俳優の「渡哲也」氏が、先日亡くなったとの報道がありました。心からご冥福をお祈り致します。
享年78歳。俳優として活躍する一方、様々な病気と闘いながら頑張った凄い方です。
www.sanspo.com(2020/8/15)
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渡氏の出演作品といえば、真っ先に出てくるのは『西部警察』です。1980年代前半に、3シリーズが制作された伝説的刑事ドラマ。
渡氏は、主人公の「大門圭介」(だいもん・けいすけ)を演じていらっしゃいました。
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この番組は、「ガンマンが撃ち合う”西部劇”みたいな警察ドラマ」ということで、名前が『西部警察』になりました。
その名の通り、犯人グループとの銃撃戦シーンや、何かを爆破するシーンがやたら多いことで知られたドラマです。
当時はCG技術が未発達であり、爆破炎上シーンは「実際に火薬やガソリンに着火」という方法で撮影していました。
ガチで爆破している映像の為、迫力満点。やり過ぎて始末書を書かされることもしばしば。
www.jiji.com(2020/8/16閲覧)
西部警察と言えば、何といっても爆破シーン。
破壊したのは
車2000台、
家屋120軒、
工場8カ所、
煙突1本。
使った火薬は計5500キロ、
ガソリンは2万5000リットル。
1回の爆破費用の最高は5000万円
と、とてつもないスケールだ。
始末書も45枚書いたという。
(https://www.jiji.com/jc/d4?p=sbk001&d=d4_topicsより。改行等は筆者によるもの)
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『西部警察』の特徴は、他にも沢山あります。共通するのは、「とにかく荒っぽい」。
◆主人公グループ(警察官)の呼称が「軍団」である。リーダーは「団長」と呼ばれる。
◆持っている銃が、どう見ても散弾銃(ショットガン)である。
◆主人公グループが持っている拳銃に、統一性がない。中には、軍用拳銃レベルの大口径マグナムを持つ者も。
◆容疑者を取り調べるのだが、その方法が「殴る蹴る」という拷問。
◆犯罪者グループが持つ武器も桁外れ。アメリカ軍の持つ突撃銃「M16」は普通に出てくるし、ロケットランチャーの登場も珍しくない。戦車砲搭載の装甲車が出てきたこともある。極めつけは「核爆弾」。もう警察レベルで対処できないのでは?
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(上画像:『西部警察』のヒトコマ。中央の角刈り男性が、若き日の渡氏。ちなみに、渡氏の向かって右隣にいる、ライフル銃みたいなものを持った人物は、若き日の「舘ひろし」氏。)
この破天荒な作風が大人気。未だに根強いファンがいて、人気は衰えていません。
渡氏の個性が大きく寄与した結果、ここまでの名作が出来上がった。そう考えて差し支えないかと。
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渡氏の出演作品で、『西部警察』の次に思い浮かぶのは、大河ドラマの『秀吉』でしょう。1996年の作品。
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このドラマの主人公は、「豊臣秀吉」です。演じる役者は、竹中直人氏。
渡氏の役は、「織田信長」でした。肝の据わった、「THE・戦国武将」のオーラを放ちまくる信長。その役柄に、渡氏のキャラクターがピッタリ符合し、番組は大好評。
平均視聴率30%超えという、屈指の高視聴率をマークしました。
www.videor.co.jp(2020/8/16閲覧)
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渡氏は、「凄みと温かみが同居する人柄」を演じることにかけては、日本トップクラスの方であった…と考えます。惜しい方を亡くしました。
しかし、ここで嘆いたり騒いだりでは、渡氏本人がションボリしてしまうでしょう。本人さんは遺言で「自分が死んでも、騒がず静かに」「死を公表するのは、近親者が落ち着いた後で」と仰っていたとのこと。最後まで謙虚な方です。
本人さんがそう仰っている以上、悲しむよりも楽しむことの方が、供養になると考えます。
酒を片手に『西部警察』を鑑賞しながら、「大門団長、無茶しますな」と呟いてみる。役者さんを天に送る時は、そういう供養が一番でしょう。
-----------------(記事了)-----------------