筆者は、関西人です。
関西に生まれ、関西で育ちました。仕事関係で関西外に住んだこともありましたが、今は関西住まいです。
当然、関西の情報が沢山入ってきます。
最近は、「観光業がピンチ」という話が多い。
日本どころか世界中がそうですが、新型コロナウイルス騒動で観光業は大打撃を受けています。
関西では、国内外の方から人気のある観光スポットが多い為、その影響は顕著。中でも京都市は「世界屈指の観光都市」ですから、ダメージは大きい。
そんな京都から、以下のニュースが届きました。
maidonanews.jp(2020/6/7)
新型コロナウイルスの感染拡大による旅行の自粛が、今なお続いています。
国内の数ある観光地の中でも、京都が受けた打撃の大きさは相当なものです。
例年であれば、国内外の観光客や修学旅行生でにぎわう時季になのに、街は閑散とし、ホテルやタクシーは収入が激減しています。
それは土産物産業も例外ではありません。
京都を代表する銘菓である八ッ橋のメーカーに、売れ行きや見通しを聞きました。
(https://maidonanews.jp/article/13433884より。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)
京土産は数あれど、最も有名な部類である菓子「八ッ橋」。
その老舗メーカーの社長さんにインタビューした内容が、上記記事のメインとなっています。
(提供:Amazon)
-売り上げはどうですか。
「今春の売り上げはおよそ例年に比べて8割減です。開店休業ならいいですが、『休店休業』状態です。
-コロナ禍を通じて見えてきたことはありますか。
「会社がいかに観光客に頼っていたかが見えてきました。
ありがたいことにこれまでは、あまり努力をしなくても多く売ることができました。しかし今から思うと、収益が見込めない事業はもっと早くたたむべきだったし、例えば通信販売事業など、充実させておくべき部門への努力が不足していたと認識しています」
(https://maidonanews.jp/article/13433884より)
土産物屋もビジネスには変わりなく、従来の枠組みが立ち行かなくなれば淘汰されてしまう。それが世の常。
京都には「長い歴史」「古都」というブランドがある為、今まではそこに乗っかればよかった。
しかし、ウイルスの一撃で全てひっくり返った。
もっと別の可能性を探しておけばよかった。反省している。
…上記記事で受け答えされている菓子メーカーの社長さんは、そう考えていらっしゃる様子です。
それはその通り。同じことは、このメーカーだけに限らず、他の企業にもいえるでしょう。
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観光は「非日常体験」であり、その分だけ高価格設定になっています。
地元の人は、なかなか手を出しづらい。
つまり、ターゲットが限られているのです。
ビジネスにおいて、ターゲット設定は大事です。
狙いを絞らないと、効率的な経営は困難。
しかし、これは諸刃の剣。「狙ったターゲットが、一斉シャットダウン」となれば、一撃必殺のダメージを受けます。
そういう意味で、常に新規顧客開拓・新商品開発は重要。
この手の活動は、直ぐに利益には結びつきません。
研究開発費や売り込み費用もかかり、コスト増の原因にもなります。
が、目の前の利益だけを追求すれば、予想外の所から飛んできた弾にやられて一撃必殺。滅ぶのが早い。
新規顧客開拓・新商品開発を、疎かにしてはいけません。
こういった話は、「今回のコロナ騒動で、全業種の全部門で可視化された点」ですね。
逆に言えば、「臭い物に蓋をして過ごしていた」「問題を見なかったことにしていた」「目先のことだけでOKとして、先々を考えていなかった」という話でもあります。
この機会に対応できるかどうかが、生き残りと強靭化の分かれ道。
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ただ、今回の騒動に関して言えば、「八ッ橋」は頑張っていた方です。
ブランドに乗っかっている面は大きかったかも知れませんが、そこで終わっていない。
「八ッ橋」は、元々「ゲンコツ煎餅」「かた焼おかき」みたいな硬い菓子で、ボリボリと音を立てながら食べるものでした。
昔は、今の様な保存・運搬技術が無かった為、「日持ちのする焼き菓子」の形で販売していたのです。
(提供:Amazon)
時代は流れ、交通機関や食品保存技術が発達し、焼き菓子でなくとも日持ちするようになりました。
そこで登場したのが「生八ッ橋」です。「おたべ」という名でも通用する、三角形でアンコの挟まった、御餅サンドみたいなアレです。
焼き菓子だけでなく、新しい商品開発にチャレンジしている八ツ橋業界。
昔からあるブランドに、ただ乗っかっているだけじゃなかった。
(提供:Amazon)
更に言えば、生八ッ橋の種類も増えています。
最初は「ニッキに小豆餡」という定番だけでしたが、そのうち「チョコ」「イチゴ」「抹茶」「マンゴー」「みかん」「かぼちゃ」「白味噌」「ミルク」「チョコミント」「ブルーベリー」「青りんご」…等々、メチャクチャ種類が豊富になってきました。
基本となる形はどれもほぼ同じですが、「何とか新商品開発を」という熱は常にありました。現状維持のみを考えている…というワケではなかったのです。
古都の中にあっても、チャレンジャーの側面を持つ業界。この心意気があれば、きっとコロナ騒動を乗り越えていけるでしょう。
同じことは、他業種・他業界にもいえますね。
常に自問自答しながらチャレンジしていく者は、予想外の事態・不安定に強い。
筆者も他人事と考えず、自問自答スキルを磨きたいものです。
--------------(記事了)--------------