先日、NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』が、最終回を迎えました。
新型コロナや、沢尻エリカの薬物騒動などでドタバタした作品になってしまいましたが、無事に終わった模様。
関係者の方、お疲れ様でした。
www.nhk.or.jp(202/2/9閲覧)
『麒麟がくる』は、日本史上最も有名なクーデター「本能寺の変」を起こした張本人・明智光秀を主人公に据えた大河ドラマです。
主君である織田信長を殺したということで、何かと悪役にされがちな光秀。その光秀を主人公にするという、面白い切り口のドラマでした。
ラストも、なかなかうまく纏まっていたと考えます。
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この「明智光秀を主人公に据える」という描き方。『麒麟がくる』が初めてやったワケではありません。
数はそれほど多くないにしても、光秀を主人公にした作品はあります。
当記事では、そんな作品のひとつを紹介させて頂きます。
タイトルは、『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実』です。
『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実』(以下『信長を殺した男』と表記)は、2016年から2020年まで雑誌連載されていた漫画作品です。
完結済みであり、コミックスは全8巻。
この漫画作品には、モトネタがあります。
漫画の中でも明記されていますが、原案は『本能寺の変 431年目の真実』という書籍。明智光秀の子孫とされる方が制作された本です。
明智の子孫さんが書いた本ですから、明智サイドを擁護する姿勢をとっています。
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『信長を殺した男』の大筋は、史実を踏襲したものです。
光秀は、最初から織田信長の配下として生きてきたワケではありません。
様々な武将に仕えた後、室町幕府最後の将軍「足利義昭」の家来となり、その縁で織田信長との繋がりを得ます。
その後、光秀の仕事ぶりが認められ、信長の重臣に抜擢。城持ちとなりました。
この辺りの流れは、他の作品と同じ。
が、『信長を殺した男』で描かれる歴史風景の中に、他作品と大きく違う点があります。
それは、「秀吉が、やたら醜悪に描かれる」というもの。
羽柴秀吉(豊臣秀吉)といえば、日本史上屈指の出世キャラ。
「最下層から天下人になった」「人心掌握が上手かった」という描かれ方をされる場合が多く、良いイメージがあります。
しかし、『信長を殺した男』の秀吉は、かなりドス黒いワル。
まぁ、主人公の明智光秀を追いつめるのが、他ならぬ秀吉ですから、悪役的な描かれ方になるのは仕方ない。
従来の歴史作品と、大きく違う点ですね。
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また、『信長を殺した男』は、「本能寺の変には、別の狙いがあった」とする切り口で話を組み立てられており、従来の歴史作品とは大きく違います。
明智光秀が織田信長を討った理由には、諸説あります。
「戦国武将の最大目的”天下取りのチャンス”として、警護が手薄になった織田信長を討った」というものから、「信長からパワハラを受けまくって、遂にキレた」というものまで、実に多種多様。
未だに結論が出ていない、日本史の謎です。
『信長を殺した男』が採用した説は、従来の説にはあまり見られなかったものです。
その内容を書くと、激しいネタバレになってしまう為、ここで詳細には触れません。興味のある方は、ぜひ自分の目で作品を読み、確かめてください。
ほんのちょっとヒントを書くと、「狙われたのは、織田信長ではなかった」。
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最後に余談を。
先述の通り、『信長を殺した男』は完結済み。コミックスは、全8巻です。
が、『信長を殺した男』は”主人公を変えた続編”が開始され、シリーズ化されています。続編のタイトルは、『信長を殺した男~日輪のデマルカシオン』。
『信長を殺した男~日輪のデマルカシオン』の主人公は、秀吉です。
そのイメージは、『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実』から続く、ダークなもの。悪役としての秀吉を描く作品ですね。
こちらの作品も、非常に期待が持てます。どんな異説が出て来るのか?
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