本日のテーマは、コレ。
「今に始まったことではないが、日本の政治家の演説を聞いても、心に響かない。それは何故か?」
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新型コロナウイルス騒動が本格化して、早くも1年が経過しました。
この間、世界中の政治家が、自国民に向かって語り掛けました。
ある時は、実施予定の政策について、国家のトップである大統領や首相が説明。
ある時は、国民に「不自由な思いをさせてしまうが、感染症対策の為に協力してください」として、担当部署の大臣や長官が無理をお願いする。
ある時は、記者会見型式で質疑応答を行う。
テレビや新聞では、演説の至極一部しか報じられません。
が、ネットでは完全生中継と見返しが可能。
その機能を使い、熱心に演説を聞く方がいらっしゃいます。
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筆者も、「演説を熱心に聞く」部類の人間です。
当ブログでは、時事ネタを扱った記事をよく掲載させて貰っていますが、誤報・フェイク・切り取りの類を書かない様に気を付けています。
その為に、可能な限りネタ元を探し、閲覧します。
そう考えた時に重宝するのが、演説や記者会見のフル動画。一般人が触れ得るニュースソースとして、純度が最も高い。前後の文脈が理解できるので、かなり有用です。
で、最近の演説や記者会見を見ると、以前にも増して、心に響かない。
それは何故か?
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昔から「永田町語」と揶揄されていますが…
政治家や役人の言葉遣いは、とにかく回りくどい。最初から逃げ道をいっぱい残していて、演説も「ちゃんと喋りましたよ」と言い訳するアリバイ作りの臭いがキツイ。
何かをする為の説明というよりは、責任回避の材料にしか思えない為、ツッコミ所が多いのです。
www.daily.co.jp(2020/12/26)
コロナ禍が始まってからも、その姿勢は変わらない。
いや、前より酷くなっている部分も多いでしょう。
その最たるものが、「他人事感が剥き出し」という点。
www.huffingtonpost.jp(2020/4/8)
president.jp(2021/1/9)
”自分が、行政の重職を担っている”という想い。
これがあるんだか無いんだか、聞いている側(一般有権者)に伝わって来ない。
「失敗したら、私が責任を取ればいいというものではない」
「○○だと思います」
これでは、当事者意識に甚だしく欠けていると見られて当然です。
先ずは、自分事とシッカリ認識して貰う。
その上で、「自分が問題の当事者であり、問題解決に大きな影響力を持つ者である」と覚悟して貰う。
演説をブチかますのは、その後です。
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この手の「演説」をひもとくと、お手本としたい様々な名演説が見つかりますが…
今の状況にピッタリの演説と言えば、映画『インデペンデンス・デイ』で行われた演説が脳裏に浮かびます。
『インデペンデンス・デイ』は、フィクション作品です。
しかし、劇中の状況は、今の世界と似ています。
『インデペンデンス・デイ』では、世界中の人間がエイリアンから無差別攻撃を受けて、絶体絶命の危機に瀕しています。
エイリアンの目的は、地球資源の略奪。資源が無くなれば、また次の星を探して無差別攻撃をする…という習性を持つ為、話し合いは不可能。
今のリアル世界は、「新型コロナウイルスによる侵略」を受けていると解釈可能。
ウイルスの目的は、自己増殖。相手は”人間であれば誰でもよい”為、無差別攻撃を仕掛けているのと同じ。
言わずもがな、話し合いは不可能。
エイリアンとウイルスの違いはありますが、映画も現実も似た状況です。
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『インデペンデンス・デイ』では、この状況を打開する為、大反抗作戦を計画。エイリアンの宇宙船に対し、世界中で一斉攻撃を開始します。
その出撃直前、アメリカ大統領が兵士に向かって放った演説があります。これが兵士の闘争心と使命感を掻き立て、皆の心を一つにするのです。
映画を見ていた観客まで「自分も戦う!」と言ってしまう。それほど強烈で良質な演説。
以下に、その日本語訳を載せます。モトネタは英語で、訳は筆者によるものです。
おはよう。
今から一時間後、諸君らは世界中のパイロットと共に、人類史上最大規模の空中戦を始めることになる。
「人類」
今、私は「人類」と言ったが、この言葉は今日から新しい意味を持つ。
些細な違いなど、もうどうでもいいのだ。
我々は、共通の目的の為に団結する。
奇しくも、今日は7月4日(※アメリカ独立記念日)。これも何かの運命だ。我々は再び、自由のために戦う。
圧政や弾圧から逃れるためではなく、生き残る為に。
人類が、この地球で生きる権利を守る為に…だ。
今日の戦いに勝利すれば、7月4日は単なるアメリカの祝日ではなく、人類が確固たる決意を示した日として記憶されるだろう。
我々は、黙って消えはしない!
我々は、戦わずして滅びはしない!我々は生きる!
我々は生き残る!
今日こそが、我々人類の、独立記念日なのだ!
『インデペンデンス・デイ』は、いわゆる「アメリカ万歳映画」ですので、そこは差し引いて考える必要があります。
が、それでも心に響くものがある。戦う者を鼓舞するパワーがある。
その最たるものは、演説をしている大統領が「自分も戦いの輪の中にいる」とのメッセージを強く語っていることです。
「自分は大統領で、お前らは兵士。頑張って戦うのは、お前らの役目」ではない。
「共に戦おう。私もその中の一人に過ぎない」と伝える。
これは、問題を自分のこととして捉えている場合にのみ、出て来る言葉です。
今の日本の政治家には、この精神を持つ者が少ない。筆者はそう考えます。
何せ、「大人数での宴会は、感染が広がり易い。宴会やるなよ」と国民に向けて発表した後に、自分達は宴会やっていた。それがバレたら「何が悪い」と開き直る。そんな人ばかりですから…ねぇ。
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『インデペンデンス・デイ』は、フィクション作品です。
ただ、その根底にあるものは、今の日本に欠けているものです。
口ではそれっぽいことを言っても、行動が伴っていない。
本気で「自分の問題」として考えていないので、薄っぺらい言葉しか出て来ない。
聞いている側にも、それは分かる。舐められているとしか思わない為、聞く耳を持たなくなっていく。
二度目の緊急事態宣言が出ていますが、協力してくれる人が以前より減っています。
政治家の行動や演説に、もっと芯が通っていれば…以前にも増して協力してくれる人が増えたかもしれない。
こう申しても、政治屋さんには伝わらないのでしょう。選挙で落ちない限りは。
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