筆者は、人並みにスマホゲームをやっています。
(1日につき1時間未満程度の、ライトプレイヤーですが)
やっているゲームは、ひとつではありません。いくつかあります。
それらの多くに共通するのは、「動画広告を見れば、オマケアイテムを無料で取得」というイベントです。
流れる広告の大半は、他のスマホゲームを紹介するもの。ゲームのプレイ動画を流し、そのままアプリストアに誘導するものばかりです。
が、たまに「ゲーム以外の宣伝動画」が流れる場合アリ。それらは「漫画閲覧アプリ」であったり、「ニュースアプリ」であったりと、エンタメ・情報系が多いです。
その中で、最近急激に広告を出しまくっていると思われる、某アプリがあります。
それは、動画アプリ「TikTok」(ティックトック)です。
(提供:Amazon)
TikTokは、中国製アプリのひとつ。15秒ほどの短時間動画を作成・投稿・閲覧できるサービスです。「超軽量版のYouTube」といったところでしょうか。
このアプリの宣伝を、最近やたらと見るのです。
TikTokの宣伝そのものは、ネットやテレビで・2~3年程前からチョイチョイ出没していました。が、ここ1~2ヶ月の間で、急激に見る機会が増えています。
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なぜ急にそうなったのか?
TikTok側は、その理由を明らかにしていません。
しかし、最近のニュースを見る限り、「TikTok側が宣伝を増やす理由」を窺い知るのは容易かと。
今、TikTokは大ピンチに陥っています。そのピンチを何とか脱する為に、必死でアピールを試みているのではないか?…というのが、推察できる理由です。
ピンチの源は、アメリカ政府を始めとする、世界各地からの怒り。
「TikTokは、情報を抜くスパイウエアだ!」として、アチコチから怒声と圧力が湧き出ているのです。
www3.nhk.or.jp(2020/8/19)
中国企業が運営する動画共有アプリ「TikTok」をめぐって、アメリカのトランプ大統領は、安全保障を脅かすおそれがあるとして、運営会社にアメリカでの事業を売却するよう命じました。
IT大手のマイクロソフトが事業の買収交渉を進めていますが、交渉の行方は不透明で、1億人に上るとされるアメリカの利用者の間で懸念が膨らんでいます。
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200819/k10012572711000.htmlより。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)
TikTokに限らず、中国製のアプリは目の敵にされています。特に、アメリカやインドから厳しい扱いを受けていますね。
これは、「政府レベルでの対立」が背景にあります。
アメリカは、経済問題・安全保障問題・サイバーセキュリティ等々で中国と揉めています。
インドは、つい先日「中国との小規模武力衝突」が発生し、死者が出ています。
その流れから、中国製のアプリに対し、厳しい対応に出るのです。
TikTokは、中国製アプリの中でも特に有名。その為、圧力を受け易い。
gigazine.net(2020/6/30)
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TikTok側も、沈黙してはいません。
「中国共産党に対し、TikTokで収集したデータを渡してはいない」と弁明してみたり、ツイッターやテレビ番組等で宣伝してみたり、様々なアピールを行っています。
また、「アメリカ政府に対し、訴訟を起こす」という動きも見せています。
まだまだ揉めそうな予感アリ。
www.itmedia.co.jp(2020/8/18)
hochi.news(2020/8/20)
www.itmedia.co.jp(2020/8/9)
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しかし、TikTok側には「触れて欲しくないニュース」がいくつもあります。そのニュースが原因となり、圧力をかけられる羽目になったとも言えます。
例えば、「TikTok運営が、ユーザーの同意無しに、中国共産党政府に都合の悪い動画を検閲して消していた」というニュース。
www.youtube.com(2019/11/29)
中国北西部にある「新疆ウイグル自治区」では、中国共産党政府による暴行や虐殺が多発しており、しかも隠蔽している。広く知られている話です。
その話を、アメリカ在住の少女がTikTok上に投稿しました。すると、TikTok運営は「明確な理由も告げないまま、突然アカウント削除」という暴挙に出ました。
この情報がネットで拡散され、TikTok運営は大炎上。後に謝罪とアカウント回復措置を講じたものの、TikTokの信用はガタ落ち。
中国共産党政府は、世界トップクラスの独裁&強権政府です。中国企業が共産党政府に反発しようものなら、企業上層部は文字通り「抹消」「滅殺」されます。政府の批判や悪口も禁止。がんじがらめです。
TikTokは必死で否定しますが、上記の騒動は「中共政府の言いなり」と世間が判断するのに十分なニュースです。アメリカ政府やインド政府も、この話を知っているハズ。
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また、先日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌上にて、「TikTokが、Googleの規約に違反し、ユーザーに無断で情報収集やっていた」とのニュースが報じられました。
jp.wsj.com(2020/8/12)
動画共有アプリの「TikTok(ティックトック)」はグーグルの携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」の個人情報保護をすり抜け、何百万もの携帯端末から個別の識別番号を収集していた。
これにより、本人に情報収集を拒否する機会を与えることなく、オンラインでユーザーを追跡することが可能になっていた。
(https://jp.wsj.com/articles/SB11328581555519374687704586563461979820754)
上記ニュースが報じられてから、一週間ほどしか経過していません。続報や分析はこれからですが、信憑性は高いと考えます。
ニュースを報じた「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、100年以上の歴史を持つ老舗。信頼がおけます。また、先述の「ウイグル自治区動画の削除騒動」から察するに、TikTok運営が無茶をやっている可能性はあります。
TikTok側がどう反論するか?
反論に同意する人がどれくらい存在するか?
ハッキリするのはこれからですが、TikTok側の分が悪いのは…残念ながら明白。
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筆者は、TikTokを使っていません。中華アプリも極力回避します。
なぜならば、上記ニュースの様な話を、何年も前から聞いている為です。
ただ、「中華アプリを使うな!」と強制することもできません。使う・使わないは、あくまで自己判断と自己責任です。
当記事を読んで頂いた上で、まだ使いたいと思う方がいれば、別に止めはしません。
しかし、これから「使えなくなる」という状況になる恐れがあります。好みで使い分ける云々の前に、使用不可になる恐れがあるのです。
中華アプリに限らず、スマホ関連は「iOS」か「Android」のどちらかを基礎としている事が多いハズ。この2大OS以外のシステムを使うスマホも存在しますが、極僅かです。
そうなると、「iOS」と「Android」にソッポを向かれたアプリは、事実上使えないということになります。
そして、「iOS」と「Android」を作っているのは、どちらもアメリカ企業。そこに「中華アプリを使うな」と圧力をかけるのは、アメリカ政府。
アメリカは、中国ほど独裁的ではありませんので、企業側にも抵抗・拒否の手段は存在しますが…。どうなるかは分かりません。
そんな危なっかしい状況下にあるアプリを、使う理由が分からない。
もし筆者が「使い続けるか否か」の選択を迫られたら、さっさとアンインストールして他のアプリを探しますけれど…ねぇ。
--------------(記事了)--------------