筆者が、以前から気になって視聴している動画群があります。
シリーズのタイトルは、「ガンタンク開発計画」。
ガンタンクとは、超有名アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、下半身が戦車みたいな人型兵器(モビルスーツ)です。
こう言っては何ですが、完全に脇役ポジションの機体。 劇中でも、主役機「ガンダム」に比べ、活躍の場が少ない。ちょっと寂しい立ち位置ですね。
このガンタンクを、現代の日本で、ガチで建造しようと試みた方がいらっしゃいます。
で、かなり完成度の高いガンタンクが出来上がっており、動く様子が動画にアップされています。
筆者は、その動画をよく拝見しています。
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「ガチで、ガンタンク建造」というのは、なかなか渋い響き。安易に主役機であるガンダムに行かない辺り、職人魂を感じてしまいます。
ただ、現代日本で建造されているのは間違いないのですが、現実世界ではないんです。ここがミソというか、味わい深いところというか、肝に当たります。
ガンタンクが建造されているのは、とあるPCゲーム内の話。
ゲームのタイトルは、『Besiege(ビシージ)』です。
store.steampowered.com(2021/3/31閲覧)
『Besiege』は、ゲームの有名プラットフォーム「Steam(スチーム)」内で販売されているインディーズゲームです。
現在(2021/3/31)のところ、価格は約1500円。対応しているのはパソコンのみ。スマホやゲーム専用機では発売されていません。
その為、知名度はやや低いのかも知れない。しかし、内容が面白く、圧倒的な支持を受けているのも確かです。
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『Besiege』は、シミュレーションゲームに分類されます。
中世の西洋をモチーフにした世界で構成される、戦術シミュレーションゲーム。
ゲーム内で主にやることは、「攻城兵器の開発」です。
プレイヤーは、投石機・大型弓・大砲などを開発。それらを使って、敵の城を落とすというのが主な目的。
このゲーム。基本的には、史実を背景にした兵器が登場します。
一方、中世には一般的でなかった内燃機関(エンジン)が登場したり、気球・飛行用プロペラ・キャタピラが存在したり等々、本当の中世とは離れた要素もあります。
ファンタジー作品の色も含まれ、自由度が高い。
そして、この『Besiege』最大の特徴と言えるのが、「物理シミュレーションが、結構リアル」という点です。
普通のゲームだと、「現実世界ではあり得ない」という兵器が登場しまくります。
そこがゲームの面白い所なのですが、荒唐無稽な方向に行ってしまうのは否めない。
『Besiege』の場合、「材料の強度」「構造の耐久性」等の再現がシッカリしていて、「現実世界でも通用する兵器を作らないと、マトモに戦えない」という要素が強い。
どれだけカッコイイ兵器を作っても、材料の強度が弱いと壊れる。構造設計や強度計算が甘いと、動かしている間にバラバラになる。こういう場面が多々あり、プレイヤーを悩ませます。
逆に言えば、そこが醍醐味。本当の機械や兵器を設計・運用している気分になれるので、「各数値MAX!」「俺TUEEEEEEE!」という単純な話では終わらないのです。
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そんな『Besiege』世界でガンタンクを建造し、改良を続けている猛者がいらっしゃいます。
その方の名前は、「新月(にいづき)ひびき」氏。
ガンタンクの開発動画を、ニコニコやYouTubeにアップし続けていらっしゃいます。
www.nicovideo.jp(2021/3/31閲覧)
www.youtube.com(2021/3/31閲覧)
先日、最新動画「第29世代ガンタンク開発報告」がアップされました。
「第29世代」ということは、今まで29回も試作機を作り、その度に性能向上を図ってきたということ。試作機の前段階である「実験機」となれば、その数は更に増える。
ここまで来ると、有名番組『プロジェクトX』と同等のニオイが…。
新月氏の凄いところは、「中世の素材を中心に、ガンタンクを作る」という点だけではありません。
攻撃力だけでなく、耐久性・操作性・生産性…等々にも気を配っていること。ここが素晴らしい。
「相手がゲームとはいえ、ここまで熱を入れられること」そのものが、一種の才能。
実際に地球連邦軍があったならば、技術士官として採用されても不思議ではない。そんな作業をしていらっしゃいます。
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「ガンタンク開発計画」の動画は、10~30分程度のモノが大半。
その内容は、先に述べた通り「リアルな兵器開発」に近い。
かなりのボリューム感があります。
興味を持った方は、ちょっと落ち着いた時に、閲覧してみてくださいませ。
ドタバタしている時に閲覧しても、この動画の味は薄れてしまう。筆者はそう考えます。
見れば見る程、味わい深くなる。かなりの良質動画です。
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