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【裁判の話】池袋暴走事件に、やっと地裁判決が出ました

今日の注目ニュースは、やはりこれ。

2019年4月19日。東京・池袋にて、元官僚「飯塚幸三」被告の運転する車が暴走し、多数の死傷者を出した事件。

その地裁判決が出ました。

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(イメージ画像:https://free-materials.com/%e8%a3%81%e5%88%a4%e6%89%8013/

 

判決は、「禁錮5年」の実刑判決。

執行猶予なし。

 

求刑は「禁錮7年」ですから、それよりも少ない年数です。

まぁ、こういうのは「求刑の70~80%が相場」という話をよく聞きます。禁錮刑というのも同様。相場通りの結果…になりますね。

www.asahi.com(2021/9/2)

 

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複数の死傷者を出し、裁判で「自分は悪くない」「車のせいだ」との主張を曲げなかった飯塚被告。

「その主張には無理がある」と、警察・検察・車のメーカー等から指摘を受けた飯塚被告。

結果は、一発実刑。執行猶予なし。

 

この事件を巡っては、「飯塚被告が元官僚だから、逮捕されない」「マスコミが忖度し、”元院長”という妙な呼称を使っている」等の話が出ました。

ネットやSNSでは、「上級国民」ネタとして拡散&炎上。流行語にもなり、関係書籍も多数発売されました。

上級国民ネタは、飯塚被告以外の話にも波及。特に政治の世界で「罪に問われるべき案件が、揉み消されている」と騒動になりました。

現在でも、この流れは顕著。権力者や有名人に、厳しい目が向けられています。

 

もし、飯塚被告が無罪にでもなろうものなら、大炎上は必至だったでしょう。

その事態は、回避された模様です。

 

しかしまぁ、ここに来るまで長かった。

似た事例と比べて、どえらい引き延ばし具合になりましたが…ひと段落ついたことになります。

御遺族の方、被害者の方、その他多くの関係者の方、先ずはお疲れ様でした。

 

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ただ、今日の判決は「地裁判決」です。

これで終わるかどうかは、分からない。

 

日本の司法は、三審制を採っています。

地裁判決に不服であれば、高等裁判所に訴え出ること(控訴)が可能。高裁判決でも納得いかないのであれば、最高裁に訴え出ること(上告)も可能。

これは、殺人者であろうと万引き犯であろうと、誰でも行使できる権利です。当然、飯塚被告も例外ではない。

 

検察と被告側。

双方が、判決が出た翌日から数えて14日以内に、「判決を受け入れるか」or「上の裁判所に話を持って行くか」を決めねばなりません。どちらか一方でも「上に持って行く」と主張すれば、裁判は続きます。

今後の動きは、まだ読めません。もし飯塚被告の裁判が伸びれば、また長い時間がかかります。

 

これまでの飯塚被告の言動からするに、責任を車やメーカーに転嫁する姿勢が顕著です。

故に、「自分に責任はない」と主張する為、控訴する可能性は高いでしょう。

ただ、飯塚被告は既に90歳。裁判が終わるまでの間に、認知機能が低下しても不思議ではない。天寿を迎える可能性も否定できない。

「これ以上裁判を続けて、大丈夫だろうか?」と勘繰りたくなります。勿論、被害者や遺族の心情を尊重する意味で。

 

どちらにしても、2週間以内に次の動きが見えてくる筈。

飯塚被告は、これ以上の追加燃料を注がない様な言動をとってほしい。

 

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なお、ひとつ余談をば。

 

今回、地裁が出した判決は、「禁錮」です。

個人的感想ですが、刑罰としては「中くらい」のレベルかと。

 

物凄くザックリ分けると、日本における刑罰のヒエラルキーは、重い順から…

死刑→無期懲役→無期禁錮→有期懲役→有期禁錮→拘留→金銭的刑罰(罰金・過料)

となります。

懲役は、矯正の意味で労働を課します。それに比べ、禁錮には労働の義務がない。受刑者が希望すれば、労働することは可能です。が、義務ではない。そういう意味で、やや軽い刑罰と受け取られても仕方ないのかと。

ただ、禁錮は「個室でずっとゴロゴロできる」というものではなく、常に刑務官の監視が入ります。人によっては、禁錮の方がキツい場合もある。

 

今回、飯塚被告にかけられた容疑は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷処罰法)」の第5条違反。

規程された量刑は、「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」です。

検察の求刑は、禁錮7年。MAXの年数です。

elaws.e-gov.go.jp(2021/9/2閲覧)

 

じゃあ、なぜ検察は「懲役」ではなく「禁錮」にしたのか?

 

「この手の事件は、大体そんなもん」という相場の話。そう言われればそうなのでしょうが…

筆者が思うに、絶対に刑務所に入れる」という意気込みの表れではないか…と。

 

そう考える理由は、刑事訴訟法にあります。

刑訴法・第482条では、「収監によって健康を害する恐れがある場合は、執行を停止できる」と定められています。

elaws.e-gov.go.jp(2021/9/2閲覧)

第四百八十二条

 

懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者について左の事由があるときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて執行を停止することができる。


一 刑の執行によつて、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできない虞があるとき。
二 年齢七十年以上であるとき。
三 受胎後百五十日以上であるとき。
四 出産後六十日を経過しないとき。
五 刑の執行によつて回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。
六 祖父母又は父母が年齢七十年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
七 子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
八 その他重大な事由があるとき。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131より。改行等は筆者によるもの)

 

飯塚被告は、90歳の高齢者。

そもそも上記の第2条で、「70歳以上は、収監する前に停止を考えなさい」と規定されています。その上で「懲役」となれば、恐らく弁護側からツッコミを喰らうでしょう。

故に、「飯塚被告は高齢ではあるが、禁錮なら耐えられる」と主張する為、懲役を求めなかった。勝負事の様なリスクを避けたのではないかと

そう考えると、禁錮でもスジは通りますね。

 

検察は、頑張った。

裁判官も、被害者に寄り添う判決を出したと考えます。

 

 

--------------(記事了)--------------