多くの方は既にご存じでしょうが…
昨日、「2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックは、延期する」というニュースが流れました。
延期理由は、”新型コロナウイルス騒動”による世界の混乱です。
www.asahi.com(2020/3/25)
「4週間以内に結論を出す」との決定からわずか2日。
東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについて、安倍晋三首相が24日、「1年程度の延期」を提案し、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が同意。IOC理事会は延期を承認した。
戦争以外では近代五輪史上初の事態。
(https://www.asahi.com/articles/ASN3S7K1YN3SULZU01M.html?ref=yahooより。改行等は筆者によるもの)
筆者は、「この決定は、仕方ないが順当だ」と考えます。
今の地球は、「新型コロナウイルスvs人類の構図で繰り広げられる、世界戦争レベルの状況」にあります。
スポーツの祭典をやる余裕は、恐らく無い。
開催予定日時だった「2020年7月末」までに、ウイルス騒動が収束する見込みも無い。
仮に、開催国の日本が大丈夫だとしても、他国の事情は違います。日本を「渡航禁止区域」に設定している国もあります。「日本に行ったら、帰国できなくなる外国人選手」もいるでしょう。
東京大会が延期になっても不思議ではない…を飛び越え、延期にしないとマズい状況です。
中止&消滅にならなかっただけ、まだマシな方かもしれません。
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ただ、本当に大変なのはこれから。
今後の動き次第では、「やっぱり中止ね」となるかも知れない。油断はできません。
そもそも、延期の根本原因は「新型コロナウイルス」です。が、そちらは医療分野の話であり、五輪関係者の意向やパワーでどうにかなるものではありません。
ひょっとして、延期した先でもウイルス騒動が収まっていない…という可能性があります。先行き不透明。
仮に、幸運にも「ウイルス騒動が早期に収束し、再発の恐れも無い」となったとしても、問題は山積み。
ちょっと考えただけでも、以下の懸念事項があります。
◆施設の維持運営費はどうするか?
競技場などを作ったのはいいとして、2020年大会で使わないとなれば、その期間は放置。維持費はかかりますが、収益は生まれません。
赤字垂れ流しにならない様に、施設を維持管理していく手間は大きいでしょう。
◆延期された先で、施設をどう確保するか?
五輪で使用する施設は、当然ながら「五輪の期間内は、五輪のみに使用」「五輪が終われば、他のスポーツやイベントで使用」となります。
この予約が、既に入っている場合もあり。
予約を入れるということは、ある程度の目途が立ち・開催準備を始めているということ。2020年大会を延期するとしても、既に予約された方との調整が困難かも。
◆ボランティアの確保は?
2020年大会では、運営にボランティアを配置する予定でした。一応、予定していた人員は確保済みであり、計画通りに進むハズでした。
しかし、日時が大幅に変わってしまうので、人員計画を練り直さなければなりません。
特に、「人員がボランティア」という点が最大のネック。ボランティアであるが故に、賃金の類は殆ど出ない。宿泊費用なども自腹。このモチベーションが延期先でも維持されているかは、甚だ疑問です。
また、ボランティアは「余暇を活用して行うもの」です。2020年大会では余暇を活用できた方が、延期先でも偶然余暇があった…という可能性は低い。
ボランティアの募集に強引な面があって、批判を喰らった話は記憶に新しいところです。「東京インパール」と揶揄されたこともあり。その批判を再度喰らわない様、慎重にことを進める必要がありますが…難しいでしょう。
◆選手の選考は?
1~2ヶ月程度の延期なら気にならないのでしょうが、半年~1年程度の延期となれば、選手の状況が大きく違う可能性が高い。そうなれば、「当初の選考結果はリセットし、再度選考を行う」とする種目が出ても不思議ではありません。
五輪の代表選手になるには、厳しいトレーニングは勿論のこと、選考会の状況や体調など「運」の要素も外せない。
選手寿命の短い競技では、「1年後に延びれば、選手としての引退時期になってしまう」という方もいるでしょう。
2020年大会の代表選手になれたからといって、延期先でも同じ状況になるとは限らないのです。そこが難しい。
◆膨れ上がる費用は、誰がもつのか?
元々、2020年の東京五輪は、「カネのかからないコンパクト五輪」という名目で招致されたハズ。
ところが、蓋を開けてみれば”当初予算を遥かに超えた経費”が発生し、批判や不具合が生じています。
「そこの費用をケチってはいけないのでは?」という所が、ガシガシ削られる状況。「メイン会場の新国立競技場に、冷暖房・空調設備が無い」という話が典型的ですね。
diamond.jp(2019/12/18)
開催前から、この状況では…。
延期で追加経費が出ることは不可避です。その費用を誰がもつのか?
安易に「税金から出す」となれば、批判が殺到するでしょう。簡単な話ではありません。
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五輪本体の話だけを考えても、上記の不安要素が存在します。
ここに、「チケットの払い戻し」「宿泊施設のキャンセル」「グッズ販売の延期・中止」等々、観客や関連業種にも考えを広げれば…。
いくつ悩みのタネがあるのか、全く予想できない状況です。
また、これらの問題に対しては、解決するための費用がかかります。
解決策を講じる職員さんに払う人件費もあります。
大会が延期になり、スポンサーからの広告費・チケット代金・関連グッズ収益…等々の予定も、大きく変わらざるを得ない。
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延期にした後、「やっぱり中止」となれば、ダメージは図り知れません。
しかし、先行きは不透明。
進むも止めるもイバラの道。
IOC、JOC、東京都、日本政府…各所の底力が試される時です。今後に注目。
ただ、「責任のなすりつけ合い」だけはやらないで欲しいところですね。
もしやれば、それで一気に熱が冷め、「五輪なんて不要」という風潮が生まれかねないので。
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