先日、「世界政府とガンダム」というテーマで、記事を書かせて頂きました。
上記記事の内容を、物凄くザックリ言うと、
◆イギリスの元首相であるブラウン氏が、「新型コロナウイルス対応を、各国が独自にやっているだけでは、恐らく厳しい」「一時的にでも世界政府を作り、その枠組みで対抗しよう」と提案した。
◆なお、この提案を真面目に聞く現役首脳は出ていない。
◆そもそも、世界政府を作るのは大変困難。それは、フィクション作品でも散々取り上げられた問題である。
◆その例として、有名アニメ『機動戦士ガンダム00』に触れてみよう。
…こんな感じでした。
前回記事では、『機動戦士ガンダム00』の粗筋に触れたところで止まってしまいました。
今回は、その続きから。
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『機動戦士ガンダム00』で描かれた話の流れは、1stシーズン・2ndシーズン・劇場版の3区間に大別できます。
1stシーズンで「世界政府が設立されるまで」を描き、2ndシーズンで「世界政府の設立直後」を描き、劇場版で「世界政府がまとまった後の戦い」を描く。
前回記事で、こう説明しました。
世界政府の「設立」を考える上で大事なのは、1stシーズンの内容です。
世界政府の「維持管理」を考える上で大事なのは、2ndシーズンの内容です。
それぞれを、詳しく見てみましょう。
今回記事では、1stシーズン「世界政府が設立されるまで」について掘り下げます。
(注意:本記事は、『機動戦士ガンダム00』に関する若干のネタバレを含みます。その点をご了承して頂いた上で、続きをご覧ください)
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『機動戦士ガンダム00』の舞台である24世紀の地球は、石油などの化石燃料が枯渇してしまい、太陽光発電システムに依存する世界になっています。
このシステムを建設・維持・管理する為には莫大なコストがかかる為、世界は3つの国家群に分かれました。
簡単に言えば「アメリカ陣営」「中国・ロシア・インド陣営」「ヨーロッパ陣営」となります。
(なお、日本は「アメリカ陣営」に加わっています)
逆に言えば、この陣営のどこかに加わらないと、エネルギー不足で貧困の極みへまっしぐら。どの陣営に・どの様なタイミングで加わるかによって、自国の立場が大きく変わるので、結局は「利権や損得を考える駆け引き」になります。
そこに「民族問題」「宗教問題」も加わり、更に混沌とした状況になります。24世紀になっても、民族や宗教の壁を乗り越えられていない…という設定。
これらの問題を乗り越えないことには、世界政府を作り上げることなど、夢のまた夢。
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24世紀になっても、利権・民族・宗教が元で、人類はまとまらない。
この設定は、「無理のある設定」とは言えません。十分に通る設定。
何故なら、2020年現在でも宗教対立や民族対立は数多く存在し、その根っこを辿ると「発端は数十年前」というものから「発端は千年以上前」というものまで出てくるからです。
代表的ものはいくつかありますが、分かり易いのはイスラエル問題ですね。
ユダヤ系住民人とアラブ系住民(パレスチナ人)の争いは、今なお続いています。
この背景には、「第一次世界大戦における、イギリスの悪質・適当な外交姿勢」と「イギリスが問題解決への姿勢を取らず、無責任に放置した」というものがあります。
直接的な原因は、約100年前に起こった出来事。ユダヤ人の歴史まで考慮に入れると、紀元前の話に遡ります。相当に根深い話。
また、「イスラム教の過激派集団」の話は、記憶に新しいところ。
一時期は、中東で広い区域を制圧し、自ら「イスラム国」を名乗っていた時期もありました。が、今では激しく弱体化。かつての勢いはありません。しかし、全滅したわけでもなく、未だに火種として残っています。
黒人・黄色人種などへの差別なども、まだまだ根強く残っています。
これらの問題を解決しなければ、世界政府の樹立は無理。
仮に樹立できたとしても、それは表面的なもの。間を置かず破綻します。
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この様に、真面目に考えれば「世界政府の樹立は無理」という結論に達するのですが…。
『機動戦士ガンダム00』では、樹立に成功してしまうのです。理由は「世界共通の敵が出現したこと」です。
その敵とは、機動兵器「ガンダム」を有し、どの国家にも属しない私設武装組織「ソレスタルビーイング」。『機動戦士ガンダム00』の主人公達が籍を置く組織です。
イメージとしては、「正義の味方」というより「世界を敵に回す無法者」という感じ。
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(上画像:ソレスタルビーイングが有する機動兵器のひとつ「ガンダムエクシア」)
「ソレスタルビーイングは、世界中の国々に武力介入する」
「どの国も、ソレスタルビーイングから攻撃を受ける可能性がある」
「敵の敵は、即ち味方」
この理屈で、世界が一時的に手を結び、その繋がりが元で世界政府の下地が出来上がる。
「生き死にをかけるレベルになって、初めて手を結ぶことができる」
『機動戦士ガンダム00』の設定では、こうやって世界がまとまっていきます。
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(上画像:ガンダムに匹敵する性能を持つ、対ソレスタルビーイング兵器「ジンクス」)
ただ、世界が「対ソレスタルビーイング」でひとつになったといっても、それは本当の意味でひとつになったワケではありません。
生まれた繋がりは「強烈な軍事同盟」くらいの扱い。
先ほど触れた「エネルギー等の格差問題」「民族紛争問題」は棚上げのまま。豊かな国家群を中心に、軍事的な意味で手を結んだというだけで、根本解決には程遠い。
敵を打ち砕く約束はしても、その後の平和までは…あまり考えていない。
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フィクション作品である『機動戦士ガンダム00』でも、いろいろとゴリ押し気味に話を通して、やっとこ「ある程度の世界統一」ができたという状況です。
これが現実世界になると、もっと難しいのは言わずもがな。
加えて、世界政府を樹立したとしても、その維持がこれまた大変。
『機動戦士ガンダム00』では、世界平和の維持を目的として、政府直属の特殊部隊が編制されます。
この特殊部隊が、平和とは真逆の暴走を始めてしまい、世界政府が出来たのに混乱状態へと逆戻りする…という話が続きます。
ちょっと聞くと「トンデモ設定」に思えるのですが、話を追っていくと「この設定、2020年現在でも、既に現実化している根深い問題では?」という疑念が湧いてくる、実にリアルな設定。
上記内容は「2ndシーズン」で描かれる話になりますが…長くなるので、当記事はここまで。
詳しくは、次回記事にて。
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