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【害獣駆除 & 警察の話】不始末が返ってきた模様(後編)

前回記事の続きです。

テーマは、「熊駆除に消極的な猟師と、その理由」。

tenamaka26.hatenablog.com

 

日本最大級の野生生物「熊」。

基本的には臆病な動物であり、人が近づけば「襲う前に逃げる」という行動をとりがちな動物です。人里に侵入することは少ない。

しかし、何かの拍子で食べ物が不足したり、人間の畑を見つけたり、人の出したゴミをエサと認識した場合には、話が違ってきます。

熊は賢くて執着心が強い。熊が「ここにあるものは、自分の食べ物」「この近辺は、自分の餌場」と思い込んだら、途端に危険度がアップ。人が襲われる可能性も高くなります。

 

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危険度が増せば、人への被害が出る前に「捕獲」「殺処分」という選択を迫られることもアリ。

脅かして追い払う…という方法がベストなのかも知れませんが、相手は日本最大にして最強の野生生物。自分の獲物に対する執着心も強い。

そんな相手を前にして中途半端な対応をすれば、人間の側に犠牲が出る恐れもあります。駆除する方も命がけなのです。

 

なぜ命がけで駆除するのか?

それは、人間を守る為。見て見ぬふりをせずに立ち向かうのは、住民の安全確保の為です。好き好んで駆除しているワケじゃありません。

 

実際に駆除作業を行うのは、警察ではなく猟師(ハンター)の方々です。

警察は、近隣住民の安全確保や警告の為、熊出現の報が入れば出動します。が、警察の持っている武器は「対人制圧用」であり、殺傷能力は低い。相手が熊なら尚更です。「拳銃程度では、足止めにもならん」と仰る方もいます。

熊を仕留めるには、強力な銃を持った猟師さんの活躍が必須。

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ただ、今はちょっとおかしなことになっています。熊の駆除作業に、奇妙な問題が生じているのです。

その内容は、
「猟師さんが、
役所や警察からお願いされ、

共に現場へ行き、
人への被害を避けたうえで熊を駆除したら、
なぜか猟銃を取り上げられた」
という意味不明なもの。

 

お願いされて駆除したのに、後になって「危ないことしたから、銃を取り上げる」と言われた。何とも意味不明で理不尽な話です。

猟師さんにとって、熊駆除はボランティアみたいなもの。ボロ儲けできる仕事ではなく、しかも命がけ。熊も必死ですから、下手すると猟師が返り討ちに遭うかもしれない。

そんな状況下で駆除作業をやったのに、御礼どころか猟銃没収。その場に警官もいて、確認をとりながら駆除したのに没収。

これでは、誰も熊駆除をやりません。

 

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この奇妙な話。

筆者もリアルタイムで見ていました。

 

そして今年。この奇妙な話が起こった砂川市で、市街地や養鶏場などに熊が出没しているのです。

www.bengo4.com(2020/8/19)

暗闇に光る2つの瞳ーー。

今年7月、北海道中部の養鶏場にある監視カメラが大きなヒグマの姿を捉えた。

夜な夜な倉庫を訪れては、鶏の飼料を食い荒らしていたようだ。

 

同エリアでは今年、ヒグマの出没があいついでいる。

地元には「相当ヤバい」との危機感があるが、打つ手が限られており、頭を抱えている。

というのも、駆除にあたっていたハンターが公安委員会に不可解な形で銃を取り上げられ、だれも撃てなくなっているからだ。

 

ハンターは現在、銃を取り戻すべく、裁判で争っている

●「ハンターが犯罪者にされるんだったら、誰も撃たない」


処分のきっかけとなったのは、一昨年8月に起きた出来事。

砂川市内の住宅近くにヒグマが出たとの通報を受け、市担当課の職員と道警砂川警察署(のち滝川署に統合)の警察官立ち会いのもとでクマを射殺した結果、鳥獣法違反などに問われることになったという。

 

行政・警察に協力して地域の安全を守ったハンターが犯罪の容疑者となったことで、猟友会砂川支部の主要メンバーからは疑問の声が噴出した。

これを機に同支部管内(砂川など2市2町)では銃の使用が控えられ、冒頭に記した「撃てる人がいない」状態が続いているわけだ。

https://www.bengo4.com/c_1017/n_11601/より。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)

 

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記事は、更に詳細な裁判の様子を伝えています。

正統な依頼の下、警察官も同席する中で駆除作業をした結果、銃を取り上げられた猟師さん。当然ながら、激怒しています。

「国民の生命と財産を守るべき警察が、
緊急時のヒグマ対策をわれわれ猟友会に丸投げした挙げ句、
協力者を犯罪者に仕立て上げ、
行政処分を課してくるとは言語道断。
決して許されることではありません」

