先日、こんな記事が流れました。
その内容は、「エヴァンゲリオンの生みの親・庵野秀明氏」について。
www.dailyshincho.jp(2021/5/16)
アニメ界の巨匠、庵野(あんの)秀明監督(60)。
改めて、この「鬼才」に注目が集まっている。
「人に慣れない動物を躾(しつ)けているみたいな感じ」
3月22日に放送されたNHKの「プロフェッショナル」で、妻の安野モヨコさんは庵野監督をこう評した。
まさに「人間離れ」した彼の存在が、今再び「ブーム」となっている。
なにしろ番組が好評だったため、4月29日にBS1で拡大版が放送される異例の事態が起きているのだ。
同番組は、3月8日に公開されたアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の製作過程を追い、庵野監督に密着したものである。
映画は4月18日の段階で観客動員数が500万人を突破し、2007年から始まった新劇場版「エヴァシリーズ」の中で最高記録を更新するほどの大ヒットとなっているのだが、驚くべきは作品に心血を注ぐ庵野監督の、「変人的」とでも言うべき鬼気迫る姿だ。
映画製作の期限が迫っているのに、いきなり脚本の4分の1を書き直すなど、とことん自分が納得するまで作品を練り直し、それに振り回される周囲のスタッフのドタバタぶりが「プロフェッショナル」では描かれている。
(https://www.dailyshincho.jp/article/2021/05161056/?all=1より。改行等は筆者によるもの。以下同)
NHKの番組に、エヴァンゲリオンの生みの親「庵野秀明」氏が登場。
その番組について書かれたのが、上記引用の「デイリー新潮」記事です。
------------------------------------------
この新潮記事に、「庵野氏に近しいスタッフ」という匿名の人物から仕入れた、興味深い情報が書かれていました。
その情報は、以下のようなもの。
「庵野さんは今後、あるアニメ映画を作る予定です。
庵野監督ではない、誰もが知っている国民的アニメ映画監督の代表作のニューバージョンですよ」
(https://www.dailyshincho.jp/article/2021/05161056/?all=1)
庵野氏が、『ゴジラ』や『ウルトラマン』等、他の作品を庵野流に仕上げるという活動をやっている。これはよく知られたことです。
その活動の次回ターゲットが、「誰もが知っている国民的アニメ映画監督」の代表作とのこと。
パッと思いつくのは、「宮崎駿」氏あたりでしょうか。「新海誠」氏でしょうか。
それとも「大友克洋」氏か、「高畑勲」氏か…?
該当しそうな名前は、沢山あります。
------------------------------------------
が、この新潮記事。速攻で炎上。
何故ならば、庵野氏サイドが即座に否定したからです。
現在、庵野秀明がアニメ作品の企画をしているという内容についてのニュース記事が出ていますが、そのような事実はございません。
— 株式会社カラー (@khara_inc) May 16, 2021
また、弊社関係者はこのような週刊誌やネット記事に対し、過去も現在も一切の取材を受けておりません。
正式に取材をお受けした企画に対しては公式に告知しております。
公式が「デマ」と言っている以上、デマと捉えるのが普通です。
上記のコメントが出た後、新潮側から反論も追加情報も無し。どうやら、デマ確定か?
仮に、新潮がネタ元として出した「庵野氏に近いスタッフ」が実在するとすれば…内部情報のリークということになりますね。
内部情報が漏れたとしたら、それは漏らした者が怒られる話。「犯罪や不正の告発」ならともかく、それ以外の情報を漏らすのは信義則に反します。
その手の情報を鵜呑みにする新潮。そういう構図になってしまいますね。
これから反論が出るのかも知れませんが、かなりガチガチな根拠を示さないと、「デマ記事」とのレッテルは消えないでしょう。
------------------------------------------
ツイッター等のネット空間では、上記の新潮記事を受けて、「庵野氏がリメイクするのは、あの作品かも?」と大いに盛り上がりました。
が、速攻で公式が否定。盛り上がりは消え、炎上だけが残ることに。
まぁ、今回はアニメの話ですから、人の命がどうこうとかいう深刻な話に直結しません。そういう意味で、悪質さは低い。
「庵野氏サイドに対する業務妨害になるかも?」という疑念は残りますが、庵野氏サイドから訴訟の動きなどは出ていない。
このまま、鎮火していくのでしょう。
------------------------------------------
この一件を見て、筆者が感じたこと。
それは、「人は、簡単にデマを鵜呑みにする」というもの。
今回の記事に限った話ではありませんが…
ネット空間を始め、「デマが騒ぎを呼ぶ」という光景は数多あり。
記事執筆者がハッキリした根拠を示さず、「匿名の事情通」がネタ元になっている。
こういう記事は、鵜呑みにする前に疑ってかかる。これが鉄則。
騒ぐのは、裏が取れた後で。それが安全です。
特に、犯罪に関する「事情通からの情報」は、アテにしてはいけない。
ツイッター等で、「こいつが真犯人」という情報がよく回ってきますが、鵜呑みにして拡散するのはNG。下手すれば、拡散した者も「デマ流し犯人」とされ、警察が動く話になります。
デマ加担は、誰でもやる。その可能性がある。
「自分は、絶対にデマに引っかからない」という人はいない。筆者も同様です。
油断すれば、誰でもやられるのです。
デマ耐性を身に付けるには、普段から「これって本当?」「根拠は何?」という視点を持ち、情報に接する必要があります。その姿勢を維持することが、情報リテラシー(情報活用能力)を育む修業みたいなもんです。
修業は、継続が重要。
ちょっとやそっとで、能力は身に付かない。
気長に続けて、習慣化するまで繰り返す。それが大事。
--------------(記事了)--------------