(お知らせ:当記事は、推理小説の紹介記事になります。物語の粗筋程度は掲載されていますが、犯人の情報など「酷いネタバレ」はゼロですので、安心してお読みくださいませ)
本日は、とある推理小説のご紹介をば。
作品のタイトルは、『そして誰もいなくなった』です。
(提供:Amazon)
『そして誰もいなくなった』は、ミステリー作家の大御所「アガサ・クリスティ」氏の代表的作品です。
世に初めて出たのは、1939年。今から80年以上前の話です。
かなり古い作品ではあるのですが、それでも未だに人気が衰えていません。
古今東西、推理小説・ミステリー作品は数あれど、ここまで有名で売れまくった作品は他にないでしょう。(全世界で1億部が発行されました)
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『そして誰もいなくなった』の冒頭をザックリ説明すると、以下の様なものになります。
▼物語の舞台は、出版当時(1939年頃)のイギリス・デヴォン州である。
▼デヴォン州に、「兵隊島」と呼ばれる孤島があった。そこには、大金持ちが建てた屋敷がある。
▼その屋敷に、退役した将軍・元判事(裁判官)・医者・探偵…等々、異なる経歴を持った者が10名集まった。
▼しかし、彼らがなぜここに集められたのか、その本当の理由は誰も知らない。
▼と、一同が集まった夕食の時、どこからともなく声がした。その声は、集まった10名が過去に犯した罪を告発するものであった。
▼その声は、その場にあった蓄音機(大昔の音楽プレーヤー)から発せられたものであった。が、なぜそんな音声が流れたのか、誰にも分からない。
▼「今の音声は何だ?」となり、ざわつく一同。その直後、10人のうちの1人が、突然倒れて死亡する。どうやら、毒を飲んだらしい。
▼1人欠け、9人になった一同。この状況下で、冷静にいられるハズもない。しかし、ここは孤島であり、外部との通信は不可能。皆は強烈な不安を抱えるも、身動きが取れない為、屋敷で一夜を明かすことにした。
▼翌日。残った9人のうち、新たに1人が死んでいることが分かる。これで生存者が8人になった。
▼一同はあることに気付く。屋敷に飾ってあった10体の人形が、2つ減って8体になっていたのだ。
▼また、死んだ2人の死因が、有名な童謡「10人の兵隊」の歌詞に因んだものであることにも気づく。
▼「これは、自然死や自殺ではない」「誰かが殺したのだ」「童謡の歌詞に因んだということは、次の死者も同じ様に…」
▼閉ざされた空間で、どこに殺人犯がいるのかも分からず、不安におののく生存者達。そのうち、「殺人犯は、生き残った者の中にいるのではないか?」という疑惑も出始め、屋敷の中は混沌としていく…。
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『そして誰もいなくなった』は、超のつく名作であり、何度もリメイクされたり映像化されたりしています。
その際、原作と異なる描写がなされることがあります。
結末が変わったり・物語の舞台が変わったり…という大きなものから、物語のキーポイントとなる童謡「10人の兵隊」が「10人のインディアン」と表記される…という細かい所まで、相違点は様々。
しかし、物語の雰囲気や本筋は、どれもほぼ同じです。
◆閉鎖空間で、
◆限られた数の人々が、
◆何者かによって少しずつ殺されていき、
◆犯人が誰か分からない。
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(著:アガサ・クリスティー/翻訳:青木久惠 /早川書房)
ただし、「名前が似ているが、話は全然別もの」という作品も偶に存在するので、注意が必要です。
例えば、2016年に日本で制作されたテレビドラマ『そして、誰もいなくなった』の名前が出てきますね。
(提供:Amazon)
この作品は、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』とは全然別の話です。
サスペンス作品ではありますが、物語のコアとなるのは「コンピュータ世界」や「情報管理」の話。アガサ作品とは、直接的関係なし。
これはこれで良い作品ですが、アガサ作品として見ると肩透かしを喰らいます。ご注意あれ。
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