証言台で憤りの声を上げたのは、道猟友会砂川支部長の池上治男さん(71)。砂川市の「鳥獣被害対策実施隊員」を務める現役のハンターだ。

経験30年超のベテランはしかし、2年ほど前から引き金を引くことができていない。理由は、池上さん自身が法廷で語っている。

「正当な緊急有害駆除が突然、鳥獣保護法・銃刀法・火薬取締法違反と言われ、まことに心外です」

 

銃所持許可の所管庁である北海道公安委員会は、猟友会きっての練者が所有するライフルなどの銃4挺をすべて取り上げた。

裁判は、これを不服とした池上さんが所持許可取り消し処分の撤回を求めて公安委を訴えたもの。

https://www.bengo4.com/c_1017/n_11601/

 

 

そもそも、この事件には不可解な点が多過ぎる。

引用させて頂いた「弁護士ドットコム」の記事に、その詳細が書いてあります。

全てを引用すると分量が多い為、ザックリまとめて以下に列挙すると…。

 

 

◆猟師側は、「熊を撃たないで済むなら、撃ちたくない」「状況から見て、間もなく人里を離れるだろう」と言った。しかし、砂川市職員は駆除を依頼。応じた猟師が、銃で熊を撃って駆除した。

◆市職員も、猟師に依頼したことをハッキリ覚えている。市民の安全を考えた上での依頼であり、猟師に対する信頼も厚かった為、敢えてお願いしたとのこと。

 

◆熊が出没したのは、民家の近くであった。しかし、駆除現場は高さ8メートルくらいの土手付近であり、方向を誤らなければ民家に危険が及ばない。

◆猟師さんは、一撃で熊を駆除。念の為、至近距離からトドメを一発喰らわせた。この行為を横で見ていた警察は、その場で制止も警告もしなかった。問題なく終わったのである。

 

◆それから2カ月後。この駆除案件が、警察の手により突然事件化。警察と市職員同伴の状況で、熊駆除に協力した猟師さんは、なぜか鳥獣法違反や銃刀法違反の容疑者に。

◆警察は、猟師さんの持つ銃を全て押収し、電話の通信記録なども調査。逮捕拘留などは無かったものの、「完全に犯罪者扱い」で対応した。

◆猟師さんは、当初から容疑を否認した。が、書類送検されてしまい、銃の所持許可を取り消された。

 

◆この事件は、結局不起訴になった。猟師さんの行為に、有罪になるほどの違法性が認められなかった為である。

◆不起訴処分を受け、狩猟免許の取り消しには至らなかった。しかし、未だに銃の所持を許されず、押収されたままである。

 

◆そもそも、当時の取り調べ状況がおかしい。

◆警察が示した当初の言い分は、「跳弾(銃弾が壁などに当たって跳ね返る状況)が発生した」というもの。しかし、そんな危険が発生したならば、その場で言うハズ。撃った場所は柔らかい土手であり、跳弾は発生し難い。証拠となる弾も無い。

◆当初の言い分は通らないと判断したのか、警察は書類送検前に「建物に向かって撃った」と説明を変更。しかし、その場に警官も市職員もいて、安全を確認しながら撃っている。現場は土手であり、撃った方向に民家はなかった。

◆加えて、「その場にいた市職員や警察官から、事情聴取した」という記録が無い。裏取りをしていないのである。

 

 

◆この件に関し、警察はこう弁明する。

「狩猟免許を与えるのは都道府県。銃の所持を許可するのは公安委員会。判断する役所が違い、判断基準も違う為、おかしなものではない」

「猟師に容疑をかけた当時の判断が、間違っていたとは思わない」

 

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銃所持に関する裁判は、まだ始まったばかり。結論が出るのはこれからです。

その過程で、警察の言い分がどこまで正確だったのか、明らかになることでしょう。

 

現時点で言えることは、「警察は、自分で自分の首を絞めてしまった」というもの。

猟師の協力を犯罪扱いしてしまったら、「だったら警察が何とかしろ」と言われるのがオチ。持ってる武器は、せいぜい「警棒」「盾」「さすまた」「拳銃」くらいのもので、熊と戦うには不十分です。

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この状態で、熊駆除現場に派遣されるのは、現場の警官さん達。正直、同情します。

熊の駆除は、人間の犯罪者確保に比べ、何倍も危険。

熊は、自動車並みのパワーと速度で突っ込んで来るのです。一撃で殴り殺される可能性もあります。危険極まりない。

 

また、駆除には資格が必要。無資格者が駆除行為をやれば、犯罪になりかねない。

その為、資格を持った猟師に協力を依頼するのですが、警察が不信感を持たれており、難しくなっている。かなり八方塞がりです。

 

 

警察が、初期段階でちゃんと調べて・真偽をハッキリさせ・過ちは認めて正していれば、猟師の協力を変わらず得られたかもしれない。

しかし、現状は違います。疑いの目を向けられたままです。

こういうのを「不始末が返ってきた」と言うんでしょうか…ねぇ。

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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