本日のニュースの中に、こんな話がありました。
「青酸連続殺人事件 最高裁が筧千佐子被告の『上告を棄却』死刑確定へ」
www.mbs.jp(2021/6/29)
夫や交際相手などの男性に青酸化合物を飲ませ殺害した罪などに問われ、一審・二審で死刑判決を言い渡された筧千佐子被告(74)の上告審判決で、最高裁は6月29日に被告側の上告を棄却しました。
これで、死刑判決が確定することになります。
(https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210629/GE00039011.shtmlより。改行等は筆者によるもの)
この事件。
黒川博行氏の小説『後妻業(ごさいぎょう)』から採って、「後妻業事件」とも呼ばれた連続殺人事件です。
後妻業とは、「伴侶を失った高齢男性に近付き、世話を焼いて結婚ないし内縁関係になった後、財産を奪う段取りをする」という行動を指します。
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死刑判決を受けた、筧被告。
彼女は、2007年から2013年にかけて、元夫や結婚相談所で見つけた交際相手等、4人の高齢男性に対して青酸化合物を飲ませ、4人中・3人を殺害。殺人と強盗殺人未遂の罪に問われていました。
(もっと言えば、今回の裁判以外で、彼女の周囲に「複数の不審死」が起こっていたのですが…そちらに関しては、証拠不十分で裁判にならず)
一審と二審では、死刑判決。
今回の最高裁でも同様。
最高裁での弁論で、筧被告の弁護士は「筧被告の認知症が進行し、訴訟を継続できる能力がない」と主張。裁判の打ち切りと無罪を求めていましたが、最高裁は認めず。
日本は三審制(地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所)を採用している国ですから、最高裁の判断を覆すことは…かなり困難です。
「異議申し立て」等の方法がありますので、全く何もできないワケじゃありませんが。
恐らく、筧被告の弁護士は、その手の方法を模索することでしょう。
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この事件は、関西地区で起きた事件です。
筆者は関西人ですから、この事件に関する報道をよく見聞きしました。
逮捕前の筧被告に対し、テレビ局が直接インタビューを試み、ローカルニュース番組でよく流れていました。
そのインタビューを見て、筆者は「この人、怪しい」と強く思った場面がありました。よく覚えています。
まぁ、インタビュー映像を編集して放送するテレビ局側も、「これは怪しさ抜群だな」と考えたが故に、映像を流したのでしょうけど。
その「怪しい場面」とは、筧被告に向かって、記者が質問をした時のワンシーン。
筧被告の主張は、「旦那が病気か何かで倒れた」というもの。
その時の詳しい状況を記者が尋ねたところ、ペラペラと喋り倒し、詳細に状況を説明。
自らの身体を使って、死体の状況を再現したり等々、やたらサービス精神旺盛な姿を見せていました。
普通に考えて…
「自分の相方が突然死した」という状況を前に、気持ちが沈んで当然。とてもペラペラ喋る気にはなりません。
しかし、筧被告はそうではなかった。
これは、「何か後ろめたいことがあり、不都合な面を誤魔化す為に、偽情報を大量に与える」という図式に見えます。要は煙幕と同じ。
VTRを見ただけの筆者ですら、そういう感想を抱いたのです。
取材した記者の方。取り調べを担当した警察官の方。こういった関係者の方に至っては、筆者が感じたものよりも強い違和感を持ったでしょう。
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高齢化が進み、単身者も増加中の日本。
筧被告の事件と同じ様な話は、これから増えてくる恐れが大きい。
いや、既に同様の事件が多数起きていて、今も埋もれているだけなのかも知れません。
こういった事態を減らすには、様々な方法があると考えますが…
割と重要なものとして、「司法解剖の件数を増やす」という案があります。
www.afpbb.com(2016/2/23)
www.asahi.com(2019/9/7)
警察庁の統計によれば、2014年に死因不明の「異状死」のうち、解剖に回されたのは、わずか11.7%だった。
英イングランド(England)とウェールズ(Wales)で同年、解剖が行われた割合は40%、スウェーデンでは同95%だった。
(https://www.afpbb.com/articles/-/3077947)
筧被告の事件でも、「病死扱いで、司法解剖なし」という事例があり、真相は闇に埋もれてしまいました。
似た様な話は、筧被告の事件以外にも多い。ネットでは「エクストリーム自殺」というスラングが出る始末です。
司法解剖の件数を増やすには、人員も予算も足りない現状。
しかし、逃げ得を許す風潮が強ければ、日本はどんどん物騒になっていきます。
「治安が良い」というのは、日本のアピールポイントだった筈。それが失われるのは、惜しいというか…怖い。
筧被告の事件を機に、政府(特に法務省)が考えを改めてくれる…と、筆者は朧気に期待しております。
「目の前のカネばかり追いかける」という昨今の状勢では、なかなか難しいかも知れませんが。
--------------(記事了)--------------