本日はクリスマスイブですが…。
当ブログは、洒落っ気も何もない武骨なメディアですので、本日も平常運転です。
予めご了承くださいませ。
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先日、「ハンター議員炎上、その後」というテーマで記事を書かせて頂きました。
この記事を執筆する際、最近の狩猟や獣害事情について、いろいろと調査しました。
すると、以下の記事を発見。
www.dailyshincho.jp(2019/12/19)
上記記事の内容を、筆者なりにザックリまとめると、以下の様なものになります。
◆人里に熊が現れた場合、先ずは通報を受けた警察が対処に当たる。
◆しかし、警察の装備では、熊を追い払うことも駆除することも不可能。そこで、猟師(ハンター)に声がかかる。
◆猟師は「狩りのプロ」であるが、相手は猛獣。常に命がけである。怪我はしょっちゅうだし、場合によっては獣に襲われて殺されるかもしれない。
◆何時間もかけて熊を追い、人的被害が出ないように安全確保して、熊に襲われて怪我をしながら駆除しても、猟師に渡される報酬は数千円~数万円。命がけの仕事には、全く釣り合わない少額。
◆加えて、熊を駆除すれば「殺す必要があるのか」「山に帰せばいいじゃないか」という抗議が全国から殺到。駆除しなかったら、地元の人が「熊がまた来て、人が襲われたらどうするんだ」と苦情。
◆怪我人や死人を出さない為に、苦労して危険を除去したつもりが、どう転んでも文句を言われ、見返りの金銭も無いに等しい。これでは駆除が嫌になる。
◆ニュースで熊退治の話を見て、「熊を殺すな」と抗議する方々は、現状を知らないままで怒っているのだろう。そういう人々は、「熊による人的被害が出るまで、黙って見ていろ」とでも言うのだろうか。
駆除現場の方々は、かなり嫌な思いをされている模様。
「人助け」と思って危険な作業をすれば、結果の如何に関わらず文句を言われる。
これでは報われません。
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上記の新潮記事は、秋田の話です。
秋田に出るのは、ツキノワグマ。日本に広く分布している種で、危険性は高いものの小柄な部類です。
これが北海道になると、話はガラリと変わります。北海道に住む熊は、ヒグマ。ツキノワグマよりも大柄であり、危険度が激増します。
そんな危険な熊が、人里に下りて来たら、どうなるか?
町中大騒ぎで、ニュースにも取り上げられる話になりますね。
そして、大騒ぎになれば、話を見聞きする人も増えることになります。駆除に対して抗議する人も、同様に増えます。
www.asahi.com(2019/10/10)
札幌市で8月、市街地への出没を繰り返したヒグマを市が駆除したことに、多くの反響が寄せられた。うち6割が駆除反対の声で、北海道外からは駆除反対が多かった。駆除は避けられなかったのか?
「殺さないで」
「麻酔銃で眠らせて山へ戻せばよかった」
「せめて動物園かクマ牧場に送って」。
市には電話やメールで600件を超える反響が届いた。記録を集計したうち6割が駆除反対の声で、特に道外からは反対が目立った。
(https://www.asahi.com/articles/ASMB94D6SMB9IIPE00P.htmlより。改行・強調等は筆者によるもの)
筆者は、熊が町中を歩き回る姿を、動画で見ました。
www.youtube.com(2019/8/12公開)
熊は、学習能力が高く、執着心が強い。
住宅地に食べ物が多く(熊にとっては、生ゴミも御馳走)、自分に危害が加えられないとなれば、何度でもやって来ます。
「説得に応じて山に帰る」ということは、全く期待できません。
そして、その戦闘能力は桁違い。パンチ一発で、人間の首が吹っ飛ぶ勢いです。
万が一にも人を殺せば、「この弱い生き物、簡単に狩れるし、食べれば美味い」ということを覚えます。
そうなると、人食い熊への道をまっしぐら。本物のモンスターになります。その前に、何とかしなければなりません。
(イメージ画像 http://mousai.pics/pics/9793/)
対処法は地域や自治体により様々ですが、熊が出てから慌てても遅い。前もって段取りを決めておく必要アリ。
先述の朝日記事では、札幌市の策定した「ヒグマ基本計画」について触れています。
市街地にクマが出ると、市は「ヒグマ基本計画」に基づき4段階の有害度に応じた対応を取る。
今回は畑のコーンが食べられ、追い払っても出没を繰り返し、徐々に人や車を警戒しなくなった。
このため市は、有害度を上から2番目で駆除が必要な「経済被害をもたらし被害拡大が懸念される状態」と判断。「人に危害を与えかねず、やむを得なかった」と金綱(かねつな)良至(よしのり)・環境共生担当課長は話す。
専門家の見解も同じだ。ヒグマの生態に詳しい北大大学院の坪田敏男教授は
「あそこまで行動がエスカレートすると、他に選択肢はない。事故が起きる前に駆除できて良かったと思ったほうがいい」
