火事。新型コロナよりも怖い災害です。
逃げ遅れたら高確率で死亡しますし、金銭的損害も大きい。できれば遭遇しないままで、一生を終えたいものです。
今のところ、筆者は火災被害に遭遇した経験ナシ。近所で全焼案件とボヤ騒ぎが1件ずつあった程度です。
が、火災は不意に起こるもの。
「自分は大丈夫」と思っていても、何が火元になるか分からない。油断できません。
災害とは、概ねその様なものです。
先日のニュースでも、「意外なモノが火元になる」という話が報じられていました。
どこの家にもあり、まさか火事の元になるとは思えない、そういうアイテムです。
その品物とは、「乾電池」です。
www.nishinippon.co.jp(2021/6/5)
昨年8月に福岡市で2階建ての住宅兼事務所が全焼した火災が、室内にあった乾電池が他の電池と接触したことにより発火して起きたとみられることが、市消防局などへの取材で分かった。
同様の火災は、多くはないものの全国で発生しており、専門機関は「電池同士が接触しないように気を付けて保管してほしい」と呼び掛けている。
市消防局から開示された火災調査報告書には、発火源は乾電池と記載。
出火に至った状況については、角型電池のプラス端子とマイナス端子にボタン電池などが接触してショートし、周囲に火が付いたと推定されている。
(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/750270/より。改行等は筆者によるもの)
上記案件では、プロのマジシャンのお宅が、火災で全焼しています。
火元は、手品で使う小道具用の電池。本人さんもよく覚えていないそうですが、「買ってから1~2年程度は経過していた古い電池か?」的なことを仰っていました。
買ってから1~2年程度経過した、古い乾電池。
そんなもの、日本どころか世界中のアチコチに転がっています。珍しいものではありません。
古い電池は、偶に「液漏れ」を起こします。漏れた液が皮膚に付けば、化学火傷の原因となり得る。目に入れば、失明の恐れもある。なかなかに怖い。
ただ、最近は製造技術が向上したからなのか、液漏れをあまり見ない。
筆者は、「古い電池に、少々錆が出ている」という光景を見た記憶はありますが、ガッツリ液漏れした電池を見た記憶は無い。電池表面に異常がないままで、電気が空になって捨てます。
液漏れすらないのに、まさか「火災の原因になる」とは考えない。これが普通でしょう。
しかし、乾電池は火災原因になり得る。これもまた事実。
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「乾電池が火元になる」という、にわかには信じがたい話。
これを、実証実験した動画が存在します。
動画の作成者は、「製品評価技術基盤機構(NITE)」さんです。
様々な製品の安全性などを調べる、独立行政法人さん。
www.youtube.com(2017/8/25)
普通に乾電池を使っている分には、まず火災は起きません。
しかし、乱雑に保管され、電極部分が接触する様な状況だと、ショートを起こして破裂します。
そのショートの様子を撮影したのが、上記動画。乾電池が爆発し、炎も見えています。火災の原因になり得るでしょう。
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で、この「乱雑に保管された」という状況ですが、意外な形でアチコチに存在します。
整理整頓が得意な方でも、意図せずやってしまう可能性アリ。
それは、「ゴミ」「リサイクル品」となった電池に関する話です。
いくら整理整頓が上手な方でも、ゴミ箱の中まで整理整頓することは少ないでしょう。
廃乾電池も然り。専用容器に分別して入れても、そこから先は捨てるだけ。整理整頓の必要がない。
ただ、先述の様に「乾電池を乱雑に保管し、電極が触れてスパークすれば、爆発する」という可能性はあります。
廃乾電池といえども、中身の電気がカラッポになったとは限らない。
「電気は残っているが、弱ってしまい使い物にならない」という廃乾電池は多い。
それらが接触して爆発し、火災が発生することはあります。
例えば、以下の様なニュースが。
www.nikkei.com(2018/11/30)
大阪府吹田市のホームセンター「コーナン」千里山田店で28日に発生した火災について、府警は30日、廃棄した防犯タグの電池同士が接触し、過充電によって出火した可能性が高いと明らかにした。
府警によると、28日午前6時半ごろ、1階のサービスカウンター西側の棚から出火したとみられる。
店員の話では、棚には廃棄した防犯タグやタグから取り出したボタン電池を10個以上入れていたポリ袋があった。
電極同士が重なり合うと過充電によって発熱し、発火する恐れがあるといい、燃え移った可能性が高い。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38367850Q8A131C1AC1000/)
筆者は関西人です。
上記の火事について、関西ローカルニュースで見た記憶アリ。
「え? 乾電池が燃えるの?」と驚き、強く印象に残っています。3年ほど経過した今でも、よく覚えています。
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この手の火災を防止する為には、電池の管理をシッカリ行うことが重要。
「燃えやすい容器には入れない」とか、「電池の向きを揃えて、電極が接触しない様にする」等々の管理をやっているかどうか? そこが重要です。
ゴミに出す場合は、「電極に絶縁処理を施し、電極が接触しない様にする」という対策が効果的です。
絶縁処理といっても、大袈裟なことを求められているワケではありません。「電気を通さないテープを、電極に貼る」ということだけでも、効果は抜群。簡単です。
読者の皆様も、早めにチェックしてみてください。
火事が起きてからでは、色々と手遅れですので。
--------------(記事了)--------------