1995年1月17日。
午前5時46分。
明石海峡を震源とする、巨大地震が発生。いわゆる「阪神・淡路大震災」です。
この地震は、神戸を中心にした京阪神の都市部に、深刻な被害をもたらしました。
潰れた家。あちこちで起こる火災。根元からボッキリと折れた高速道路。
この手の被害映像や写真を見ると、今でも胸に来るものがあります。
筆者は関西人です。大震災発生時には、この世に生まれていました。
当時はまだガキンチョで、物事の分別がついていなかった。居住地域は、神戸から離れた所にあった。また、震災当日には偶然遠くへ行っていた。
その為、発生直後の直接的被害を受けず、トラウマも残らずに済みました。
しかし、被害を受けた知り合いは、多数いました。
遠い国の出来事ではなく、かなり近い地域での大事件。他人事ではありませんでした。
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あれからもう26年。
今年も、追悼の日が来ました。
www.kobe-np.co.jp(2021/1/17)
6434人が亡くなり、3人が行方不明となった阪神・淡路大震災は17日、発生から26年を迎えた。追悼行事が催される神戸・三宮の東遊園地では、発生時刻の午前5時46分を前に、並べられた灯籠一つ一つに火がともり、慰霊と鎮魂の1日が始まろうとしている。
兵庫県などのまとめによると、阪神・淡路大震災の重軽傷者は4万3792人。観測史上初の震度7を記録し、住宅被害は全壊・半壊が計約25万棟、一部損壊が約39万棟に上り経済被害は約9兆6千億円に達した。
(https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202101/0014011509.shtmlより)
26年も経てば、「震災後に生まれた方」が増え、「震災を肌身で感じた方」は減ります。仕方ありませんが、至極当然のこと。
ただ、今でも慰霊碑の前で泣き崩れる遺族の方がいらっしゃいます。その姿を見ると、こっちも貰い泣き。震災後に生まれた若い方の中にも、筆者と同じく貰い泣きする方がいらっしゃいます。
震災で身内を亡くされた方にとっては、26年経過しても変わらないものがあります。
何もしていないのに、いきなり命を奪われる。人生は理不尽であり、自然災害は情け容赦も忖度もありません。それ故、やりきれない。
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そんな状況でも、私たちに出来ることはあります。
その最たるものは、「過去の教訓が活かされているか、比較検証する」ということ。
災害発生から時間が経過し、阪神淡路大震災に関する目新しい話は少なくなりました。
しかし、「1995年の教訓を、2021年にはどうやって活かしているのか?」については、まだまだ話のネタが沢山あります。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
人間は、時間と共に重要なことを忘れてしまう生き物です。
辛い感情や後悔は、忘れた方がいい。しかし、過去の事件から得た教訓は、忘れてはいけない。同じ過ちを繰り返さない為、当時の状況を分析して、今に反映させる作業が必要です。
大地震は、これから先も必ず起こります。よく言われているのは「南海トラフ地震」の話ですが、それ以外の地震も起こらない筈がない。
「次に起こる大地震を、どうやって乗り越えるか?」
そのカギは、過去の事例の中に隠されているのです。風化させてはいけない。貴重な情報として分析し、後世に残さねばなりません。
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特に、今年は「新型コロナウイルス騒動」が加わった状況です。
昨年に比べて、追悼行事の規模が小さくなっています。これもまた、仕方のないこと。
ただ、「この状況下でこそ考えるべきテーマ」があります。それは、
「大災害と疫病が重なった時、どうやって困難を乗り越えるか?」
というもの。
大災害と疫病の蔓延は、重なって起こらないとは言えない。
今の日本は、「疫病の蔓延だけで済んでいる」という部分があります。しかし、この状況下で、阪神淡路大震災クラスの災害が起こらないと言えるか?
そんなことは、誰にも言えません。人間が病気で困っているからといって、地球は手加減してくれません。
海外に目を向ければ、コロナ禍での大地震に見舞われた地域は多い。地震災害と疫病のダブル災害は、発生するのです。
www.bloomberg.co.jp(2020/6/24)
weathernews.jp(2020/10/30)
www.jiji.com(2021/1/15)
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新型コロナウイルス騒動で、大変な想いをされている方は多い。
まだ騒動は沈静化していない為、どこまで被害が拡大するか…分かりません。
ただ、こういう状況であるからこそ、真剣に「災害と疫病が同時に来た場合」を想定した議論も可能です。
疫病騒ぎが無かった2019年に、「伝染病蔓延と大地震が同時に起った場合を考えよう」と呼びかけていたとしても、恐らくは真剣に考えてくれる方が少なかったでしょう。想像できなかったでしょうし。
2021年は、違います。
「伝染病と大地震が同時に起った場合」を、かなりリアルに考えることが可能。
何せ、目の前に”伝染病が蔓延した世界”が存在しているのですから。
真剣に考えるチャンスは、そうそう多くありません。
人間は、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という動物なのです。
考えが及ぶ時に、出来得る限りの考えを巡らせましょう。後に、大きな財産となる筈です。
--------------(記事了)--------------
『子どもたちに伝えたいこと~阪神・淡路大震災の被災経験から』
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