と言う。
(https://www.asahi.com/articles/ASMB94D6SMB9IIPE00P.htmlより)
www.city.sapporo.jp(2019/12/24閲覧)
札幌市では、普段から熊が人里に近づかないように、様々な活動をしています。
具体的には「監視カメラを仕掛けて情報収集」「熊が好んで隠れそうな草むらを作らない」「電気柵の設置」等々。
それらの対策を潜り抜け、人里に入ってきた熊については、駆除も考えるそうです。が、駆除するか否かは、熊の行動次第。
先述のヒグマ騒動では、「明らかに行動がエスカレートしている」となって、駆除の話を考え始めたとのこと。見つけたら即射殺…というワケではないのです。
駆除は、人間にとっても命がけ。
できれば、やりたくないのです。
「放置すれば、そのうち人を襲う可能性が高い」となった時、やむを得ず駆除に動くのです。
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熊駆除の話になった時、必ず出てくるのは「麻酔銃」の話。
「熊を眠らせて運び、人里離れたところに放せばいいじゃないか」と仰る方は多い。
しかし、そう仰る方は、麻酔銃の効き方について調べたことは…恐らくないのでしょう。
『名探偵コナン』みたいな、超小型で即効性のある麻酔銃が標準と考えているのでは?
いやいや、コナン君の麻酔銃は、ハッキリ言ってSFです。数百年後のオーバーテクノロジーならまだしも、現代には存在しません。
先のニュースで名前が出た、「北海道大学・大学院の坪田敏男教授」は、こう仰っています。
麻酔銃で眠らせ、どこかに連れて行くことはできなかったのか。
「クマは麻酔銃が当たると走り出し、5~10分は興奮状態が続く。周りに人がいる住宅地ではできない」
(https://www.asahi.com/articles/ASMB94D6SMB9IIPE00P.htmlより)
ヒグマの走る速度は、時速40~50キロメートル。
人類最速のウサイン・ボルト氏でも、時速36~37キロメートル程度です。
麻酔銃を撃たれた熊が興奮し、5~10分もの間走り回って暴れた場合、半径数キロメートルの範囲が危険区域になります。
麻酔で大人しくなるどころか、狂暴になり被害を増やす方向に行ってしまう。これ、全く的外れな対処ですね。
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麻酔銃を使って熊を捕獲し、殺さずに済んだケースもあります。
しかし、「熊が興奮して暴れる危険がない」と判断できた場合の話で、全てのケースに対応できるわけではありません。
その数少ないケースが、今年の12月に発生しました。
三重県紀北町の長島港で8日、ツキノワグマ1頭が消波ブロックの間に挟まり、身動きがとれなくなっているのが見つかった。
町は9日に狩猟免許を持つ獣医師を神戸市から呼び、麻酔銃で眠らせて捕獲。個体識別のためのICチップを付け、同日午後5時ごろに人家から約3キロ離れた同町相賀の町有林に放した。
県尾鷲農林水産事務所によると、クマは体長1・2メートル、体重35キロの雄の成獣。獣医師は午後2時半ごろ、消波ブロックの約5メートル上方にある遊歩道から麻酔銃1発を撃ち、クマの尻に命中させた。眠ったのを確認し、ロープで手足を縛り、担架に乗せて引き上げ、おりに入れた。
獣医師によると、クマは痩せており、えさを求めて近くの山から下りてきたと考えられる。
町によると、8日午後4時ごろ、付近の住民から「長島港の海岸付近にクマがいる」と町に通報があった。同日夕に町や県の職員らが現場に到着した時には、既に消波ブロックに挟まっていた
(2019/12/9付 https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019120990223501.htmlより)
上記ニュースでは、熊が発見された時にはブロックに挟まって動けなくなっており、「麻酔銃を撃たれても走り回る危険性がないか、非常に少ない」と判断された為、麻酔銃で捕獲となったそうで。
ここまで都合よく身動きが取れなくなった熊は、そうそういないでしょう。
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ところで…
この「麻酔銃を使った捕獲」に関し、とある人気漫画作品で話題に取り上げられたことがあります。
その作品のタイトルは、『百姓貴族』。
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『百姓貴族』の主な舞台は、北海道・十勝。
熊がワサワサ湧いてくる地域です。当然、熊対策の話も出てくるワケでして…。
長くなるので、本日はここまで。
続きは、次回記事にて。
-----------------(記事了)-----------------
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