(※WARNING※ 当記事には、ネタバレ要素があります。注意願います)
当記事のテーマは、
「続編映画を成功させるのは、難しい」
です。
その題材として選んだのは、有名SF映画『インデペンデンス・デイ』と、その続編である『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』です。
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混乱を避ける為、これ以降は、元祖『インデペンデンス・デイ』を、プロモーション用の愛称『iD4』と表記します。
同様に、続編『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』は、『リサージェンス』と表記します。
まぁ、上記テーマからお分かり頂けるでしょうが…
『iD4』の評判は高いのですが、『リサージェンス』はイマイチなのです。
一体何故か?
その理由を考える事が、当記事の目的です。
では、順番に見ていきましょう。
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まずは、元祖『iD4』から。
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『iD4』は、1996年のアメリカ映画です。
内容は、「地球を侵略しにやって来た邪悪なエイリアンを、アメリカ大統領を始めとする勇者達が撃退し、地球に平和がやってくる」というもの。
俗に言う「アメリカ万歳映画」ド真ん中の作品です。
他方、続編である『リサージェンス』は、2016年のアメリカ映画です。
内容は、「地球を侵略しにやって来た邪悪なエイリアンを、アメリカ大統領を始めとする勇者達が撃退し、地球に平和がやってくる」というもの。前作『iD4』と、骨子は全く同じです。
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『iD4』と『リサージェンス』は、時系列的に連結しています。
『iD4』から20年経過した世界が、『リサージェンス』の舞台になります。
その為、『iD4』のメインキャラクターが年寄りになって、『リサージェンス』に出演していますね。オールドファンには嬉しい配役です。
ただ、冒頭でも申しましたが…
『リサージェンス』の評価は『iD4』に比べて低いという話が、やたら多い。
映画評価サイト、クチコミサイト、掲示板…等々、かなりの媒体で「続編は、前作ほど盛り上がらなかった」と言われています。
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では、なぜそういう評価になったのか?
筆者は、以下の2点が原因であると考えます。
【1】『iD4』は、当時の通常兵器で戦った。しかし『リサージェンス』では、現実には存在しない超兵器で戦った。
『iD4』で使われたのは、1996年に実在した戦闘機やミサイルです。ここが観客の共感を引き出すポイントでした。
「今、現実にある対抗策」で、未知のエイリアンを叩き潰す。そうなれば現実感がアップし、物語への没入感もアップします。
更に、「どう考えても、相手の科学力の方が上なのに、どうやって勝つの?」というハラハラ感も引き出せますね。
強大なエイリアンに対し、こちらも超兵器を出してしまうと、「敵も強いだろうけど、こっちも強い」となってしまいます。途端にファンタジー要素が増してしまい、どこか他人事になり易い。
他方、続編の『リサージェンス』では、前作『iD4』で撃退したエイリアンの科学技術を分析し、巨大レーザー砲や宇宙戦闘機を完成させ、軍隊として編成されたところから物語が始まっています。
これらの兵器は、2020年現在も存在していない超兵器。
それら超兵器が配備された、大規模な軍隊の存在。
この設定は、どこか現実味に欠けるので、没入感が軽くなります。その為、『リサージェンス』は『iD4』ほど観客を引き込めなかった感があります。
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【2】続編は「前作の設定を、分量的に増す」だけでは不足。驚くレベルの別要素を加えることで、大成功する。『リサージェンス』には、別要素が足りなかった。
続編がヒットする為には、前作に乗っかるだけではNG。
前作の設定を活かしつつも、前作を吹っ飛ばす新設定が必要になります。
例えば、大ヒットした『エイリアン』と『エイリアン2』を見ると、その意味がよく分かります。
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『エイリアン』は、ホラー映画。敵は一匹だけで、主人公達はひたすら逃げるだけ。対抗策は皆無。「いかに生き残るか?」が重要なテーマです。
続編の『エイリアン2』は、アクション映画に変わりました。敵の数が大幅に増えましたが、味方の数や武器の数も増え、「いかに生き残るか?」ではなく「いかに戦って勝つか?」というテーマになっています。
前作の設定を活かしつつも、恐怖映画からアクション映画への大幅な変更に成功。これが観客の予想を裏切り、大ウケしたのです。
同様に、『ターミネーター』と『ターミネーター2』の違いも参考になります。
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『ターミネーター』は、T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー氏演じる、殺人ロボット)が、主人公を殺す為にどこまでも追いかける…という設定でした。
しかし、続編の『ターミネーター2』は、T-800が再プログラミングされ、主人公を守る存在になっていました。殺人ロボットから、主人公を守るヒーローになったのです。
前作の設定を活かしつつ、同時に大幅な設定変更に成功しています。
『リサージェンス』の場合は、『iD4』の設定を引き継いではいましたが、その設定に別要素を盛り込みきれなかった…と考えます。
兵器の質&数の向上や、戦いのド派手な映像をバンバン追加する等、迫力の上乗せには成功したかも知れません。
が、そこまで。
これでは、どうしても「前作の二番煎じ」として評価されてしまいます。惜しい。
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とまあ、『リサージェンス』をDisる内容の主張を続けてきましたが…
単体で見れば、『リサージェンス』の仕上がりは決してお粗末ではありません。SF映画としては、十分な完成度を誇る名作だと考えます。
前作『iD4』の偉大さが、足かせになっていますね。これが難しいところです。
もし筆者が『リサージェンス』の監督であれば、以下の様な話の流れにしたいですね。
(1)映画の前半は、公開当時・2016年の兵器で応戦する。
『iD4』公開時の1996年では、ドローンやステルス戦闘機がメジャーではなかったので、続編で出せばウケるだろう。
(2)映画の中盤は、2016年の兵器がボコボコにやられ、前作で決め手となったウイルス作戦も潰され、万事休すの状態になる。
(3)映画の後半では、「前作で撃退したエイリアンの機体が、密かに回収・研究・兵器化されており、高官の一部にしか知られていない状況であった」ことが明かされる。
ただ、生産に成功した武器の数が多くない為、勝てるかどうかは分からない。この状態で、最終決戦に突入する。
これなら、前作の設定を活かしつつも、予想外の展開に持ち込める気がします。
「一度は負けそうになったところで、大逆転する」という、ヒット作の王道要素も盛り込めていますし…。
映画会社の方、如何でしょう?
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