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【東京五輪の話】「最初の発言」だけが、叩かれる要素ではない

ここ最近騒ぎになっている、東京五輪組織委員会の長・森喜朗氏の問題発言。

そして、森氏が「発言の釈明」をするはずが、「逆切れ」という評価を受け炎上した記者会見。

この悪い流れの余波は、「五輪スポンサーへの苦情」や「五輪ボランティアの辞退」という、形のあるダメージにまで及んでしまいました。

結果、森氏は会長を辞任。後任はまだ決まっていません。

mainichi.jp(2021/2/13)

 

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が、ここに来て「森氏を擁護する意見」が目立ち始めました。

 

ツイッターでは、「森喜朗さんありがとう」というタグが登場。

有名人の中にも、森氏を擁護する方がチラホラ。

www.zakzak.co.jp(2021/2/10)

www.tokyo-sports.co.jp(2021/2/11)

www.tokyo-sports.co.jp(2021/2/12)

 

こういう意見にも、ある程度の筋が通っている。筆者はそう考えます。

森氏の発言は、「女性蔑視と理解されてしまうかもしれない発言」であり、「女性蔑視発言だ!」と断言はできない。筆者も、過去記事でそう書きました。

そういう意味では、筆者もほんのちょっとだけ、森氏を擁護しているのかも知れません。

tenamaka26.hatenablog.com

 

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とはいうものの、よくよく考えると…

筆者の中に、森氏を擁護する材料や気概は、やはりない。

 

森氏に向かって「この差別主義者が!」と怒鳴ったりする意図も馬力もありませんが、かといって擁護する気にはならない。

 

その理由は、大きく分けて5つあります。

 

(理由1)主張内容に、曖昧な点があった

森氏が自ら述べています。「私の発言は、女性蔑視の意図を込めたものではない。それは、解釈の問題でそう思えるだけだ」と。

ただ、「解釈の問題」と自ら言っているので、「悪い解釈をされる隙があった」ことは認識しているハズ。

騒がれると分かっているのであれば、言わなければいい。

 

(理由2)釈明会見で失敗している

最初の発言が「差別だ!」と断定できない。これは筆者も認めるところです。

それならば、ちゃんと釈明すればいい。その為の会見もセッティングされました。

が、その会見が本格的な炎上を招いたことは否定できません。擁護論者も、釈明会見の内容に触れている人は少ない。

後処理に失敗したことは明白。ここは叩かれても仕方ない。

 

(理由3)擁護論者は、過去の実績を重視

森氏を擁護する方々は、「ラグビーW杯」「これまでの五輪組織委員会の活動」に言及し、「ここまで実績のある人を、よってたかって何様だ!」という論調で擁護する場合が多い。

ただ、森氏を叩く人が、「ラグビーW杯」等にまで叩く幅を広げているワケではありません。あくまで、「この時期に迂闊な発言をしてしまい、その釈明にも失敗した」という点を問題視しているだけでは?

過去に実績が無ければ、委員会の長になるのは困難。森氏に実績があることは、広く認められる話でしょう。が、それをもって今回の騒動を無かったことにするのはNG。それはそれ、これはこれ。

 

(理由4)問題発言の前科が多い

森氏の舌禍は、今に始まったことではなく、これまでに何度もありました。その度に問題視されたのですが、「今回もまた懲りずに」と受け取られる状況になってしまった。同系統の問題を繰り返すとなれば、叩かれ方も激しくなります。

五輪関係だと、「スタジアム建設に、国がたった2500億円も出せんのか?」とゴネた発言がありました。そのお金は、税金です。自由に使えるお小遣いではない。

news.tv-asahi.co.jp(2015/7/7)

そもそも、「コンパクト五輪」と銘打って招致したハズなのに、蓋を開ければ予算は青天井。そこに上記の発言。これでは納税者の反感を買います。

発言を、悪い方に解釈されてしまう下地があったことは、否定できないでしょう。

 

(理由5)新型コロナ騒動の最中に、五輪をやる是非

最大の理由は、やはりコレですね。

そもそも、今の世界は、スポーツイベントどころではないのです。日常生活にすら困難や障害が出まくっている中で、イベントを楽しむ余裕を持つ人は少ない。

オリンピックには、多額の資金が必要になります。明日の糧に困る人がいる日本で、多額の金が動く五輪を穏やかに見る人がどれだけいるか?

国民の心中では、五輪を祝う余裕がどんどん減っているのです。森氏の騒動は、「不満爆発の単なる引き金」みたいなものです。

 

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五輪は、本来「平和の為のイベント」である筈。

戦争が絶えなかった時代に、「せめてオリンピック期間は停戦しよう」という意図で開催された。それが五輪のあらましでしょう。

 

クーベルタン男爵が始祖となった近代オリンピックでは、ここに精神育成の概念も入ってきます。「平和と博愛を重んじ、成長する人間の具現化」を意識しているのが五輪。

大人も子供も含めて、「成長のお手本」たる人々が集まる場所であり、観戦することが勉強になる。それが五輪のあるべき姿でしょう。

www.joc.or.jp(2021/2/13閲覧)

 

が、実際の五輪は「カネのかかりまくる商業イベント」になっています。

ここまで世界がウイルス騒動でガタガタになっても、スポンサーがついている為に止められない。

あるべき姿から、大きく離れてしまっている。

森氏の騒動には、こういう「商業主義」への反発エネルギーも見え隠れしている感があります。

 

世界平和を重視するなら、今は開催が困難。

開催を強行するのは、お金の為。オリンピック関係者が儲ける為。

こういう点に気付いている人は多い。その怒りが、森氏に向かった面はある。筆者はそう考えます。

 

森氏一人を擁護しても、騒ぎは消えない。

五輪という祭祀の根本を見詰め直さないと、また炎上を繰り返すでしょう。

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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