先日、物凄く久しぶりに、「とあるグッズ」を取り上げたニュースが出てました。
グッズの名は、「アベノマスク」。
www.jiji.com(2021/4/18)
「アベノマスク」とやゆされた布マスク2枚の全戸配布を政府が始めてから、17日で1年が経過した。
「税金の無駄遣い」と批判が相次ぎ、届いたマスクを福祉団体などに寄付する動きも広がった。
政府は「一定の効果はあった」と主張するが、芳しい評判は聞こえてこない。
東京都台東区の「ギャラリー・エフ」は昨年4月、不要分を有効活用しようと、店の前に「アベノマスクポスト」と書いた回収箱を設置した。
毎日50枚程度が投函(とうかん)され、集まったマスクは山谷地区の労働者を支援する団体に送った。
現金を同封する人もおり、送り先から感謝されたという。
しかし、オーナーの村守恵子さん(75)は「なぜ無駄遣いと考えずに先走ってしまったのか。もっとやることがあったのでは」と、そもそもの政策に疑問が拭えない。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041700410&g=socより。改行等は筆者によるもの。以下同)
昨年の上半期を中心に、新型コロナ騒動によるマスク不足が深刻化。
悪質転売ヤーが跋扈し、通常なら一箱500円くらいの使い捨てマスクが、1万円を超えるボッタクリ価格で出品されることもありました。
この異常事態を前に、日本政府が対策として示したのは、「大人には小さすぎるガーゼマスク」の配布。
無いよりあった方がいい…くらいの感覚でやったのでしょうが、すこぶる評判が悪い。未だに悪い。
海外メディアからも疑問の声が出る程の、歴史に残る迷政策になったことは否めません。
www.sankei.com(2020/4/3)
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「アベノマスク」における最大の問題点は、「どの程度の効果を狙ったか」がよく分からないままで始め、「実際に、どの程度の効果があったのか」を後で検証していないことです。
上記ニュースで、政府は「一定の効果があった」としていますが、「どの分野で・どれだけの効果があったのか・数字で説明する」という話が無いとNG。
「○○パーセントの人が良かったと言った」「××パーセントの予防効果があった」等々の数字が出て来なければ、検証したとは言えない。
それに加え、調査方法を公開しないと駄目。「一定の効果があったとの声もある」では、政府関係者が「効果アリ」と言えば嘘になりませんからね。自作自演でも、嘘にはならない。
キッチリ分析しないままでは、「思い付きで始め、やりっぱなしで逃げている」と思われて当然です。
コロナ騒動により、様々な所で活動資金が不足している。「やりっぱなし」を許せる余裕は、今の日本にはありません。
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政府が調べないのであれば、他の機関が調べた数字を信用するしかなくなります。
先に引用した時事通信記事には、こう書かれています。
厚生労働省によると、全戸配布にかかった費用は総額約260億円。
日本郵便のシステムを活用して約1億2000万枚を配り終えたのは、開始から2カ月後の昨年6月20日ごろ。
既にマスク不足はある程度解消した時期だった。
情報基盤会社プラネット(東京)が昨年7月時点で実施したインターネットによる調査では、アベノマスクを使っていると答えたのはわずか3.5%にとどまった。
有識者でつくる民間臨時調査会が昨年10月にまとめた政府の新型コロナウイルス対応についての報告書は「(マスク値崩れの)効果をある程度持ったことも確か」と評価しつつ、「総理室の一部が突っ走った。あれは失敗」という官邸スタッフの証言を引用。「政策意図が国民に十分に伝わっていたとは言い難い」と総括している。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041700410&g=soc)
筆者も、この調査結果を基に、記事を書いた経験アリ。
その際、引用内にある会社「プラネット」さんのデータにも言及しましたが、もう一つ別の調査結果にも触れています。
昨年5月に発表された、「株式会社アスマーク」さんの調査データ(https://www.asmarq.co.jp/news/corona0403/)によると、アベノマスクを使用している人は約10%。90%は使っていない。
また、まだ手元に届いていないという方に向け、「アベノマスクは必要ですか?」と尋ねたところ、90%の人が「不必要」と答えています。
より詳しく知りたい方は、上記リンク先内「政府の布製マスク(アベノマスク)の受取状況とニーズ」をご覧くださいませ。
筆者は、上記の数字を信用します。「絶対に正確だ」とまでは言えなくとも、概ねその通りでしょう。
昨年の段階で、筆者の周囲でも、街中を歩く人を見ても、アベノマスクを装着している人は皆無でした。
着用していたのは、言い出しっぺの安倍氏と、僅かな周囲の者だけ。政府関係者も着用しないアベノマスク。
これでは「愚策」と言われても、返す言葉が無い。
ただ、愚策なら愚策で、有効活用が可能。「なぜ失敗したのか」を調査すれば、再発防止の役に立つのです。
「こうすれば失敗する」というデータは、立派な研究成果。次に活かせます。そうなれば、単なる愚策で終わらない。後で役に立つ情報となります。
しかし、それをやらない政府。
もしやれば、誰かの責任が浮き彫りになりますからねぇ。
そこが愚策を生み出す最大原因。改善せずに放置すれば、愚策を量産する。
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コロナ騒動は、天災の側面が大きい。相手がウイルスですので。
しかし、日本国内が上手く回っていないのは、日本国内の政治家に大きな責任があります。
台湾やニュージーランド等、日本と同じ島国にて、感染抑制に成功した例はあります。成功の理由はいろいろあるのでしょうが、政治家の質に大きな差があるのは否めない。
今年は、衆議院議員選挙が実施されます。これは、国民にとって大きなチャンスになり得る。
今なら、政治家の仕事ぶりを検証するデータが豊富です。「口だけ達者で、仕事していない政治家」を判断し易い。
データが無い政治家は、「データを出したくない政治家」「データから色々バレてしまう政治家」と捉えられ、立場が危うくなる一方でしょう。
我々一般有権者は、そういう政治家に投票するべきではない。
仕事ができない者に、年収数千万円の椅子を与えるほど、日本は金持ち国家ではありません。有権者にブーメランが返ってくるだけ。
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