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【SF映画の話】フィクション作品として楽しみ、ドキュメンタリーとしても楽しむ

今年も残すところ2ヶ月と少し。

2021年は、すぐそこまで来ています。

 

そんなことを考えている時、2021年を舞台にした、1995年公開の映画を思い出しました。

今から25年前の1995年から見た2021年。当時の制作陣が、どういう未来を思い描いていたのか? 興味を惹かれる話です。

 

その映画のタイトルは、『JM』です。当記事では、この映画をご紹介します。

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 上記が、『JM』のパッケージ画像です。多くの方に認知されている有名人が、二人写っていますね。

 

一人は、この作品の主演である、若き日の「キアヌ・リーブス」。

もう一人は、日本お笑い界の重鎮であり、有名映画監督でもある「北野武」氏。北野氏は、悪役です。

 

この両者が、25年前に共演していた。まずここに驚きます。

 

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『JM』の冒頭をザックリ説明すると、以下の様なものになります。

 

 

▼舞台は、2021年の地球。インターネットが発達し、世界中が繋がる発展した社会がそこにあった。

▼しかし、2010年頃から「神経衰弱症候群(NAS)」という病気が世界中に蔓延。ネットの発展とは真逆の混乱状態が、世界各地に広がってもいる。

▼この混乱は、深刻な格差を生んでいた。豊かな者は安全な地域で優雅な生活を送り、貧しい者は瓦礫の中で息を潜める。発展とは裏腹の暗黒社会も、確かに存在していた。

 

▼主人公のジョニー(演:キアヌ・リーブス)は、「記憶屋」と呼ばれる裏の仕事をやっていた。

▼彼の脳には、デジタルデータを記録できる装置が埋め込まれている。この装置に「ネットワークでヤリトリするのは危険な情報」をコピーし、目的地まで足を運び、現地でデータを渡すのが「記憶屋」ジョニーの仕事である。

▼言い換えれば、ジョニーは「生きているメモリーカード」なのだ。

 

▼そんなジョニーに、記憶屋の仕事が舞い込んだ。依頼主は、中国の人間。

▼ジョニーが北京に飛び、いつもの様に仕事を始めようとする。と、ここで予想外の事態に直面する。

▼記憶屋が一度に運べる情報には、上限がある。この上限を超えた大容量のデータを入力できないこともない。しかし、容量オーバーの状態では、記憶屋の脳神経に過度の負担がかかり、命が危なくなるのだ。助かる為には、早々にデータを抜き取る必要がある。

 

▼依頼主がジョニーに示した情報量は、ジョニーの持つ記憶容量の倍。依頼内容にはそんな話は無かった。驚くジョニー。

▼しかし、裏稼業であるジョニーに断る術はない。また、素早く情報の届け先に出向き、データを相手に渡せば助かる見込みはある。危ない橋を渡らねばならないが、やるしかない。

▼ジョニーは、脳に埋め込まれた装置にデータをコピーした。許容量オーバーの副作用に苦しむジョニーであったが、何とかやれそうだ。ジョニーは、依頼主の示した届け先「ニューアーク」に向かおうとする。

(「ニューアーク」は、自由の女神で御馴染み「ニューヨーク」のすぐ近くにある町)

 

▼しかし、ジョニーがコピーした情報は、ヤクザに狙われる危険な代物であった。勿論、ジョニーはそんな話を知って依頼をうけたワケではない。が、もうデータを入力した後であり、届け先でデータを抜き取る以外に助かる道は無い。

▼ヤクザの刺客に追われながら、ジョニーは何とか届け先に辿り着こうとする。が、その道中で裏切りや不意打ちを喰らい続け、情報量オーバーによる副作用がどんどん強くなり、仕事の遂行が困難になる一方。

▼その過程で、ジョニーが運んでいる情報は、地球規模での影響をもたらす超極秘事項であることが判明し…。

 

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『JM』は、サイバーパンクのハードボイルドもの。

主演のキアヌ・リーブス氏は、この作品の4年後に『マトリックス』で主演を張り、SF映画界の大御所になる方。サイバーパンクSFとの相性が良い。

また、悪役(ヤクザ)を演じているのが、北野武氏。自らもバイオレンス映画を多数手がけており、ハマり役です。

そういう視点で鑑賞するのも、なかなか興味深い。

 

ただ、筆者は別の角度から『JM』を楽しんでしまいます。

その別角度とは、「1995年当時に考えられていた、2021年のデジタル環境はコレか…」という視点。

近未来を舞台にしたSF作品にはよくあることですが、ところどころ現実とズレているのです。

 

これは、別に「揚げ足取りをして馬鹿にしてやろう」という意図ではなく、「人間の想像を超える状況を感じて、驚き・ゾクゾクしたい」という趣旨によるもの。

「SFを現実が超えた!」という実感は、それ自体がエンタメ要素満載の話だと考えます。そういう実感を楽しむのは、大いにアリ。

 

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そういう視点で『JM』を見れば、まず気になるのは「ジョニーの記憶容量」です。

ジョニーの記憶上限は、初期値で80GB(はちじゅうギガバイト)。冒頭で二倍に増設しますが、それでも160GB。現実の2020年から見れば、「少なっ!」と言ってしまう方、多いでしょう。

 

が、当時は「Windows95」の時代であり、GBの1000分の1であるMB(メガバイト)単位のデータ容量が普通。GB単位のハードディスクは、現在よりもレア度が高かった。

何せ、主要記憶媒体で「3.5インチのフロッピーディスク(FD)」が現役ド真ん中でした。その容量は、ディスク1枚につき「1.44MB」です。スマホ画像ひとつ入るかどうか怪しい。

そんな時代背景で「160GB」といえば、もう驚天動地の容量です。1995年では、近未来を表現するのに十分な数字。

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(上画像:3.5インチのフロッピーディスク)

 

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また、劇中では「ジョニーの記憶容量の倍・320GBの情報を入力してしまい、副作用に苦しむ」という描写があります。

この元データを収めているのが、「8センチ程度の小型光ディスク」である点も興味深い。

 

現在の光ディスクメディアといえば、「ブルーレイ(Blu-ray)」があります。

が、その容量は「安いもので、1枚につき25GB」というのが多い。一番高価なものでも、1枚につき最大128GB。

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ブルーレイは、12センチのCDと同じサイズ。これで最大128GB。

他方、『JM』に登場する光ディスクは、小型の8センチであるのに、少なくとも320GBの情報が入る。

ディスク媒体に関しては、『JM』の域に現実が追い付いていない模様です。

 

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上記の様な点に注目して鑑賞すれば、「フィクション作品」という楽しみ方の他に、「当時の人の思考を追うドキュメンタリー」という楽しみ方も可能。

現実と映画のギャップに注目して、「世界は、人間の想像を超えた」という実感を持つ。これが楽しく、驚きに満ち、ワクワクさせてくれます。

 

『JM』は、25年前の作品。若干古い映画作品ですが、見方を変えれば興味深さが倍増する作品でもあります。

この視点は、他映画にも応用可能。

 

「古い」の一言で済ませるのではなく、こういう「他視点からの楽しみ方」を模索するのも、趣深いものです。

 

 

-----------------(記事了)-----------------

 

 

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