先日、とある訃報が。
脚本家の「上原正三」氏が、お亡くなりになりました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
www.iza.ne.jp(2019/1/9)
この方は、特撮ファンの間では、特に有名な方です。
ウルトラシリーズ、仮面ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズ、東映メタルヒーローシリーズ…等々、有名な特撮シリーズの多くに参加されています。
特撮だけではなく、アニメの脚本も書いていらっしゃいます。『宇宙海賊キャプテンハーロック』が有名ですね。他にも多数。
筆者も、この方のいちファンです。
子供向けの特撮番組に、大人が唸る深い話をブチ込んでくるという、何とも渋い方。
当記事では、上原氏の功績を讃える意味で、氏の担当された作品を二つ御紹介します。
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先ずは、有名特撮ドラマ『ウルトラセブン』です。
『ウルトラセブン』は、1967年の作品。「ウルトラシリーズ」の最初期作品であり、アダルト層を狙った渋い話が多い作品です。
その渋い話の中に、「第四惑星の悪夢」というエピソードがあります。この脚本担当者に、上原氏の名前が出ています。
「第四惑星の悪夢」は、「AIが人類を管理する世界」を描いたエピソードです。
AIとは、人工知能のこと。2020年現在でも、開発や利用が促進されている技術です。積極的に取り入れる企業や団体も多い。
その反面、「AIと人類の対立」というテーマで描かれるフィクション作品も多い。有名映画『ターミネーター』や『マトリックス』などがそうですね。
上原氏は、そのAIネタを53年前に脚本化し、映像作品として世に送り出しました。
いち早く特撮作品に仕立て上げた上原氏。さすがの一言です。
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もう一つは、同じウルトラシリーズの『帰ってきたウルトラマン』です。
『帰ってきたウルトラマン』は、1971年に放送された作品です。『ウルトラセブン』から4年後の作品ですね。
この作品に登場するウルトラマンは、「かなり気の毒なウルトラ超人」として知られています。
名前からして、すでに不憫。
最初は固有の名前が無し。初代ウルトラマンと別人なのに、「ウルトラマンのそっくりさん」的な扱いを受け続けた方です。
「ウルトラマンジャック」という名前がつけられたのも、1971年の放送が終了して、かなり後になってからです。
変身方法も、なかなかに強烈。
人間からウルトラマンに変身する際、何かのアイテムを使うワケでもなく、「命の危険に遭遇すると変身できる」というキツイ設定でした。
その為、主人公は「身投げレベルの暴挙」を毎回やってました。
(さすがにマズイと思ったのか、後半は「変身したい」と思えばできるように修正されていましたが…)
この様に、設定からクセのある『帰ってきたウルトラマン』ですが、その中でも特に渋くて深いテーマのエピソードとして、有名なものがあります。
そのタイトルは、「怪獣使いと少年」です。
このエピソード、ウルトラ史上に残る傑作として有名。その脚本を担当されていたのが、上原氏です。
この話では、宇宙人「メイツ星人」と、怪獣「ムルチ」が登場するのですが…。
彼らよりも、「人間の差別意識」という内なる敵と戦う話になっています。
また、ウルトラマンが「俺、何の為に戦っているんだろう?」という疑問を持つという、かなり強烈なエピソードです。
(上画像:ムルチ)
「怪獣使いと少年」の内容をザックリ述べれば、以下の様なものになります。
▼善良な宇宙人であるメイツ星人は、調査の為に地球へとやって来た。侵略の意図はない。
▼メイツ星人が地球に来た時、全くの偶然で、怪獣ムルチに遭遇。メイツ星人の超能力でムルチは封印され、被害は出なかった。
▼その後、メイツ星人は「公害による大気汚染」にやられて、瀕死になってしまう。外見が醜悪になり、満足に動くこともできず、ただただ弱る一方に。
▼そんなメイツ星人の姿を見て、地域住民(地球人)は酷く警戒。見た目だけで「こいつは悪人だ!」と決め付け、迫害を始める。
▼裏の事情を知っている主人公・郷秀樹(ウルトラマン)は、地域住民の暴徒化を鎮めようと奔走するが、住民のヒステリーは止まらない。ついにメイツ星人は追いつめられ…。
『帰ってきたウルトラマン』には、「ハードな話」「闇要素満載エピソード」が多いのですが、その中でも「怪獣使いと少年」は一際異彩を放っています。
社会派ドキュメンタリーと言っても過言ではない仕上がり。
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この様な「硬派な話」「深い話」を多数執筆されてきたのが、上原氏です。
放送終了後、50年経過しても語り継がれる作品を書いた氏は、凄い方。改めてそう考えます。
(イメージ画像 https://illustrain.com/?p=9672)
上原先生、多くの素晴らしい話を作って頂き、ありがとうございました。
ごゆっくりお休みくださいませ。
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