先日、「最近見た映画」に関する記事を書かせて頂きました。
取り上げた作品は、1998年の映画『ディープ・インパクト』と『アルマゲドン』です。
上記記事の内容は、「なぜ同時期に、似た映画が2本製作されたのか?」について、背景を探るものになっています。
結論は、「パクリではない。そもそも、パクる意味が無い」「時代背景が、同じ路線の映画を生んだ」というもの。
詳しくは、上記リンク先をご覧くださいませ。
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で、ここからが当記事の本題。
『ディープ・インパクト』と『アルマゲドン』は、パクリ&パクられの関係ではありません。
しかし、『アルマゲドン』をパクった…と言われても仕方ない作品は、他に沢山あります。
いや、パクったというよりも、「元ネタの知名度に、便乗する気まんまん」と受け取られて当然。そんな作品がワンサカあります。
筆者の知る範囲だけでも、以下の様なものがズラリ。
筆者は、上記映画を全て見たワケではありません。その為、断言はしかねますが…
◆元ネタと思しき、1998年版『アルマゲドン』と、直接的関係のある作品が見当たらない。
◆似ているのは題名だけ。
◆隕石も落ちてきたり・こなかったり…作品によってマチマチ。
清々しいまでに、「アルマゲドンの人気に便乗してやるわ!」という気概が伝わってきます。
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ただ…
この手の映画が”パクリ”とか”便乗”とか言われるのは、「製作者のせい」とばかりも言えません。その理由は2つ。
(理由1)
「アルマゲドン」という言葉が、そもそも一般名詞化されているものです。
「ハルマゲドン」「アーマゲドン」とも表記されます。
この言葉。元はキリスト教の聖書(新約聖書)の一節「ヨハネ黙示録」に記述されているもので、「最終決戦の地」を意味するもの。
そこから転じて、「自らの存亡をかけた最終決戦」という意味合いで使われることが多い言葉です。
これは、隕石衝突映画に限ったものではありません。
例えば、プロレス団体「WWE」のイベント名に「アルマゲドン」というものがあります。
また、1983年に公開された有名アニメ『幻魔大戦』の副題も「ハルマゲドン」です。
作品の内容は、「超能力者が地球を守る為に、強大な敵との最終決戦に挑む」というもの。
この様な使われ方は多く、1998年の『アルマゲドン』だけが特別でオリジナルというものではないのです。
(理由2)
「アルマゲドン便乗映画」的な扱いを受けている作品は、最初から「アルマゲドン」という文言を題名に入れていたとは限らない。全然別の場合もあるのです。
例えば、先に挙げた『アルマゲドン2007』。
これの原題は『EARTHSTORM』。直訳すると「地球嵐」で、「アルマゲドン」と名乗ってはいない。
じゃあ、なぜ『アルマゲドン2007』という題名なのか?
これは、日本版を制作するに当たって、邦題を付けた人が「アルマゲドンって名乗ればウケるのでは?」と考えた為。要は、日本語版製作スタッフのせいなのです。
似た様な事例は、「アルマゲドン」限らず、他にも多数あり。
紛らわしい・パクリ作品ぽいのは、製作者や原作者だけの責任ではないのです。
まぁ、似た様な映画が作られるのは、「元ネタとなった作品が大人気である」ということの裏返し。人気者は辛い…といった感じですね。
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なお、この手の便乗映画には、意外にファンが多いのです。筆者の周囲にも、結構いらっしゃいます。
そういった方の話を聞いてみると、かなりの高確率で以下の言葉が出て来ました。
「タイトルと中身のギャップが大きければ、苦笑いの度合いも増す。そこが楽しい」
「どこまでガッカリさせてくれるのか?…を期待してしまい、つい見てしまう」
そういった見方をすれば、大作には無い楽しみ方が可能になる。意外な発見でした。
「物は考えよう」というのは、正にこのこと。
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(なお、本記事の画像は、全てAmazonさんより提供頂きました。ありがとうございます)