先日、以下のニュースが流れていました。
主題は、「菅内閣の支持率」について。
news.tbs.co.jp(2020/10/5)
最新のJNNの世論調査で、先月発足した菅内閣の支持率が7割に達したことがわかりました。
一方、菅総理が日本学術会議の会員候補の学者6人の任命を見送ったことについては、51%の人が「妥当ではない」と答えています。
菅内閣を支持できるという人は、先月の調査結果より8.3ポイント上昇し、70.7%でした。
一方、支持できないという人は12.0ポイント減って24.2%でした。
調査方法が違うので単純に比較はできませんが、政権発足時の支持率としては1994年以降で4番目の高さです。
(https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4094243.htmlより。改行は筆者によるもの)
現時点における、菅内閣の支持率。70%超え。かなり高い数字ですね。
しかし、このニュースに対して、ひとこと申し上げたい。
元も子もない発言になりますが、それでも申し上げたい。
「仕事の成果がまだ出ていない段階なのに、どんな根拠で支持表明できるのか?」
「支持者の考えが分からないし、支持率を報道するマスコミの思惑も分からない」
現段階では、「支持・不支持の判断材料に乏しい」という意見が圧倒的多数のはず。なぜなら、仕事を始めたばかりで・何も成果らしいものが出ておらず・良し悪しの判断が不可能な為です。
今の段階で示せるのは、支持率ではなく期待値。言葉の指し示す意味が違います。
今に始まったことではありませんが、「情報や文章が商品」のマスコミにしては、言葉の扱いが雑。
こういう報道は、読者・視聴者の認識を混乱させ、誤解を与えかねないもの。ちゃんと考えて欲しいところです。
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で、世論調査といえば、この話が記憶に新しい。
覚えていらっしゃる読者様も多いでしょう。
2020年の夏、フジ産経グループが「インチキ世論調査の結果」を流したことがバレてしまい、大炎上を招いた話。
toyokeizai.net(2020/6/21)
フジテレビ系列のFNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞社が実施した合同世論調査で、委託先の社員が14回にわたり、電話をかけずに架空の回答を入力していたことが明らかになった。
世論調査の信頼性を著しく損なってしまうのみならず、報道機関への信頼も損ないかねない衝撃的なニュースであり、驚かれた方々も多いだろう。
(https://toyokeizai.net/articles/-/358011)
この話は、フジ産経側が「インチキやれ」と言ってやらせた…ワケではありません。
フジ産経側がやったのは、調査を外部に丸投げしたこと。そして、下請け会社がインチキ調査をやったのに、出てきた結果を鵜呑みにして報道したこと。
捏造に積極関与したワケではなさそうですが、ちゃんとした分析をせずに嘘情報をタレ流したのは、報道機関として致命傷です。
そして、業界に与えた悪影響も大きい。
「世論調査って、インチキやんけ」という話が、現実のものになったワケです。疑いの目が、あちこちに向けられる。
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他方、このインチキはフジ産経だけのものだ…とも言いづらい。「氷山の一角」と思われて当然です。
なぜなら、同業他社でも「やらせ報道」がしばしば発生しており、元から信頼度は高くない為です。
読者・視聴者は、マスコミ不祥事をただ”忘れている”だけで、機会があれば思い出すのです。「時間が経てば忘れられる」というのは、そろそろ終わりにしないといけない。
現在のマスコミ苦境は、その不信の積み重ねによるものです。収入減が顕著であるのも、不信が招いた結果。
そんな状況のマスコミから、「発足したばかりの内閣は、こんなに支持率が高いですよ!」と言われても、どこまで正確なのか疑問です。
情報の信頼度&価値が低い。
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そもそも、我々一般人が世論調査の結果を見たところで、何も出来ることは無い。
世論調査の結果を必要とするのは、主に「選ばれる側」です。内閣支持率でいえば、国会議員や与党が気にするもの。ただそれだけ。
一般有権者は、自分の考えで支持・不支持を決め、投票時には自分の価値観のみで投票すればいいのです。
「他の人がどう思うか」を気にする必要は無い。いや、気にしてはいけない。
有権者が、自分の頭や価値観で判断し、それらが積み重なって生まれるのが「国民主権」というヤツです。他人に流されていては、主権を持ったとは言えない。
世論調査や統計は、「自分の意見を見直す切っ掛け」にはなり得ます。
しかし、どこにインチキが隠れているか分からないので、油断は禁物。鵜呑みはNG。
最終的には、自分の頭で考え、「なぜそう思うのか」を説明できる様にする。それが大事です。
--------------(記事了)--------------