気。これは上司の鑑ですね。
現代の日本社会で、アテナの様なボスが何人いることか…。
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