世相がそうさせるのでしょうか。
最近、「見れば楽しい気分になれる映画」を探すことが多くなりました。
筆者と同じ考えを持つ方は、かなりいらっしゃる模様。
ネットにて、
「元気になれる映画で、オススメはありますか?」というお題が出て、
あれやこれやと話が盛り上がり、
様々な作品の名が出てくる
…という光景が、あちこちで散見されます。
筆者がよく見るのは、ツイッターです。
ツイッターは「文字数や動画容量の制限が厳しい」という面がある為、ネタバレが起きない程度で作品を紹介して頂けることが多い。探す側にとっては、ちょうどよい場になっています。
レス(返事)のヤリトリで盛り上がるのも、これまた楽しいものです。
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しかし、世の中にはいろいろな人がいます。
「元気になれる映画」の話で盛り上がっているところに、「元気になれない人の方が多そうな映画」や「ちょっと変わった趣味嗜好の持ち主でないと、面白さを理解し難い映画」を勧めてくる人がチラホラいます。
話の流れに、うまく乗れていない。
そういう「変わった作品」を勧めてくる方は…
ガチで勧めているのか?
それともブラックジョークをかましているのか?
…心中を測りかねます。
どちらにせよ、そういう勧め方は「作品の内容をよく知らない人が、鵜呑みにしてはいけない…という勧め方」であることは間違いありません。
その様な作品を、筆者は「地雷」と呼んでいます。
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ただ、そういう変わった作品といえども、内容自体は凄いものが多い。
見る人・時・場所を選ぶクセの強い作品ではあるのですが、「賛否両論激しいけれど、映画史に残る作品だ」という評価が多いのも、これまた事実。
要は、「求められているものと、勧められたものとの乖離」が問題なのです。
これは、甘いものを求めているところに、激辛料理を持ってくるのと同じです。
辛い料理は、辛いものが食べたい時に食べればいい。
逆に、辛いものが食べたい時に、激甘クリーム菓子を持って来られても困る。
そういうチグハグさを指して、筆者は「地雷」と呼んでいるのです。
そんな「地雷」の中から、内容をよく知らない方への注意喚起の意味を込めて、ひとつの作品をご紹介します。
作品のタイトルは『ミスト』です。
(提供:Amazon)
『ミスト』は、2007年に公開された映画。
ジャンルは、「ホラー要素が強い、モンスターパニック」といったところでしょう。ホラー耐性やスプラッター耐性が弱い方は、鑑賞に注意が必要です。
また、作品のオチがあまりも強烈過ぎて、「ちょっとコレはありえない」という否定派と、「あれはあれでよい」という肯定派にハッキリ分かれる問題作です。
ちなみに、筆者は「あれはあれでよい」という肯定派。パニックムービーとして観賞すれば、かなりの名作であると考えます。
なお、この映画には「原作となる小説」があります。
その作者は、恐怖小説の巨匠「スティーヴン・キング」氏です。
(提供:Amazon)
キング氏のホラー小説や映像化作品をご覧になった方で、「これは面白い」という感想を抱いた方であれば、『ミスト』との親和性も高いと思われます。
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『ミスト』の冒頭を少し述べると、以下の様なものになります。
▼物語の舞台は、現代のアメリカ国内にある、小さな町。
▼主人公のデヴィッドは、湖の近くに家族と住む、普通の成人男性。特殊な事情を持つ人間ではない。至極普通の生活を送っていた。
▼ある日のこと。大きな嵐がデヴィッドの住む地域を襲った。幸いにも、命に係わる深刻な被害は出なかったが、家の窓が割れ・小屋が倒木に潰され・ボートが壊れてしまった。
▼資材や食料を買う為、デヴィッドは近くのスーパーへ車で出かけた。その道中、救急車や軍の車両とすれ違う。
▼「ウチと同じで、町のあちこちに嵐の被害が出ているのだろう」と思うデヴィッド。そんなことを考えているうちに、スーパーに到着した。
▼ここにも嵐の影響が出ているのか、スーパーは混雑していた。品物をカートに乗せ、レジの列に並ぶデヴィッド。彼がレジ前の列に並んで外を眺めていると、少しおかしな光景に気付く。
▼スーパーの前の道路を、サイレンを鳴らしながら、猛スピードで走る複数のパトカー。それに続く消防車。そして、慌ただしく動く軍人たち。
▼「嵐の後処理にしては、少し変だな」と思うデヴィッド。と、大きなサイレンが町中に響き、スーパーに血を流した老人が駆け込んできた。
▼その老人は、近くにいる店員を捕まえて叫ぶ。
「霧(ミスト)の中に、何かがいるんだ!」
▼話を聞いた方は「霧の中?」「霧なんて出ていないじゃないか」と訝しがる。が、直後に濃い霧がスーパーの駐車場を覆った。いや、霧というより煙に近い。
▼何が起こったのか分からない人々。すると、霧に覆われた駐車場から、大きな叫び声が。慌ててスーパーのドアを閉め、店内に閉じこもる人々。店内は、一瞬にして異様な雰囲気に包まれた。
▼間を置かず、大きな地震も発生。商品棚が倒れ、天井が剥がれ落ち、パニックになる店内。
▼人々は、「霧が晴れるまで、店内にいよう」と申し合わせる。しかし、ここからが悪夢の始まりであった…。
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上記の粗筋をご覧になれば、『ミスト』は「元気になれる映画作品」ではない…とお分かり頂けるのでは?
そういう意味で、筆者は「地雷」と呼称しています。
ただ、先程も申し上げた通り、『ミスト』は「パニックホラー映画として見れば、賛否両論あるものの、かなりの傑作である」といえます。
繰り返しになりますが、特にオチが強烈。
「そのオチ? ありえない!」と考える方と、「そうきたか…」と言いながらニヤリとする方にバッサリ分かれます。(筆者は、ニヤリとする側)
鑑賞前に、上記の心づもりをされた方は、楽しめる可能性が出てきます。
しかし、「ハッピーで楽しい気分になれる映画」だと勘違いして見た場合、かなりの逆効果映画になるかも?
『ミスト』は、取り扱い注意ですよ…。
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