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【ニュース・記事の話】「コタツ記事」とは「コタツから動かずに書ける記事」という意味ではない

昨年末、とある新聞社のネットニュースを目にしました。

それは、朝日新聞が報じた「コタツ記事批判」です。

www.asahi.com (2020/12/19)

著名人のソーシャルメディアなどでの発言を引用し、ネットで報じたスポーツ新聞社が謝罪や訂正をする事態が相次いでいる。

発言内容の検証なしに量産されるこうした記事は「こたつ記事」とも呼ばれ、配信するメディアの姿勢が問われている。(池上桃子、赤田康和)

 

中日新聞社が発行する中日スポーツのウェブサイトに5月19日、謝罪記事が掲載された。

「ツイートをそのまま記事にして知事の名誉を傷つけました。大村知事と関係者に深くお詫(わ)びします」

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止策などをめぐり、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が今春、愛知県の大村秀章知事をツイッターで激しく批判した。

中日スポーツは高須氏の投稿を引用し、約10本の記事を配信。「強烈ダメ出し!!」「終わりなき集中砲火!!」といった見出しもつけた。

 

中日スポーツ総局の弓削雅人編集委員(デジタル担当)によると、一連の記事はいずれも同総局の記者が書いた。

攻撃的な言葉をそのまま引用したことや、大村知事側の反論を載せていないことを疑問視する声が局内から上がり、記事を削除して謝罪したという。

https://www.asahi.com/articles/ASNDL76N5NDBUTIL056.htmlより。改行は筆者によるもの)

 

上記の朝日新聞記事を始め、多くの場面で定義されている「コタツ記事」とは、

◆「ツイッターなどでの著名人の発言」や、「テレビのワイドショーや情報番組での論客やタレントらの発言」をネタにした記事。

かつ

◆ネタに対して批評や検証を加えず、そのまま紹介する記事。

のこと。

 

一般ユーザーでも手軽に触れることが可能なネタを、ただ書き写しただけの垂れ流し記事。

分析や確認の手間を省いて、「家のコタツに足を突っ込んで座ったまま書ける」という記事。

これをして、「コタツ記事」と呼称しています。

 

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ここで注意したいのは、「自ら取材に行かず、他メディアからの情報を使って書いた記事」が、即ち「コタツ記事」というワケではない…ということ。

コタツ記事は、「真偽を確かめず、自分の頭で考えず、他メディアの情報を垂れ流すだけ」という点が最大の特徴です。

要は、「単なるコピペか否か」ということ。コタツ記事は、その多くが「他メディアのコピペ記事」「パクリ記事」です。

 

他メディアの記事を引用しても、内容に対する論理的分析や独自解釈を挟めば、それは立派な独自記事です。コピペでも何でもない。恥じることはありません。

コタツ記事には、それが無い。

 

個人ブログ程度であれば、そういうコタツ記事の存在が散見されても、苦笑いで済むのかも知れません。

運が良ければ。

引用ルールを守らないコピペは、下手すれば犯罪。著作権法には、刑事罰規定が存在します。法律は守らないとNG。

 

「いち個人のブログ」や「SNS上の発言」でも、著作権法に縛られる厳しい面があります。

それが、「新聞記者」「報道機関」「出版社」等々のプロとなれば、道義的・社会的責任も追及される為、数十倍~数百倍は厳しいハズ。

言論の世界に生きる人が、他人の言論をルール無用で垂れ流すのは、絶対駄目です。例えそれが、スポーツ新聞やゴシップ誌記者だとしても。

 

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そもそも、なぜコタツ記事が生まれるのか?

理由は簡単です。「安価で記事を量産できるから」。結局は、コストの問題。

どうやって手間を省くか? そればかり考える者は、コタツ記事を量産します。

 

今回は、中日スポーツの記者がやらかしました。

が、ネットの悪質トレンドブログは同等以上に酷い。偶にデタラメ書いた執筆者が特定され、裁判の場に引きずり出されていますからね。

www.j-cast.com(2020/5/19)

 

デタラメを書かず、他者の記事を引用し「○○だということです」という体で紹介してもいいのですが、そこで止まっては駄目でしょう。

特にプロは。

 

「なぜそう言えるのか?」「なぜ引用したのか?」等々の理由を、執筆者本人の言葉で説明しなければならない。

そこが、コタツ記事かどうかの分かれ目です。

問題となるのは、中身の正確性と論理展開。

 

現地へ取材に行ったはいいが、「中身スッカラカンどころか、嘘記事でした」となれば本末転倒です。

嘘記事を書くくらいなら、取材に行かず・他記事の内容を分析した方がいい。

プロの記者は、「現地に行って情報を仕入れてくる」という仕事と、「仕入れた情報を吟味して、論理的な記事を書く」という仕事の両方をやらねばならない。

 

それが不可能であれば、批判されます。プロの仕事ではありませんからね。

 

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最後に。

 

今回は、「コタツ記事の定義」「なぜコタツ記事は駄目なのか?」「一般人に比べて、プロ記者が非難され易い理由は何か?」という話を掘り下げました。

その切っ掛けは、冒頭に紹介した朝日新聞記事です。

 

ただ、残念なことに…

「この批判記事を書いた朝日新聞が、過去に大失態をやらかしている」

という点が、どうやっても消えないし、正当化されない。そこが懸念材料。

 

慰安婦報道しかり、東電報道しかり。

他のプロ記者や報道機関から、「この朝日記事はおかしい」との批判を受けたが、長年修正なし。

しかし、最終的には謝罪という流れになりました。2014年の話です。覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

(2014年9月12日付 朝日新聞社からの謝罪文http://www.asahi.com/shimbun/20140912.pdf)

www.sankei.com(2019/6/26)

www.asahi.com(2020/11/20)

 

「駄目なものは駄目」

ハッキリした理由をつけて、こう主張できるのは素晴らしい。朝日新聞のコタツ記事批判も、筋は通っています。

ただ、自分達も同系統のことをやっていたとなれば、説得力が激減。「お前が言うな」で読者の思考が停止し易くなる為、報道機関としての価値が下がります。

 

報道といっても、人間のやること。間違いが起きても、不思議ではない。

ただ、間違いがあると早めに気付き、訂正・謝罪しなければ、いつまでも説得力を欠く材料に使われてしまいます。

 

正しいことを言っても、過去の行いから正しいと認められない。これは避けたい状況です。

筆者も、モノカキの端くれ。肝に銘じたいところ。

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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~~~~~~余談~~~~~~

なお、当記事冒頭で引用した、「高須克弥院長vs愛知県の大村秀章知事」の話ですが…。

この話は、現時点で意外な方向に展開しています。

長くなるので、当記事では触れませんでしたが、なかなか興味深い。別の機会に紹介する予定です。