先日掲載した記事の続きになります。
テーマは、「悪魔」「通り魔」と呼ばれた円谷ヒーロー『レッドマン』について。
前回記事の内容は、レッドマンの作品紹介・グッズ紹介がメインでした。
今回は、「なぜレッドマンが”通り魔”と呼ばれるのか?」について、詳しく述べていきます。
ポイントは、以下の3つ。
(1)説明ゼロ & 怒涛の展開
(3)「倒す」というより「念入りな殺害」
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(1)説明ゼロ & 怒涛の展開
『レッドマン』は、大体同じパターンで話が展開します。
1:怪獣や宇宙人が、荒地を歩いている。
↓
2:突然、レッドマン登場。「レッド・ファイト!」と叫び、怪獣に襲いかかる。
↓
3:怪獣や宇宙人が、レッドマンに殺される。
↓
4:亡骸はそのままに、レッドマンが去っていく。
こういう流れです。
上記の流れを見て頂ければお分かり頂けるでしょうが、『レッドマン』はウルトラシリーズ等と違い、「その怪獣の目的は何か」「その宇宙人は、どんな悪事を働いたか」という説明が一切ありません。
その為、「レッドマンが、ただ歩いているだけの怪獣に、一方的に襲い掛かる」という光景にしか見えません。
同様に、「怪獣を倒した結果、何が救われたのか?」等に一切触れないのです。
それ故、レッドマンの行為が善行なのか悪行なのか、画面から判断不能。状況から考えて、レッドマンが加害者側なのでは?…という疑惑の方が濃い。
著しい情報不足が、「レッドマンは残虐」という解釈を可能にしているのです。
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「円谷ヒーローの必殺技」といえば、「スペシウム光線」「ゼスティウムメーザー」等の派手な光線技が有名です。
しかし、レッドマンはそういう光線技を殆ど使いません。
(正確に言えば、たった1回しか使ったことがない)
レッドマンが使う必殺技は、「レッドナイフ(刃物)」「レッドアロー(槍)」など、技というより「武器」の類ばかり。
対する怪獣・宇宙人サイドは、素手の者が多い。たまに「腕が武器に改造されている怪獣」とか「崖の上から岩を転がしてくる宇宙人」等が登場しますが、少数派です。
つまり、「レッドマンは、素手の相手に対し、武器を片手に襲い掛かる」という話が大半なのです。普通に考えて、卑怯指数が高い状況。
(著:マット・フランク、ゴンカロ・ロペス/訳:長沢光希、ローズ賢/フェーズシックス)
至極稀ではありますが、パンチや光線技で相手を倒すことはあります。しかし、大半は武器による刺殺。「グサリ」「ブシュッ」的な、肉に金属を刺す音が響く…という、生々しい展開で終了する話ばかりなのです。
これも、「レッドマンは残虐」という解釈を可能にしているのです。
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(3)「倒す」というより「念入りな殺害」
必殺武器の使い方も、ひたすらワイルドに描かれています。『レッドマン』の劇中では、
「相手の急所に、レッドナイフを突き立てる」
「暴れる怪獣に馬乗りになって、レッドアローを何度も突き刺す」
「倒れて動かない相手にレッドアローを刺し、爆破炎上させる」
「ぐったりした相手を、ダメ押しで崖から突き落とす」
等々の描写がありました。
特に、相手をメッタ刺しにする描写は、「そこまでしなくても…」と言いたくなる展開。某「サスペンス劇場」も真っ青です。
レッドマンは、ヒーローと呼ぶには「いささか血の気が多い方」の様子。その事も、残虐ヒーロー認定を促す要因になっています。
(提供:Amazon)
(上画像:レッドマンの特注フィギュア「ダークバージョン」。劇中には出てこない姿だが、残虐性と暗黒面を象徴する外見になっている)
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この様に、情報不足と生々しい描写が、レッドマンを「悪魔」「通り魔」と解釈させているのです。
理由もなく、悪評を立てられているワケではない。
そうすると、次の疑問が浮かんできます。
「なぜ、説明不足&凄惨描写に仕上げたのか?」
これにも、明確な理由があるのです。
その詳細は、次回記事にて。長くなるので、本日はここまでとさせてください。
-----------------(記事了)-----------------